前週(8/21〜8/25)の日本株は、地政学リスク、米トランプ政権の運営リスク、ジャクソンホール会議待ちで方向感のない展開となり、日経平均は小幅ながら6週連続の下落だった。日経平均の週の引け値は1万9452円61銭と前週末比17円80銭(0.1%)安で商いを終えた。
週間高値は1万9561円32銭(8/23)、安値は1万9351円92銭(8/24)。高安のレンジは209円と狭いレンジではあったがレンジを切り下げた。売買代金は5日連続で活況とされる2兆円を割り込み、週間で今年最低だった。
6週連続安は、米金融緩和終焉懸念で下げた14年の1月から2月まで以来約3年半ぶり。アベノミクス以降最長期間に並んだ。今週も下げるなら7週連続は12年の4月から6月にかけての9週連続以来となる。東日本大震災後の日本の景気低迷と80円を上回る円高で日経平均が1万円を割り込んだ時期だった。
今週は、ジャクソンホールを無事通過しドル円のレンジに大きな動きはなかったが、北朝鮮が土曜日に短距離弾道ミサイル3発を発射し緊張感は高まる。金曜日に8月の米雇用統計を控えており、今週も商いが盛り上がりそうにはない。ただ日本株に割安感が出て来ているのは明らかで、きっかけ待ちだろう。法人企業統計、米雇用統計などで円高トレンドが転換すれば可能性はある。
前週(8/21〜8/25)の振り返り
21日の日経平均株価は4日続落、前週末比77円28銭(0.4%)安の1万9393円13銭で引けた。5月1日以来の安値だった。
トランプ大統領の人種差別発言問題は、側近であるバノン氏の解任となり混迷度が深まった。米韓両軍が合同軍事演習を開始したため地政学リスクも引き続き意識され、投資家の買い意欲は盛り上がらない。日銀のETF買い733億円が発動した。
22日の日経平均は5日続落、前日比9円29銭(0.1%)安の1万9383円84銭で終えた。
今年の日経平均は4連敗が何度もあるが5連敗がないというアノマリーがあったが、ついに今年初の5連敗となった。5連敗は16年の5月以来。
24日から世界の金融関係者が集まるジャクソンホール会議があり、25日にはFRBイエレン議長とECBドラギ総裁が講演する。この二人の発言で金融市場が動くことが多いので、市場関係者は完全に模様眺めだった。一方、マザーズ指数が3日ぶりに反発、ジャスダック平均も3日ぶりに反発した。
23日の日経平均は小幅ながら6日ぶりに反発、前日比50円80銭(0.3%)高の1万9434円64銭だった。
ジャクソンホールを控えてNYダウやドルに買い戻しが入り、NYダウは196ドル高、ドル円は109円台半ばまでの円安となった。NYの上げを受けて日本株も反発した一時177円高だったが、トランプ大統領がメキシコ国境との壁建設に前向きな発言が伝わると上げ幅を縮小した。
24日の日経平均は反落、前日比80円87銭(0.4%)安の1万9353円77銭で引けた。21日の安値を下回り、5月1日以来の安値を更新した。
トランプ大統領のメキシコの壁建設発言で、9月4日から再開される米議会では予算議案の通過が懸念される。債務上限を9月末までに引き上げ延長を決議しないと米国はガバメントシャットダウンになる懸念が浮上してきた。米国では、株、債券、ドルが売られた。日本株も膠着感が強まり週の安値を付けた。新興市場は個人の打診買いが広まり、マザーズもジャスダックも3連騰。マザーズは活況のめどとされる売買代金1000億円を8月16日以来6日ぶりに上回った。
25日の日経平均は反発、引け値は前日比98円84銭(0.5%)高の1万9452円61銭だった。
日本の長期債利回りが低下し、日米金利差の拡大から円安が109円後半に振れた。中国株が1.8%高と上げたことも好感した。もっともイエレン議長、ドラギ総裁の講演を控え、売買代金は1.7兆円と連日2兆円を下回ったなかでも週間で最低の商いだった。マザーズ、ジャスダックは4連騰。
先週の海外動向を振り返る
25日のNYダウは30ドル高の2万1913ドルで引けた。週間では139ドル(0.6%)高だった。
コーン国家経済会議委員長がトランプ政権の重要策として減税を推し進めると発言したことを好感した。注目のジャクソンホールでは、イエレン議長、ドラギ総裁ともに金融政策に関した発言はなかった。ドラギ総裁がユーロ高を牽制する発言がなかったことで、ユーロが対ドルで急反発。一時1.19ドルと15年1月6日以来となるユーロ高となった。円もドル安となったためクロスレートで買われ一時109円11銭をつけた。もっとも、円の上値も重く、109円40銭程度でNY時間を終えた。
