カンブリア宮殿,日本マクドナルド,西武ホールディングス
© テレビ東京

どん底から大復活~マクドナルドを変貌させた舞台裏

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今、マックが大変貌を遂げているという。埼玉県川越市のマクドナルド川越木野目店。店内には溢れんばかりの大行列ができている。客を呼んでいる秘密は、レジの横にあるもうひとつの店「マックカフェ バイ バリスタ」。色とりどりのスイーツがずらりと並び、まるで専門店のようなコーヒーが飲める。

さらに木目調のインテリアが気持ちのいい2階のフロアにも新たな魅力が。ガラスで仕切られた空間は、屋内型プレイランドを設けた小さな子供連れでも安心して遊べる家族専用の客室だ。マクドナルドは今、様々な最新の設備で客を呼び込んでいる。

低迷していたマックがV字回復を遂げている。

その業績低迷が始まったのは原田泳幸前CEOの時代だった。就任以来、好業績を叩き出して注目されていた原田は、2012年3月22日放送のカンブリア宮殿にも出演している。しかし、番組放送直後の4月から突然始まった売り上げの減少。その後、客離れは本格的なものとなり、マックは苦悩の中へ沈んでいく。

2013年8月、ついに原田でさえもその難局は乗り切れず、日本マクドナルドは1人の女性をトップに据える。それがサラ・カサノバCEOだ。

1965年、カナダ生まれのカサノバは、ロシアや東南アジアなど、世界のマクドナルドを経験。客の心をつかむマーケティングを得意としてきた。原田がトップの時期には日本で勤務。それまでなかった女性を意識したバーガー「エビフィレオ」をヒットさせ、「メガマック」なども成功に導いたヒットメーカーだ。

ところが、意気込んでトップになるや、マクドナルドを存続の危機に追い込む大事件が起きる。それが上海にあるマクドナルドの取引先が使っていたという使用期限切れチキンの問題だ。後に問題の鶏肉は輸入されていなかったという結論になるのだが、この問題をきっかけに、消費者のマック離れは一気に加速する。

さらにその後も異物混入問題が次々と発覚。カサノバはひたすら頭を下げるしかなかった。そして2015年の業績は、過去最悪の300億円を越える赤字を記録した。つい4年前、目映いばかりに輝いていたブランドの歴史に残る転落劇だった。

しかしカサノバは、そんな絶体絶命の危機からマクドナルドを大復活させてみせた。2017年8月の中間決算発表で、カサノバは「上半期の1店舗ごとの月商は上場以来類を見ないレベルに達しました」と言って胸を張った。

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6000人調査で客を魅了~執念で生んだ革新的バーガー

復活戦略の象徴が、4月に投入したレギュラーメニューとしては8年ぶりの新商品、「グランシリーズ」だ。ふんだんな新鮮野菜と厚切りベーコン。素材にこだわった具沢山のバーガー。このグランが売れに売れ、発売当初の5日間だけでも300万食を販売した。

グランが客を魅了するのは甘くてモチモチのバンズ。協力メーカーがとんでもない労力をかけて新たに開発したものだ。

埼玉県伊奈町のイナベーカリー。工場で通常のバンズを作るラインは驚くほどの速さで動いている。生産能力は1時間で6万個。日本では最速のスピードだという。ところがグラン独自に作られた生地は随分と遅い速度。完全自動化の工場にあって、生地を手でこねているのだ。手で丸めることで、つぶれていた生地に高さを出す。「高さを出すことで焼くときの火の通りも変わってくる。食感に微妙な影響を与えることができる」のだという。

効率重視のマックとしては、今までにない異例の商品作りだという。その理由は、グランが今までと全く違う方法で開発されたバーガーだからだ。

東京・新宿の日本マクドナルドの本社で担当者が見せてくれたのは、開発中の試作販売で集めた客の声。「全国販売の前に、大阪、名古屋など一部の地域でテスト販売をさせていただいた」(戦略インサイト本部・井手舞子)と言う。作った試作品の数は200種類以上。聞いた客の声はのべ6000人に及ぶ。

