昨日の海外時間には、米長期金利が低下する中、原油相場が下落しリスク回避の動きが強まって、ドル買い、円買いが優勢となってクロス円で円高となりました。カナダ中銀は予想通り政策金利を据え置きましたが、改めて慎重な姿勢を示したことからカナダドルは売られました。
昨日の海外市場動向
欧州時間、米長期金利が低下したことからドル円は112円を僅かに割り込みましたが、その後は112.10円付近を中心としたもみ合いが続きました。一方ユーロは、欧州株価が反発してユーロ買いが強まる場面もありましたが、原油価格が下落する中全般的なドル高で弱含みに推移し、ユーロドルは1.1800台まで、ユーロ円は132.40円台まで下落しました。
NY時間にはいって、発表された米・11月ADP民間雇用者数が無難な結果となったこともあって、引き続きドルは全般的に買われる中、ドル円は112.30円台まで上昇し、ユーロドルは1.1780付近まで下落幅を拡大しました。
NY時間午後にかけて、米長期金利が一段と低下する中各国株価と原油相場が下落するとドル売りが強まって、ドル円は112.50円台まで下落し、ユーロドルは1.1800付近まで1.1830付近まで上昇しました。
NY時間引け近くに、米上院が下院との税制改正法案に関する両院協議会入りを可決したこともあってか、東京時間にはいって日経平均が反発して、円売りが優勢となっています。
FF金利先物市場の年内のFOMC追加利上げ織り込み度合いは100%で変わらず、2018年6月の2回目の利上げの織り込みは約81%へやや低下しました。
今日の予定
今日の海外時間には独・10月鉱工業生産、米・新規失業保険申請件数の発表と、ドラギECB総裁の講演が予定されています。
今後の見通し
昨日の東京時間から欧州時間にかけて、トランプ大統領がエルサレムをイスラエルの首都と認定する、との報道を受けてリスク回避の動きで日経平均、欧州株が下落しましたが、NY時間にはいるとリスク回避の動きが一段落しました。
今回の決定は、もともと1995年に議会がテルアビブにある米大使館をエルサレムに移転する連邦法を可決したことに端を発していて、その後歴代大統領が半年ごとに実施を先送りしてきたものを先送りをしない、という決定をしたものです。この間トランプ大統領の他ジョージ・ブッシュ前大統領(共和党)、ビル・クリントン元大統領(民主党)らも大統領選の公約では大使館の移転を訴えていました。ただ、それを実行した大統領はいなかったのですが、トランプ大統領は公約通りの決定をしたのです。そう考えると、国際社会が考えているほど突飛な決定を突然したわけではない、とNY市場では冷静に受け止められたものと考えらえます。
そうはいっても、イスラム諸国からの反発はもちろん、EU諸国などからも懸念の声が上がっていて、明日8日には緊急の国連安保理が開催されるなど、今後も地政学的リスクが高まるなどの懸念は残っています。為替市場では、こうしたリスクに対してドル買い、円買いという動きになることが多いことから、ドル円は大きな動きとなりにくいのですが、クロス円での円高の動きに繋がりやすいことから注意が必要です。
112円付近でドル買いを目指す
111円台後半でのドル買いポジション構築を目指しましたが、その水準まで下がりませんでした。今ご紹介したように今後もリスク回避で円高の動きとなる懸念はありますが、一方で米議会で税制改正法案に関する両院協議会が始まることが決定しましたので、協議の進展を睨んで大規模な減税への期待から米長期金利、米株式の上昇が円売りを後押しすると予想できます。したがって本日はドル円で112円付近でのドル買いポジション構築を目指します。
(提供:FXプライムbyGMO)
高野やすのり
慶應義塾大学卒。チェース・マンハッタン銀行(現J.P.モルガン・チェース銀行)、スイス・ユニオン銀行(現UBS銀行)などでインターバンクディーラー業務等に従事。現、(株)FXプライムbyGMOチーフストラテジスト。
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