本当にイギリス経済は回復した?

リーマンショック直前の水準を回復したと言われるイギリス経済ですが、経済正常化を果たしたとは短絡的に言いがたい面もあります。そもそもリーマンショック前のイギリスは、1992年以降の実質国内総生産(GDP)は平均すると年率約3.3%程づつ成長してきました。もしもリーマンショックに関係なくコンスタントに成長を続けた場合で試算すると、現在の実質国内総生産(GDP)は-20.4%という計算になってしまいます。

おおざっぱな試算ですが、未だリーマンショックの影響が残り明確に回復したとまではいえない水準でしょう。法人減税が奏功したかどうかはまだ見極めが必要のように思えます。


成長戦略とセットになった法人税改革の必要性

本日8月13日、内閣府により4~6月期の日本の実質国内総生産(GDP)が発表されました。速報値は物価変動の影響を除いた実質GDPが1~3月期に比べて1.7%減と、2四半期ぶりのマイナス成長となり、年率換算では6.8%の減少となってしまいました。これは東日本大震災があった2011年1~3月期の6.9%に次ぐ大きな落ち込みです。

また個人消費は1994年以来、過去最大の落ち込みとなっています。甘利明経済再生担当相はこの発表後も、GDPの減少は消費増税後の後退による予想の範囲内とし、景気は着実な回復基調が続いているとの見解を示していますが厳しい現状といわざる得ません。

法人税を引き下げにより景気回復の見通しが着実に進むかどうかは、財源確保の問題や国内の設備投資をどれだけ増やせるかという今後の日本の成長戦略にかかっています。単なる減税だけではイギリスのように効果をあげていくことは難しいといえます。EU諸国の例に見られるような、法人税を引き下げても税収は減らない「法人税パラドックス」のケースを参考に、引き下げと同時の課税ベースの拡大や、規制緩和等の強い成長戦略とセットになった法人税改革に踏み込む必要があると見られます。

企業の業績回復が個人の所得を増やし、消費を押し上げ、株式譲渡益増や配当増につながっていくような経済正常化を政府には着実に実現してもらいたいと思います。

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