(本記事は、掛越直樹氏の著書『なぜかお金持ちを引きつける経済トークの磨き方』秀和システム、2017年6月21日刊の中から一部を抜粋・編集しています)

お金持ちが経済トークを好きなわけとは

なぜかお金持ちを引きつける経済トークの磨き方
(画像=upslim/Shutterstock.com)

経済の話が好きな方はどのようなタイプなのでしょうか?

私の経験上、それに当てはまるのは「お金持ち」の方が真っ先に頭の中に思い浮かびます。

漠然とお金持ちと言っても、人それぞれイメージが異なってきますが、一般的に定義されているお金持ち、いわゆる富裕層の基準は金融資産1億円以上を保有されていらっしゃる方です。

仏・キャップジェミニ社が刊行している「ワールド・ウェルス・レポート」によれば2015年の日本のお金持ちは約272万人でこれは前年に比べ約11%増加しています。

また日本は米国の約445万人に次いで、世界第2位のお金持ち大国となっています。

日本の総人口は約1億2千6百万人ですから、そのうち、お金持ちが占める割合は約2%強ということになります。

つまり100人中、2人は定義上、お金持ちの部類に入るということです。このデータを見れば、数字上は意外に周りでお金持ちの方はいらっしゃるということになります。

ではお金持ちの方が就いている職業といえば、みなさんなら何を思い浮かべるでしょうか?

職業の中で多いのは、「医者」や「会社経営者」ということになってきます。

あとは弁護士、会計士、税理士などといった「士業」の方、それにスポーツ選手や芸能人といったところですが、これも私の経験上ですが、その中でも最初に挙げた医者と会社経営者を合算すれば半数はいっているのではないかと思っています。

これでみなさんはこれまで述べた説明からお金持ちのイメージ像が少しずつ浮かんできたのではないでしょうか。

ではなぜ、お金持ちは経済トークが好きなのでしょうか?

それは、お金持ちは総じて知的な方が多いように思われるからです。

たとえば、医者であれば、大学の医学部を卒業し、医師免許を取得しなければなりません。

医学部に入学する際も高い学力が要求され、入学してからも免許取得のために勉強漬けの日々が続きます。

これだけ勉強を続けていれば、物事を考えたりするときに論理的かつ理知的な力が養われていきます。

そのようなことからも医者と雑談をするときには、天気や野球の話も必要ですが、時には知的な会話も盛り込んだほうがいいのです。

中でも経済の話は医者にとってなじみが少ないのですが、それが逆に彼らの「知りたい」という知的好奇心をくすぐることになってきます。

会社経営者の場合は売上や利益を伸ばすことを常に年頭に置いているため、経済トークは今後の会社経営のヒントにもつながってくるということです。

ですから会社経営者も雑談に経済の話を入れたほうがいいでしょう。

これで、お金持ちが経済トークを好きな理由がお分かりいただけましたでしょうか。

●まとめ

・2015年日本の金融資産1億円以上のお金持ちは約272万人
・お金持ちは医者や会社経営者などが多い
・お金持ちにとって、経済トークは彼らの知的好奇心をくすぐる

5分で読む日経新聞の活用法

ここからはみなさんが経済トークをするにあたって、どのように経済に関する情報を入手していくかについて説明していきます。

まず、最初は日経新聞についてです。

この新聞を知らないという営業マンの方はほとんどいないでしょう。

日経新聞は日々の出来事において、経済に関する話題を、読売、朝日や毎日などといった一般紙に比べてより詳しく書いてある新聞です。

ここで知っておきたいことはみなさんのお客さま、特に会社経営者は日経新聞を読んでいる人が多いということです。

そのため雑談においても「今朝の日経新聞に書いてあった記事だけど…」といった切り出しをされて、話題作りをされる方も数多くいらっしゃるということです。

ここでみなさんが、「その記事は知りませんでした」とか黙っていたりしてしまっては、お客さまから信用のおけない人になりかねません。

では、そうならないためにはどうしたらいいのでしょうか?