「今までのマクドナルドのハンバーガーのイメージをお客様に聞くと、おいしさに関しては、皆さんあまり期待していないというか、半ば諦めのご意見をたくさんいただいたんです。ただ今回のグランは、ハンバーガーのリーダーシップチェーンとして、本当においしいハンバーガーを提供するという意気込みが、全社員にありました」(井手)

グランで目指したのは、日本人が本当においしいと感じるハンバーガー。マクドナルドは世界共通のバンズより、柔らかさを求める日本人のニーズを掴み、実現に挑んだのだ。

グラン開発では、客の声を生かしてオリジナルの包装紙まで作った。バーガーをくるむとき、この包装紙はジャバラのように開く。紙を折り返し、2か所を留めることで、袋状になった部分にバーガーが収まり、こぼれたりすることなく食べることができる。

グランシリーズの開発に象徴されるカサノバの信条とは、日々店舗を回り、客の声を聞くこと。何の躊躇もなく食事をする客と会話を始める。知りたいのはマクドナルドを少しでも魅力的な店にするヒント。客の本音を引き出していく。

カサノバの改革は、まさに客の声を聞くことから始まったという。就任直後から47都道府県の店を一軒一軒回り、家庭を持つ母親たちの声を徹底的に聞いた。

客の声を経営に生かすために開発したのがアプリ「コド」。来店した店についての簡単なアンケートに答えていくと、ポテト(Sサイズ)の無料券がもらえるお得なサービスだ。導入以来すでに600万件の声を集め、マックの現場改善に役立てられている。

例えば、レジの横に受け取り専用カウンターを作り、スピーディーに番号で呼び出す仕組みに変えたのも客の声があったから。フロアの清掃が行き届いていないという声からは、来店の多い時間帯に店内を見回る清掃スタッフを配置した。

「私たちの4つの約束は『お客様目線になる』『一緒に取り組む』『現場に行く』『まず行動して積極的に動く』。現場は大好きです。オフィスにいるよりずっと楽しい」(カサノバ)

カサノバは現場で集めた客の声から様々なサービスを改善し、どん底の中から信頼を取り戻していったのだ。

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マック14万人を変えた~カサノバ流「ゲンバ」改革

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カサノバの徹底的に客の声を聞くスタイルの原点は来日する以前にあったという。それは1990年代、カナダからモスクワに赴任し、新店を任されたときのことだった。

カサノバは、オープンと同時にやってきた客の行動に衝撃を受ける。なぜか客は椅子に座ったまま。レジまで注文に来ないのだ。「注文の方法を知らなかったのです。ロシアのレストランとは全く違いますから」とカサノバ。彼女はそんなモスクワの人々のニーズを知るため、客ひとりひとりから話を聞き始める。

「話を聞くことで、彼らが何を求めているのか分かりました。これが原点です」(カサノバ)

カサノバが耳を傾けるのは客だけではない。日本マクドナルド本社で開かれていたのは彼女が主催する女性社員との交流の場「サラズカフェ」。社員たちのリアルな仕事の悩みに真剣に耳を傾ける。カサノバが常に意識するのは、現場の社員たちとの距離感だという。

別の日にマクドナルド本社で開かれていたのは、全国の店長を集めた研修プログラム「ハンバーガー大学」。研修が行われている部屋をカサノバがサプライズで訪ねた。全国から集まった店長と会話をするため、少しでも時間があれば顔を出す。

何かの心得を説くというより、自分を身近に感じてもらうためのコミュニケーション。最後は「皆さんに言いたいのは、皆さんの仕事はマクドナルドにとって本当に重要だということです。なぜなら皆さんは、私たちにとって最も重要な2つのものを扱っているからです。まず私たちの『お客様』、そして私たちの『人材』です。皆さんが毎日お客様とクルーを大切にしていることに、心から感謝します」と言って締めくくった。

最も大切にするのは現場との一体感。カサノバは改革を実現させる強い現場を作るため、あるスローガンを打ち出した。それが「POWER of ONE」。グランシリーズの開発リーダー、メニューマネジメント部の若菜重昭は言う。

