始めるなら、この年末がチャンス!
ここ数年、盛り上がりを見せている「ふるさと納税」。何やら得するらしいとは知っていても、なかなか実行に移せないでいる人も多いはず。実はこの制度、所得が多い人ほど得することができるという、富裕層にはうれしい制度。やらない理由が見当たらない。
しかも、ふるさと納税で受けられる税金控除の枠は、毎年リセットされる。2018年分は年末までに手続きを終えないと、その枠が消えてしまう。そのため、ふるさと納税は例年12月にピークを迎える。まだやっていないという人にとっては、まさに「始めるなら今でしょ!」という絶好のタイミングなのだ。
そこで、なぜそんなにお得なのか、実際にどのくらいお得なのか、始めるにはどうすればいいのかなど、「ふるさと納税」の基本を未体験の人にもわかりやすく解説する。制度のカラクリや手続き方法、最新の返礼品事情などを順次紹介するので、これを読んだら早速トライしてみよう。
ふるさと納税は「自治体への寄付」
そもそも「ふるさと納税」とは、自分が選んだ自治体に寄付することにより、住民税や所得税の控除(減額、還付)が受けられる制度のこと。「納税」と付いているので誤解されがちだが、その実体は「寄付」。「ふるさと」といっても、寄付先は自分の生まれ故郷やゆかりの地である必要はなく、全国の1788自治体から自由に、複数選ぶことができる。
もともと地方と都市部の税収格差を是正することを目的に考案され、2008年にスタートした。地方の住民サービスを受けて育った人が成人して都会で働くと、住民税は居住する都市に納めることになり、生まれ育った地元には納められない。「なんとか地方に恩返しとして納税する方法がないものだろうか」という発想から生み出されたのが、この制度だ。通常は居住地に納めている税金の一部を、「自分の意思で別の自治体に移転する」という効果がある。
といっても、すべてを移転できるわけではない。最近では、ふるさと納税によって都市部の自治体から住民税が流出していることが問題視されているが、他自治体に移転できるのは、住民税(所得割)の約2割が上限。また、ほとんどの自治体では、流出した税金の75%が地方交付税交付金によって補填される(東京23区などの不交付団体を除く)。したがって、それほど影響は大きくないともいえる。そもそも地方と首都圏の税収格差を是正するための制度なのだから、必然の結果という見方もできる。
寄付先が出身地などに限定されないのは、「ふるさと」と感じる地域は人それぞれであることから。災害時に被災自治体へふるさと納税による寄付が集まるのも、このスキームのおかげだ。
寄付への返礼品が話題となり、一気に拡大
ふるさと納税は2008年の開始から数年間は認知度も低く、あまり利用されなかった。しかし、2011年の東日本大震災の際に、被災自治体にピンポイントかつスピーディーにお金を届けられる手段として注目を集め、利用者が増加した。
そして、2013年頃から寄付者へのお礼として、各自治体が地元の特産品を贈るようになったことから話題を呼び、認知度がアップ。寄付へのお礼は、当初は首長からの礼状やお土産セット程度が主流だったが、やがてブランド牛や魚介類などの特産品が登場した。次第に魅力的な特産品を揃えた自治体が寄付額を伸ばす傾向が顕著となり、各自治体がその豪華さを競うようになった。特産品だけでなく、現地に赴いて利用するスポーツ、レジャーの体験チケットや宿泊券、食事券なども人気を集めている。
2015年には制度が改正され、よりお得になり、手続きも簡素化されたことから、一気に利用者が増え、一大ブームともいえる状況になった。寄付者は年々増え、2010年度に100億円程度だった寄付金額も、2017年度には約3650億円にまで膨れ上がった。といっても、利用者数は全体から見ればまだ16%程度で、6人に1人の割合。まだまだ拡大する余地は大きく、来年には5000億円程度に達するだろうとも予測されている。