都市,東京,ロンドン,ニューヨーク
(写真=PIXTA)

目次

  1. 首位は6年連続でロンドン
  2. 東京は2位ニューヨークに迫る 訪日外国人の増加がスコアアップに
  3. 東京が上位2都市に追い付く為の課題とは?

森記念財団都市戦略研究所による、2017年の「世界の都市総合力ランキング」では、東京は2年連続の3位であった。「交通・アクセス」や「文化・交流」のスコアを伸ばし、2位との差は縮まっている。一方で、首位ロンドン、2位ニューヨークに追いつく為の課題も調査で明らかとなった。

首位は6年連続でロンドン

「世界の都市総合力ランキング」は世界の主要44都市を対象に、都市の持つ様々な力を「経済」、「研究・開発」、「文化・交流」、「居住」、「環境」、「交通・アクセス」の6分野、計70指標から採点している。都市の持つ力を総合的に評価した日本初のランキングであり、2008年に始まって、2017年で10回目となった。

1位となったのはロンドンであり、2012年以来6年連続となる。ロンドンの強みは「文化・交流」分野での圧倒的なスコアだ。同分野のスコアは333.1と2位のニューヨークの233.1を大きく上回る。文化の発信力や文化資源といった従来から持つ強みに加え、食事の魅力や海外からの訪問者数といった項目も伸びているからだ。海外からの訪問者数が2012年の五輪開催以降も伸び続けている点は、東京の参考にもなろう。

ロンドンは他にも「経済」、「研究・開発」、「交通・アクセス」といった分野で2位となっている。「文化・交流」分野がけん引しつつも、他の分野も非常に高いレベルでまとまっている都市といえる。

2位はニューヨークとなった。2012年にロンドンに首位を明け渡して以降、こちらも6年連続の2位となる。「経済」、「研究・開発」の分野で首位となっており、「文化・交流」は2位、「交通・アクセス」は4位と多くの分野で上位にランクイン。ただ、近年の総合スコアは横ばい圏にあり、首位ロンドンに大きく引き離されており、3位東京にも迫られるなど、勢いには乏しいともいえる。

東京は2位ニューヨークに迫る 訪日外国人の増加がスコアアップに

東京は2年連続で3位にランクインした。総合スコアを前回より16.2ポイント伸ばし、2位ニューヨークとの差は前回の46.2ポイントから31.6ポイントにまで縮めている。分野別に見ると、「文化・交流」が前年5位から1ランクアップの4位、「交通・アクセス」が前年11位から5ランクアップの6位と大きく伸びた。「文化・交流」は美術館・博物館数等の集客施設の増加や、海外からの訪問者数増加がスコアを押し上げている。インバウンド需要の拡大が都市の総合力を高めているといえるだろう。「交通・アクセス」では、国際線直行便就航都市数や通勤・通学の利便性で評価を高めた。一方でタクシー運賃が割高である点などは課題である。

「経済」分野では4位にランクインしたが、前年の首位からは3ランクダウンとなった。GDP成長率の低さや為替の円安による影響が現れた格好だ。また、「居住」分野は前年6位から8ランクダウンの14位にまで下落している。他の都市と比較して女性の社会進出が遅れているなど、社会の自由度・公平さ・平等さの指標が低かった事が影響した。

なお、東京に次ぐ4位にはパリがランクインしている。2015年までは、東京を上回る3位であったが、同年の同時多発テロ以降、順位を落としている。また、日本からは大阪、福岡が対象都市に選ばれており、それぞれ26位、37位となった。

東京が上位2都市に追い付く為の課題とは?