「皆がひとつになって目標を達成しようということです。我々が100でも、他の部門が50なら全体は50になってしまう。0なら0になってしまう。全体の部門が100できると100の完成度でできます。商品開発にしても、メニューだけの問題ではなくて、納入業者からきちんとした原料が手に入るかなど、すべてが掛け合わされてひとつの商品が成功するのだと思います」

そんな「POWER of ONE」のスローガンが、現場の売り上げにも大きな効果を生んでいるという。

大分市にあるマクドナルド大分中島中央店もその一つ。お昼時、次々と注文が入る現場を覗いてみると、70種類にも及ぶメニューの注文を、20人を越えるクルーの連携プレーで、次々にさばいていた。ドライブスルーの客も待たせずに提供。笑顔を絶やさない息のあった連係プレーで、商品の提供時間がどんどん短縮している。「メニュー提供に40~50秒かかっていたクルーが、最近では30秒台を普通に出せるようになりました。自然と売り上げも上がっています。チームワークがないとできないことです」と言う。

このチームワークの良さには秘密があった。ある動画がスタッフを一つに結びつけたという。それは全国のマクドナルドで競い合っているオリジナルダンス。実はこれは「POWER of ONE」の一体感を作り出すための仕掛け。日本中の店舗スタッフから、食材の納品業者まで、ダンスを通じてひとつに。14万人の人材が一致団結することこそがどんな危機にも負けないパワーを生む。カサノバが率いる新たなマックの強さだ。

カサノバ改革について、大阪のフランチャイズオーナー、佐藤明さんは「原田さんとサラの違いは、サラは明らかに私たちとコミュニケーションを取ってくれることです」と言う。カサノバは佐藤オーナーと共に闘うため、何度も直接足を運んできたという。

「彼女が一番しんどかったときも来てくれた。この人には付いていくことができる、と思いました。小さなものの集まりが大きな矢に変わっていく。信頼関係がなかったら、付いていきませんから」

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どん底から大復活~激変する西武、謎の絶品列車

東京・西武新宿駅のホームに入ってきたのはカラフルな列車。今、話題の特別列車だという。中はまるでレストランのような空間。貸し切りで走る観光列車なのだ。

終点・秩父までの2時間半を、コース料理を楽しみながら過ごす日帰りの旅「西武旅するレストラン 52席の至福」。キッチン車両で作るのは、腕利きのシェフによるこだわりのフレンチだ。おいしい料理と風景をゆったり味わえるこの列車に、予約が殺到しているという(ブランチコース1万円、西武線1日フリー切符付き)。

到着した西武秩父駅にも、最近、人気の施設がある。日帰り温泉「祭の湯」。秩父の山並みを眺めながらゆったりと旅の疲れを癒すことができる天然温泉だ。大小5つの風呂を楽しめて980円(大人・平日)。風呂上りの客を待ち構えるのが、秩父のうまいものが集まる「ちちぶのみやげ市」。名産「しゃくし菜」の漬物も置いてある。

そんな新たな魅力で秩父を生まれ変わらせているのが西武グループ。魅力ある施設で客を呼び込むのは西武ホールディングス社長、後藤高志は「どうすればお客様に喜んでいただけるか、いつも考えています」と言う。

首都圏を走る西武鉄道に全国のリゾート開発、そしてプリンスホテルを展開する巨大グループ、西武。しかし2005年、その西武を衝撃のニュースが襲う。世界の長者番付に載るほどのカリスマ経営者、西武グループを作りあげた堤義明氏の逮捕だ。

当時、有価証券報告書の虚偽記載など様々な不祥事が明るみになり、西武は存続の危機に立たされる。全国各地にホテルなどをつくり、その有利子負債は1兆4000億円にまで膨らんでいた。2004年には上場廃止に追い込まれている。

