AI,伸びる業種,
(写真= maxuser /Shutterstock.com)

AI(人工知能)は様々な産業・業種で活用が始まっている。かつて蒸気機関やインターネットが世界を一変させたように、AIにおける技術革新も世界を変える可能性を秘めている。ここではAIによって台頭する業種と、残念ながら衰退する業種を予測し、検証する。

伸びる業種~AIの基盤を支えるハードウェア、学術研究

AIはICTをフル活用するため、この部分の業種、つまりハードウェアを構築したり、通信インフラを整備したりと言った部分は最重要部分となる。安定して稼働する優れたハードウェアが無ければ、いくら優れたAIがあったとしても利用することはできない。

またAIを構築するプログラムの部分は、それまでの研究業務や、蓄積された経験則をもとにするため、基礎研究を含んだあらゆる学術分野が伸びる可能性がある。これまでは「経済学や経営学など、実践にはあまり役に立たない」と斬って捨てられていた部分もあったが、学術研究は人知を尽くした「財産」であり、AIがその財産を代行してわかりやすい形でフィードバックを返すとすれば、実践における利便性は飛躍的に向上する。

研究開発に力を入れ、適切な予算を投じることに理解のある企業は、うまくAIを活用することにより伸びる可能性を秘めている。またAIを正しく理解するためのリテラシーも必要となり、初等教育段階からのICT教育もそれに合わせたカリキュラムにする必要があるため、教育分野においても需要が増すものと考えられる。

衰退する業種~不誠実な管理業務

反面、AIを活用することによって必要となくなる業種も(残念ながら)存在する。よく言われるのが「単純作業をAIに行わせるため、それに従事している人間は職を追われる」という主張である。確かにそれもあるかもしれないが、それは「ロボット」の話であり、AIとは少し異なる。

筆者が特に注目したいのは、企業内で労務管理を行う組織や管理職がAIにとって代わられるのではないかという点である。管理職は、部下の働き具合を査定する義務を持つ。その査定が記録として残るのであれば、それを基にしてAIが従業員を「公平に」判断し、得られたフィードバックから経営層が従業員を「公平に」判断することが可能となる。

「ブラック企業」という言葉がちまたでは使われているが、残業時間が多い者が単純に評価されたり、使用した有給休暇が少ない者が評価されたりといった、不誠実かつ不条理な事が行われているブラック企業も多い。

この部分がAIを活用することによって正当に評価されるとなれば、採用面接業務なども含めてAIを使ったソリューションを提供できる外部に委託することも可能となる。公平な管理手段が経営層に直接届けられれば、こういった不誠実な管理職は社会から必要とされなくなるのではないか…筆者はそう考える。事実、そのような「人事ソリューション」は急速に増えつつある。

最終決定権を誰が(何が)握るのか

実はここでの区分は「業種」であり、産業で区切っているものではない。例えば製造業は、組み立てなどの単純労働業種は衰退する(人間の職を奪う)が、逆にそれを支えるインフラに関連する業種は伸びる(人間が必要となる)という具合に、同じ産業の中でも衰退する部分と伸びる部分が明確に分かれると推測される。

かつて1980年代に産業用ロボットが人間の職を完全に奪う……と危惧されたことがあったが、それより40年経過しようとしている現在においても、依然として工場の中で働く人は必要とされており、決してゼロになるわけではない。

考える事を代行するとされているAIだが、最終決定は人間が行う事になり、AIはその意思決定の補助をするだけにすぎない。もちろん意思決定の部分をも自動化するということも可能だが、その決定された結果で事故が発生したり大きな損失が出たりした場合、誰がその責任を取るのかという難しい問題がある。

人間に最終決定権を残したままの場合、AIによって得られたフィードバックを判断するのは人間となるので、「職域区分」は明確となる。産業用ロボットが急速に伸びてきた時代同様、人間が全く必要なくなる社会というのは考えにくい。

人間よりAIが優れているのは「嘘をつかない」点

AIは使われるプログラムの種類にもよるが、基本的には人間が下しがちな恣意的な判断や楽観的な判断を安易に行わない。もちろん根回しや出世欲というのも持ち合わせていないので、AIが下す判断は極めて客観的かつ不偏的なものになる。

考えるためのアイデアを得る引き出しとしてAIは存在するが、公平に考えるためのツールとしてAIを使うことが出来れば、人間がAIを使って人間らしさを取り戻し、AIには真似ができない分野、つまりクリエイティブな環境で仕事ができるようになるのではないだろうか。誠実さのかけらもなく、嘘をつき、無意味な根性論に固執する人間は、AIに駆逐されることを覚悟しなくてはならないだろう。(信濃兼好、メガリスITアライアンス ITコンサルタント)

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