ジャクソンホールを無事通過、ドル円のレベルも想定圏内だったことで、日経平均先物の夜間取引は19470円と先週末の大阪先物の引け比20円高としっかり。
「8/28〜9/1」の株式展望
今週の日経平均のメインシナリオは、1万9290円から1万9790円でのレンジを想定している。週末に北朝鮮が短距離ミサイルを発射した。グアム向けではなかったが、9月9日の北朝鮮の建国記念日までは地政学リスクは意識せざるを得ない。
米国の政治運営リスクは、9月4日に議会が始まるまではいろいろな発言で市場は揺れそうだ。政治運営リスクがありながらも米国株は先週、139ドル高と3週ぶりに上げに転じている。ドル円も7週間ぶりに買われ、円安となった。
今週末も米雇用統計があるが、すでに9月利上げ予想はゼロ。普段の雇用統計に比べれば注目度は低い。
24日に東証が発表した8月3週の投資部門別売買動向で外国人は引き続き大幅売り越しだった。現物株は4週間連続で2057億円売り越し、先物は5週連続売り越しで3268億円の売り越しだった。現先合計では5325億円の売り越しで8月2週の5227億円を超えた。外国人がリスクオンに転じない限り大幅な日本株の上昇は期待できそうもないが、先週の出来高を見る限り、外国人の売り越しが一巡した可能性もある。31日発表の外国人動向に注目だ。
出来高が週間で今年最低と陰の極となる一方で新興市場が21日以降4連騰した。個人は大幅売り越しを続けており買い余力は高くなっている。打診買いを入れ始めた可能性が高い。きっかけさえあれば買いが入る下地はある。
日本株はGDPなどのマクロ統計も企業業績のミクロ統計も好調で、日経平均のPERは13.7倍と過去のレンジの下限である14倍を割っている
機関投資家もキャッシュ比率は高い。現在、世界で主流になっているバランス型のファンドは月初に債券と株などのアセットをリバランスする。そのため最近では月初に株高になることが多い。現在の円高傾向が止まれば、市場は戻り始める可能性もあるだろう。3日の秋篠宮眞子様の婚約発表でロイヤル・ウェディング・ラリーの可能性もある。一部で来年の消費税増税の延期などもささやかれており市場上昇のカタルシスになりえる。8日の日本のメジャーSQあたりが相場の転機となる可能性もあるだろう。
テクニカルでは、先週月曜日に25日移動平均と75日移動平均がデッドクロスした。デッドクロスは示現すれば4月6日以来。日経はその後4月17日の18224円まで約2%下げた。ただここからの2%ならそろそろ買い下がる局面なのかも知れない。
サポートは200日移動平均線の1万9292円。200日移動平均を割り込むと調整はさらに長期化する可能性もある。上値のレジスタンスは25日移動平均線の1万9792円。これを上回れば8月15日戻り高値の1万9824円。
今週の重要なイベントは、30日から1日まで英メイ首相来日、日英首脳会談が予定されている、31日はワールドカップアジア最終予選対豪選、1日は民進党代表選がある。3日には秋篠宮家の眞子様の婚約が発表される。海外では31日まで米韓合同軍事演習、3日から、中国でBRICS首脳会談がある。来週以降は7日にECB理事会、9日は北朝鮮の建国記念日。9月24日がドイツ総選挙などの重要イベントが控えている。
経済指標は、日本では29日に7月の労働力調査、有効求人倍率、家計調査、30日に7月の商業統計、31日に7月鉱工業生産、1日に4-6月期法人企業統計、8月消費動向、自動車販売がある。法人企業統計が重要で、DIや設備投資意欲が上がっていれば日本企業のファンダメンタルズの良さが確認できる。
海外では29日に米8月CB消費者信頼感指数、30日に米8月ADP雇用統計、米4-6月GDP改正値、31日中国8月製造帳PMI、米8月シカゴ購買部協会景気指数、31日に米8月雇用統計、ISM製造業景況指数、新車発売台数がある。重要なのは米雇用統計。市場予想は、非農業部門雇用者数が18万人増、失業率が4.3%。(ZUU online 編集部)
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