大混乱に陥った西武に、メインバンクのみずほから送り込まれたのが後藤だった。

そして打ち出した復活戦略が、「選択と集中」ならぬ「峻別と集中」だった。

「よく経済学の本では『選択と集中』という言葉が使われますが、僕は選択なんて生易しいのはダメだ、峻別だ、と。あえて厳しい言葉を使って改革を実行したんです」(後藤)

その言葉の通り、後藤は全国160を超えるホテルなどの事業所を回り、徹底的に物件の価値を精査する。最終的に70にも及ぶ事業所の削減を断行した。

例えば利益の出ていなかった「旧箱根プリンスホテル別館」も峻別の対象となり、2012年に営業を休止した。元ホテルスタッフの稲葉健二は「やはり自分が働いているところがなくなって、つらいですね」と語る。

だが後藤は、峻別によってホテルを30棟減らしたにもかかわらず、プリンスホテルの売り上げをV字回復させるという離れ業をやってのけた。

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上場廃止から大復活~プリンスホテルの復活戦略

都心から車で1時間ほどの「大磯プリンスホテル」。夏場は客で賑わう人気スポットだが、夏にしか稼げないホテルだった。ところが今、そんな大磯に、冬にもかかわらず大量の客が押し寄せるようになった。

今年新たにできたのはオーシャンビューのスパリゾート施設。お湯につかると、まるで海に浮いているかのような感覚が味わえる。後藤は「大磯プリンス」を、海を見ながらサウナやジャグジーまで楽しめる、冬にも行きたいリゾートへと変貌させたのだ。

一方、80年代に空前のスキーブームを巻き起こした西武の苗場スキー場。映画『私をスキーに連れてって』でも知られ、ユーミンのヒット曲が流れるゲレンデは、出会いを求める若い男女で埋め尽くされた。

ところが今、苗場スキー場のゲレンデは、どこもかしこも子供連れの客ばかり。若者のスキー離れを受け、「苗場プリンスホテル」は、ターゲットをカップルからファミリーに切り替えたのだ。かつて若い男女で賑わったプールは取り壊わされ、まだスキーの滑れない子供でも楽しく上達できるスキー教室「苗場パンダルマンキッズスクール」(受講可能は3歳~)の施設に。また、小学生までのリフト料金を業界で初めて無料にした。様々なサービスで新たな客層を呼び込んでいるのだ

そして後藤の西武改革の集大成が、東京・千代田区に去年建った「東京ガーデンテラス紀尾井町」だ。

かつてここにあったのは赤プリこと「赤坂プリンスホテル」。設計は世界的建築家の丹下健三。80年代にはクリスマスを恋人と過ごすために男たちが予約を争ったホテルだ。しかしバブルの崩壊とともに収益は悪化。2011年、西武は赤プリの解体を決定した。

「単純にホテルを建て替えるだけだと価値が高まるわけではありません。都心の一等地にあるのだから、複合再開発をやろう、と」(後藤)

後藤は立地の良さを最大限に生かし収益性の高い複合ビルへと変貌させる。高級賃貸マンション「紀尾井町レジデンス」を併設し、オフィスは24フロア。現在、年商8000億円のヤフージャパンが入居している。そして上層階は赤プリを受け継ぐホテル、「ザ・プリンスギャラリー東京紀尾井町」だ。

そのフロントは36階。競合に負けない高い稼働率を誇る高級ホテルだ。最上階にあるツインルームは1泊6万6528円。部屋のあらゆる設備を、端末で簡単に操作できるハイテク仕様になっている。さらに海外の高級ホテルでは当たり前の高い天井も確保した。

最大の自慢が壁一面の巨大な窓。後藤一押しの窓からは、都内屈指の夜景が満喫できる。

「景色が額縁の中の絵のようなので、『ギャラリー』という名前を付けたんです」(後藤)

1~4階にレストランやカフェなど30以上の商業施設をテナントに入れたこのビルは、今、赤プリ時代の5倍の利益を生み出している。一時代を築きながらも、いつしか時代に取り残されていた全国のプリンスホテルに、後藤は現代のニーズに合わせた大胆なリニューアルを施し、新たな価値を生み出してみせたのだ。