それは日経新聞を読むことです。

日経新聞を読んでいれば、自信を持って、お客さまの返答に困ることもありませんし、こちら側からも話題を振ることが可能になってきます。

ただ一方でみなさんは、朝忙しい方が大半で、時間をかけて日経新聞を読むことなど無理だと思っているのも事実でしょう。

そうであれば、限られた時間の中でいかに効率良く日経新聞を読むためにはどうしたらいいのか、考えなくてはいけません。

ここでは私の日経新聞を効率良く読む方法をお教えしましょう。

その前に、まず、日経新聞の紙面構成がどうなっているのかを説明します。

日経新聞は曜日毎に異なってきます。

おおまかに言うと、月曜日、火曜日~金曜日、土曜日、日曜日といった感じです。

もっと細かく分類すれば、曜日特定の記事もあるのですが、このくらいことを知っていれば、ほぼ大丈夫です。

その中で一番大切な記事はいったい何でしょうか?

それはすべての曜日に共通しますが、1面の記事です。

その理由は、新聞社が読者に対して真っ先に知ってもらいたい情報は1面だからです。

そういうことであれば、お客さまも日経1面の記事は目を通している可能性は十分にあります。そのため経済トークの話題にもなりやすいです。

ですから、日経1面は毎日必ず読んでおきましょう。

その次はなんでしょうか?

それは火曜日~土曜日に掲載される、1面左下の「WORLD MARKETS」です。

ここには前日の日経平均株価、日経アジア300、上海総合指数、円・ドル(東京)、円ユーロ(東京)、長期金利(10年国債利回り)、ドバイ原油(1バレル)の数値が書かれています。

これらを掲載している曜日については日々、その数値をチェックしてください。

そうすることによって市場の今の動向がどのくらいにあるのかが理解できるようになってきます。

これらの数値も経済トークの話題になりやすい項目ですので注意しておきましょう。

あとは紙面をパラパラめくりながら読み進めていきましょう。

そして、最後に重要なところは「投資情報」の欄です。

ここは各企業から開示された企業決算や、日本経済新聞社の記者が独自に取材した企業業績の観測記事などが書かれています。

これらの記事を読むことによって個別企業や当該企業の業界の景気が良いのか悪いのかを把握することができます。

ここは、端折らずに見出しだけはチェックしておきましょう。これも経済トークをする上で欠かせない内容です。

以上、まとめますと経済トークをする上で、必ず読まないといけない日経新聞の記事は(1)「1面」(2)「WORLD MARKETS」(3)「投資情報」ということになり、これらの記事をチェックする時間はおよそ5分といったところでしょう。

これが最低限、読むべき記事です。

私はこの他に火曜日~土曜日のマーケット総合1の「市場体温計」、土曜日の「読書」、これらについては欠かさずチェックしています。

ちなみに私は紙の日経新聞(朝刊・夕刊)とウェブの日経電子版を購読しており、時間があるときには日経電子版の「映像」という欄を視聴することがあります。

これは動画で国内外のニュースを伝えたり、日経トレンディの記者が新商品を紹介するコーナーもあって、多種多様な内容になっています。

他にも日経新聞には「春秋」や「経済教室」、「私の履歴書」、など魅力的な記事も多くあります。

時間があるときにこのような記事を読んでおけば、経済トークをする上でプラスアルファの話題を提供することも可能になるでしょう。

●まとめ

・経済トークをする上で日経新聞は欠かせないツール
・5分で日経新聞を読むなら、最低限「1面」、「WORLD MARKETS」、「投資情報」には目を通す
・さらに一歩進めるなら、「春秋」、「経済教室」、「私の履歴書」も読んでみる

なぜかお金持ちを引きつける経済トークの磨き方
掛越 直樹(かけごし・なおき)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、ファイナンシャルプランナー、元メガバンク富裕層営業担当。年慶應義塾大学卒業後、大手都市銀行に入行。法人・国際業務を経て、2001年個人FP(ファイナンシャルプランニング)業務に従事。2002~2004年に6期連続で全国上位10%以内のリテールカンパニー長賞を受賞。現在、資産運用相談やビジネスパーソンの営業支援等について幅広くコンサルティング業務を行っている。著書に「営業マンはお金持ちをねらえ!」(日本経済新聞出版社)、「トップ0.1%の超富裕層だけが知っているお金の哲学」(KADOKAWA)、「お金持ちはなぜ、お金持ちになれたのか」(SBクリエイティブ)がある。

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