「AI」と「BI」とは何かAIとBI。
まるで語呂合わせのような組み合わせだが、この2つの言葉が今後の社会を大きく変える可能性を秘めている。
AI(Artificial Intelligence、人工知能)とBI(Basic Income、最低限所得保証)。この2つの言葉は一見、何の関連もなさそうだ。しかし、AIが人間から仕事を奪い、AIなどを扱う高度な知的労働階級と職を失う単純労働階級の二極化(デジタルディバイド)が進むと、社会を維持するには富の再分配を行う必要性がでてくる。その方法論として、注目されているのが「BI」という考え方だ。
最近では経営コンサルタントの波頭亮氏の著書『AIとBIはいかに人間を変えるのか』(幻冬舎、NewsPicks Book)も注目されている。
AIとBIの組み合わせは、人を幸せにするのか。その議論をたどってみよう。
2030年には700万人の失業者が生じる恐れ
2015年、野村総合研究所からセンセーショナルな予想が発表された。それは日本の労働人口の49%が人工知能に置き換えることが可能、という内容だった。将来AIに取って代わられるであろう職種が具体的に明示されたことを覚えている人も多いのではないだろうか。
その予想を証明するかのように、2017年末、メガバンク3行がAIを活用して大規模な人員削減に踏み込むと発表した。一方、日本政府は「日本再興戦略2016」の中で第4次産業革命を打ち出し、特に今後の生産性革命を生み出す鍵は、IoT(モノのインターネット)、ビッグデータ、人口知能、ロボットセンサーの4つだと定義している。
この第4次産業革命に的確に対応していかなければ、労働者の中間層の崩壊を招き、その状態を放置すれば2030年には700万人もの失業者が生じると経済産業省は試算している。