「峻別して、集中する事業所については、バリューアップをスピード感をもってやろう、と。それぞれのホテルがしっかりと、西武グループの成長戦略を担ってくれていると思います」(後藤)

2014年4月、執念の改革に明け暮れた西武に念願の日が。9年ぶりとなる再上場を果たしたのだ。いつにない後藤の笑顔が、厳しかった道のりを物語っていた。

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指示待ち族が激変~やる気を生んだ意識改革

復活を遂げた西武の改革を象徴するのが「グランドプリンスホテル新高輪」で人気を呼んでいるビュッフェレストラン「スローブサイドダイナー ザクロ」(ランチブッフェ4400円/大人、平日)。人気の秘密はそこかしこにいる大勢のシェフたち。目の前で熱々の料理を作ってくれるライブ感覚のビュッフェだ。

実はこのユニークなスタイルは現場のシェフが考えたものだという。料理長の板橋重朗は「スタッフと意見交換して新しいメニューを作っています。みんなの意見があるからレベルもアップしていく」と言う。

様々な改革のアイデアを率先して現場に任せてきた後藤。そんなやり方を始めたのは、西武に来た当初、現場を回る中で社員たちのある意識に驚いたからだという。

「西武グループには真面目で実直な人が多いのですが、自分で考えてリスクを取って実行することについては非常に臆病でした」(後藤)

「赤坂プリンス」で20年以上働いていたという「ザ・プリンスギャラリー東京紀尾井町」の大森伸翁総支配人は「自分で『こうしたほうがいい』と、声を大にして言った記憶がないです。指示待ちの体制だったと思います」と言う。

それは長年、西武に君臨した堤によるトップダウン経営の弊害。そんな指示待ち族だった社員の意識を変えるために後藤が始めたのが、現場社員に新規事業を企画させる「ほほえみファクトリー」だった。

「ひとりひとりの人材を活性化することが絶対に必要だった。それはもう、全然変わりました」(後藤)

客を笑顔にする様々なアイデアを部署の垣根を越えて自分たちで実行に移す。これを繰り返すうちに、指示待ち族が改革の戦力に変化していったという。実際、今、西武の現場では、自立した社員たちが様々なサービスを生み出している。

例えば、若くして料理長に抜擢された「グランドプリンスホテル京都」の野口紗和子もその一人。季節ごとに近隣の農家を訪ね、今までにない地域色豊かなメニュー作りに励んでいる。

一方、苗場のスキー場をユニークなアイデアで盛り上げようと奔走しているのは、企画担当の今泉超利だ。苗場のSNSで「いいね!」が3万人になったらナイター営業を決行するという。12月9日。苗場のゲレンデにナイターの灯がともった。「いいね!」の数が3万人を超えたのだ。

「お客様と直接会って、私たちがやりたかったことが伝わったのが感じられた。面白いですね」(今泉)

かつての指示待ち族が企業の生き残りに挑み、客を掴む新たな魅力を生み出していた。

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~村上龍の編集後記~

以前、取材で某大手企業を訪ねた。役員専用のエレベーターとフロアがあって、ここはダメだなと直感的にそう思った。

今回、後藤氏とカサノバさんと会い、理由がわかった。経営陣と現場が構造的に遮断されている会社は必ず没落する。

西武ホールディングスもマクドナルドも、見事にどん底からの復活を遂げたが、それは奇跡などではない。

お二人とも、企業にとってもっとも重要で普遍的なことを実行した。つまり実際に現場に行き、従業員と徹底して話し合った。 会社を支えるのは人であり、その真理は戦国時代から不変だ。

<出演者略歴>
サラ・カサノバ 1965年、カナダ生まれ。1991年。マクドナルド入社。2004年、日本マクドナルドマーケティング部長。2014年、日本マクドナルドCEO就任。
後藤高志(ごとう・たかし)1949年、東京都生まれ。1972年、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。2006年、西武ホールディングス社長就任。

放送はテレビ東京ビジネスオンデマンドで視聴できます。

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