2016年の確定申告が終わり、還付金も振り込まれ、一連の作業が完了してほっと一息をついている納税者も多いだろう。しかし次は、2017年の確定申告に向けての準備を始めなければならない。2016年度税制改正によって、法人税改革や消費税の軽減税率、少子化対策・教育再生や地方創生の推進などが行われるが、その中から2017年の確定申告や税金の支払いに影響を及ぼしそうな税制改正をチェックしておきたい。

制度を知らないと、支払う税金が大きく変わってくるため、ポイントをしっかりと押さえておこう。

薬購入時にはセルフメディケーションをチェック

税制
(画像=PIXTA)

2016年度税制改正の中で、より多くの人が利用できそうな制度が「セルフメディケーション」だろう。この新しい制度は、対象となる医薬品を購入すると、その代金が課税所得から控除できる仕組みだ。条件として、健康診断やがん検診など定期健診を受けている必要があるが、勤務先での定期健康診断も対象に含まれる。

また薬の購入代金のうち、1万2,000円を超えた分が控除の対象となり、最大で8万8,000円が課税所得から控除されることになる。例えば、課税所得が400万円の人が、対象となる医薬品を年間2万円購入すると、1万2,000円を超える8,000円分が課税所得から控除され、これにより所得税1,600円、個人住民税800円がそれぞれ安くなる。日本一般用医薬品連合会のホームページからは、減税される金額がシミュレーションできるようになっているので、確認してみるといいだろう。

かぜ薬や胃腸薬、目薬、貼り薬など一般的な医薬品1,622品目(2017年4月18日時点)が対象となっている。品目の一覧は厚生労働省のホームページから確認できるほか、対象となる多くの医薬品のパッケージにセルフメディケーションの目印が記されているので、薬を購入する際にはチェックしよう。

リフォーム、空き家売却にもメリット

2016年度の税制改正には、住宅関連の特例も含まれている。まずは、3世代が同居するために住宅をリフォームすると、その特例の対象となる。標準的な工事費用額の10%に相当する金額を、上限25万円までその年の所得税額から控除できるようになる。また、リフォームのためにローンを組んだ場合は、ローン残高の1,000万円以下の部分が所得税額から控除される対象に含まれるようになる。具体的には、ローン残高のうち3世代が同居するためにリフォームする工事費の2%、それ以外の工事費の1%が5年間にわたって所得税額から控除され、5年間で最大62万5,000円が所得税額から控除される仕組みだ。

この制度の対象となる工事は、キッチン、浴室、トイレ、玄関のいずれかを増設し、リフォーム後にこれらの4つのうち2つ以上が複数設置され、そのリフォーム費用が50万円を超えるものである。

3世代住宅のリフォームに加え、空き家対策のためにも税制改正で特例が設けられた。1人暮らしをしていた親などが亡くなり家を相続した場合、家の耐震リフォームを施して売却したり(耐震性のある家屋はリフォーム不要)、家を取り壊して更地の土地を売却したりして得られる譲渡所得のうち、3,000万円が特別控除の対象となる。

国土交通省の試算では、相続した家屋(取得価額不明)を200万円かけて取り壊し、更地となった土地を500万円で譲渡した場合、取得価額が不明のため、譲渡した金額の5%で計算し、このケースでは取得価格を25万円とする。つまり、500万円の譲渡額からみなしの取得額25万円と取り壊し費用200万円を差し引いた275万円が譲渡所得となる。

本来、特例措置がない場合は、この譲渡所得に対して所得税、個人住民税合わせて55万円がかかる。しかし、今回の税制改正で3,000万円までは特別控除となるため、この譲渡所得のケースでは所得税と個人住民税が課税されない。この特例が適応されるのは、譲渡価額の要件が1億円以下となっている。

毎年政治の舞台では駆け引きが繰り広げられる税制改正だが、普段の生活に影響を与える内容も多い。特に2016年度の改正では、セルフメディケーションと住宅関連の改正は頭の片隅に置いておきたいポイントだ。(提供:iyomemo

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