(2020年11月27日編集部一部加筆)

保険の保険、というしくみとは

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保険商品の本質は、「リスク回避」です。生存リスク、事業リスク、経営リスクなど、リスクへの補償には、必ず保険加入で対処しようと考えます。ですが、保険はあくまでも「不確実なリスク」への予備的な対処法でしかありません。場合によっては国であっても防ぎきれないリスクは存在します。

そのために、保証を事業化している公営の保証会社や、国営の金融機関、そして保険会社なども、自社の事業リスクを回避するために「再保険」を行っています。これを専門に行う会社を「再保険会社」といい、あるいはその仕組みを「再保険」と呼んでいます。

1.再保険の意味はなにか

バブル崩壊といわれた時代、日本では国内生保の数社が破綻したり、他社に吸収合併されたことがあります。生保会社が破綻すると、困るのは契約者です。影響は保険金の減額や、保険料(掛け金)の値上がりに反映し、今後の生活設計にも大きく響いて来るのです。かといって、安全な保険会社に鞍替えするのも容易なことではありません。保険会社の経営状態は、金融庁で厳しくチェックされていますし、むしろ保険に加入する契約者の健康状態で「謝絶」されることも多いからです。

そのため、現在では「生命保険契約者保護機構」「損害保険契約者保護機構」が設立され、生保損保の両者で破綻に追い込まれた保険会社を救済する「再保険」の仕組みが整えられているのです。

2.再保険会社と保険会社の再保険の違い

「保険会社が共同で保険契約者の契約を守る仕組み」という機構を設立したおかげで、最近は一般契約者が保険加入の『リスク』までは考えない風潮が広がっています。

ところで、世の中には「再保険会社」というものがあります。これは、保険会社専門の保険会社であり、生保や損保の収益リスクに対して補償を行うものです。たとえば、アメリカや欧州ではハリケーンや洪水などで、近年大規模な自然災害が発生しています。こうした天災に対して、損保も生保も様々な保険商品を販売していますが、家屋が全壊し、収入補償が必要となり、あるいは怪我や病気の保障から事業の災害補償と、様々なリスクがいっぺんに起こる場合、生保も損保も一時的に給付金、保険金の支払いが増大します。

保険会社は通常、保険料を現金で積み立てているのではなく、国債社債、外債や株式などで運用していますので、当座預金は多くはありません。そのため、急な保険金支払いに則し、資金ショートに備えて再保険会社に加入しているのです。逆にいえば、もし甚大な災害や紛争などの人災などがなければ、再保険会社は「保険金支払いがなく」儲かることにもなります。そのため、市場ではこうした再保険の商品を『債権』として販売するケースもありますが、死亡率や災害発生率は市場関係者には理解しにくい、ということで、それほど拡大してはいません。

3.小規模保険会社を支える再保険

最近は保険会社を運営するのは、何も保険専業会社だけではありません。例えば、少額短期保険会社(例、ペット保険など)は、リスク回避のため、再保険会社に加入しています。また、再保険会社の役割として「様々な保険の設計根拠」である、死亡率の作成、海外事業を行う生保や損保会社のための「リスク発生率」の算定など、保険会社の大小を問わず、そのコンサルティングを行っているのです。

4.損害保険で利用される再保険

生命保険よりも損害保険のほうが保険金の請求が多いため、再保険は損害保険で利用される傾向が強くなります。損害保険のでも特に、地震保険が再保険を活用していると言えるでしょう。なぜなら、地震保険は責任準備金が多く必要になる可能性が高いからです。

責任準備金とは「将来の保険金を給付するためや、解約返戻金の支払いをするために、加入者からの保険料や運用収益をもとにして積み立てておく準備金」のことです。地震保険は再保険を利用することで、この責任準備金では補えなくなるリスクを軽減させています。

また、地震保険を提供している損害保険会社が契約する再保険専門会社の受け手は、日本地震再保険株式会社です。そして、日本地震再保険株式会社は日本政府に支払われた保険料の一部を納めています。このように、保険金の請求が巨額になり得ない地震に備えて、日本政府が補償する仕組みを構築しています。

よって、地震保険は日本政府による補償があるため、どのような損害保険会社と契約しても保険料が同じです。

金融のリスク回避は、緻密にできている

金融といえば、銀行•証券•保険の3分野が知られています。みな、根拠法が整備され、利用者や加入者の自己責任も認めつつ、国の基準でセーフネットが完備しています。日本は健康保険制度が「皆保険」であるため、生命表とよばれる5年おきに作成される「国民の平均余命表」がかなり正確です。

生命保険業の緻密な商品設計は、世界でもトップレベルですが、それでも対応できないのが、最近の急激な自然災害です。津波、地震、洪水、地盤沈下といった再災害での損害保険商品を考える際には、どの会社でも再保険に加入していることを知って、安心して加入しましょう。

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