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Written by 長尾義弘(ながお・よしひろ) 62記事

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日本のがん患者の生存率はどれくらい? 「がん」にかかる本当のお金とは

読者のみなさんは「がん」にどのようなイメージを抱いているでしょうか?
「がん」と聞いただけですぐに「死」と結びつけて考えてしまう人もいるかも知れません。

先月、国立がん研究センターが「がん患者」を5年間追跡した生存率の集計を発表しました。それによると、すべての「がん」を対象とした生存率は「65.2%」です。前回よりも0.9ポイント高い数字となりました。この結果を「意外」と感じられた人も多いのではないのでしょうか。

私はファイナンシャルプランナーとして、様々な人の悩みと向き合ってきました。そうした中で、特に「がん」については色々な意味でイメージばかりが先行しやすい病気ではないかと感じています。

「がん」は怖くないといえば嘘になりますが、必要以上に恐れることもありません。
大切なのは「現実」と正面から向き合う勇気です。今回は、そんな「がんに備える」話を紹介しましょう。

「がん」の間違ったイメージを抱いていませんか?

がん,治療費
(写真=Thinkstock/Getty Images)

「がん家系だから『がん』が心配なんです……」
保険に関する悩みで、そんな相談を受けたことがあります。しかし、それは本当でしょうか?

国立がん研究センターのWebサイト『がん情報サービス』では、すべての「がん」の中で遺伝が原因と見られるものは「5%以下」であることが明らかにされています。遺伝の影響は絶対にない、とは言い切れませんが、少なくとも「がん家系だから」必ずがんになるわけではなさそうです。

かつて、「がん」といえば不治の病と思われていた時期もありましたが、それは昔の話です。医療は日々進歩しています。冒頭で紹介した「65.2%」の生存率をみても明らかですが、部位によってはさらに生存率が高まります。たとえば前立腺がんの生存率は97.7%、同じく乳がんは92.7%です。逆に生存率の低い部位は膵臓がんで9.9%となります。

がんの治療にはお金がかかる?

「がん」は莫大な治療費がかかるとイメージしている人も意外と多いですね。テレビCMなどの影響でしょうか?

しかし、「がん」の治療費についても「健康保険内」であれば自己負担はかかった治療費の3割で大丈夫です。高額療養費制度もありますので、一般的な収入の人であれば「月額9万円」くらいの負担となります。つまり、健康保険内での治療であれば「がん」も他の病気と同じなのです。

健康保険の対象にならない治療を受けた場合は?

ただし、健康保険の対象にならない治療もあります。

たとえば「先進医療」です。先進医療を希望する場合は「健康保険との併用」ができ、通常の治療と共通する部分の費用は一般の保険診療と同様に扱われ、先進医療の負担額のみ「実費」となります。とはいえ、決して安い金額ではありません。陽子線や重粒子線治療などは、ざっと200〜300万円の実費がかかります。

先進医療の費用については、医療保険等についている先進医療特約を契約していればまかなえます。ただし、医療保険の特約で先進医療費をまかなえたとしても、実際に治療を受けられるとは限りません。

なぜなら、陽子線・重粒子線治療ができる施設は、全国で13カ所しかないからです。年間処置数は約5000件です。国立がん研究センターのWebサイト『がん情報サービス』によると2012年に新たに「がん」と診断された「罹患全国推計値」は86万5238例です。先進医療を受けている人はごく一部で、多くの人が健康保険内での治療を行っているのが現状なのです。

自由診療ってなに? 健康保険と併用ができない?

「がん」の治療には自由診療という選択もあります。自由診療とは「日本では認可されていない医薬品や治療法」です。たとえ世界で「がん」の治療として実績があり承認されていても、日本で認可されていないものは自由診療となります。自由診療には抗がん剤などの医薬品や免疫療法、温熱療法といった治療法などがあります。

問題は、自由診療は先進医療のように「健康保険との併用」ができないことです。通常の医療費と自由診療の医療費を合わせた全額が「実費」となり、月額100万円くらいかかるケースもあるのです。

「がん」と診断された人の約3割が無職に

繰り返しますが、たとえ「がん」になっても健康保険内での治療であれば「月額9万円」くらいの負担となります。このくらいの金額であれば、なんとかなるかも知れません。

ただし、「がん」に関する備えは治療費だけではありません。私は「生活費の備え」も同じくらい重要と考えます。現実問題として「がん」の治療を受けながら、仕事も続けられる人はどれくらいいるでしょうか?

「厚生労働科学研究費補助金、厚生労働省がん研究助成金『がんの社会学』に関する合同研究班」の調査によると、「がん」と診断された勤労者の34%が依願退職、または解雇されているほか、自営業者の13%が廃業しています。

また、2009年にNPO法人がん患者団体支援機構とニッセイライフが共同で実施したアンケート調査によると、「がん」と診断された有職者の29%が無職になっています。平均年収は診断前の約395万円から、診断後には約167万円にまで減少しているのです。

がん患者は抗がん剤治療等により、長時間の勤務が難しいケースもでてくるのですが、理解の低い職場で「退職勧奨」を受けることが非常に多いことを上記2つのデータは示しています。果たして、あなたの職場は大丈夫でしょうか?

ライフスタイルは人それぞれだから…

最近のがん保険の中には、診断一時金、がん治療一時金を重視している商品等もあります。がん保険の一時金は、治療費に使っても、生活費に使っても自由です。また、治療に重点を置きたいという人には、自由診療に対応した保険も存在します。

今回は「がん」にまつわる話を取り上げましたが、大切なのは先入観にとらわれず「現実」と正面から向き合う勇気です。何に、どのように備えるかはその人のライフスタイルによって違ってきますので、この機会にじっくりと考えてみてはいかがでしょうか。

長尾義弘(ながお・よしひろ)
NEO企画代表。ファイナンシャル・プランナー、AFP。徳島県生まれ。大学卒業後、出版社に勤務。1997年にNEO企画を設立。出版プロデューサーとして数々のベストセラーを生み出す。著書に『コワ~い保険の話』(宝島社)、『こんな保険には入るな!』(廣済堂出版)『怖い保険と年金の話』(青春出版社)『商品名で明かす今いちばん得する保険選び』『お金に困らなくなる黄金の法則』(河出書房新社)、『保険ぎらいは本当は正しい』(SBクリエイティブ)、『保険はこの5つから選びなさい』(河出書房新社発行)。監修には別冊宝島の年度版シリーズ『よい保険・悪い保険』など多数。

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