(本記事は、前畑うしろ氏の著書『ポケットマネーではじめる月1500円のETF投資』ぱる出版、2019年1月17日刊の中から一部を抜粋・編集しています)

※本書では、2つのETF〈証券コード1570〉(以下、ETF1570)と〈証券コード1357〉(以下、ETF1357)の売買だけで稼ぐ方法を基本としています。

どちらも日経平均株価(以下、日経平均)に連動するETFで、ETF1570は日経平均が上昇すれば同じように上昇し、ETF1357は日経平均が上昇すれば株価が下落するETFとなっています。

定期預金よりはましという気持ちで…それでも定期預金利息の10倍稼ぐことができる

ポケットマネーではじめる月1500円のETF投資
(画像=Pressmaster/Shutterstock.com)

バブル全盛期、定期預金の金利は年3%は当たり前、信用金庫や信用組合なら5%のところも少なくありませんでした。そしてあれから30年近く進んだ今、大手都市銀行では年利0.01%程度まで下がりました。

バブル期に今では考えられないような預金金利をつけていた信用金庫や信用組合、店舗が存在しないネット銀行でさえ、今では良くても年利0.4%や0.5%(キャンペーンや新規客限定)です。

もう一度言います。良くて年利0.5%ですよ。

日本人の貯蓄平均は1000万円といわれています。

「そんなお金ないよ。」という人がほとんどだとは思いますが年代別で異なるため、「35歳以上のコンビニ店員」に相当する年齢で見れば30代単身世帯で600万円前後、2人以上の世帯で450万円前後、40代単身世帯で900万円前後、2人以上の世帯で650万円前後、50代単身世帯で1300万円前後、2人以上の世帯で1100万円前後となります。

おそらくそれでも多すぎると感じている人は35歳以上のコンビニ店員に限らずたくさんいると推察できます。

いま、あなたがこれまでに貯めてきた貯蓄額を定期預金の金利、良くて年利0.5%に換算して預けた場合、一年後、一体どれくらいの金利が通帳に記載されるのか計算してみて下さい。

100万円の貯蓄なら、格安焼き鳥チェーン店に一、二回食事に行けばなくなる程度の金利しかもらえません。それも最高金利で。

仮に日本人平均貯蓄の1000万円持っていたとしても5万円程度(そこから税金を引かれるので実質は4万円程度)です。

5万円あれば高級寿司店に2人で行くことはできます。しかしよく考えて下さい。1000万円も持っている人が年一回高級寿司を食べて終わりだなんて悲しすぎるとは思いませんか。

年一回高級寿司を食べることができればそれで十分だと思っている人は株式投資、とくにこれから私がおすすめするETF投資を始める必要はありません。

しかし、平均貯蓄額1000万円の10分の1、100万円の投資額でも年5万円はかんたんに稼ぐことはできるので、貯蓄額1000万円を銀行の定期預金に預けている人たちと同等の恩恵を受けることができるのです。

格安焼き鳥チェーン店と高級寿司店、月とスッポンの差が同じ投資額でおこるのです。

だから、貯蓄額が100万円の人は、一年目の目標を年5万円くらいに設定して、銀行よりかはまだましだという気持ちでスタートしてもいいのではないでしょうか。

そして儲けた5万円はパッと使って、2年目からは1.3倍、年利30%を目指せばいいのです。もちろん1年目と同様、5万円儲けたらその年はおしまいにするのもひとつの方法です。

あなたが銀行に預けているお金を少しでも有効に運用することが第一優先なので、目標額に達すればその年は止めても誰も文句は言いません。

むしろその潔さが今後の投資に生かされると思うのであなたが決めたのならそれが正しい選択なのです。

ETFとは…投資信託との違い

ETFとはExchange Traded Fundsの頭文字をとった略語で、これだけをみればこれからETF投資を始めようとしている人には難しくて拒絶したくなりそうな3文字ですが安心してください。

ETF通信という企業の株やETFファイナンシャルという銀行の株を買うことだと考えていただければわかりやすいかもしれません。

そもそも、ETFは「証券取引所で売買される投資信託」のことをいい、証券取引所で取引ができるという意味です。つまり、個別銘柄の株を買うことと同様にリアルタイムで売買ができるのです。

証券取引所で売買の対象となることを「上場」というので「上場投資信託」とも呼ばれているのです。

一般に知られている投資信託とは、投資家から集めたお金を専門の機関が運用し、その運用成果を投資家に分配する制度です。投資したお金は株式投資と同様、元本の保証はなく、損することもあるので注意が必要です。

専門の機関が運用するので資産を失うほどの損をすることはないでしょうが、大事な資産を丸ごと他人にまかせるなんて私には正直理解ができません。

預けた人たちは損することは微塵たりとも考えておらず、儲けることしか頭にないので、銀行や投資信託会社の営業マンに言われるがまま預けているような気がするのです。

そして、損をしたとなれば豹変し、鬼のような形相で相手を罵ったりするのです。

かつて、私が街の銀行マンをしていた時も、金利がいいときは笑顔で玄関先まで迎えてくれていた人が、バブルが崩壊した途端、人が変わったかのような人相になった人も数多く見てきました。

投資信託も株式投資と同様に元本割れすることを知らない人、それをきちんと説明しない営業マンがたくさんいるのです。

またETFの特長は、日経平均などの株価指数に連動するので簡単に買えることです。そのほか、TOPIXに連動するもの、NYダウに連動するもの、REIT指数や原油価格に連動するものもあります。

株式と同様に信用取引が可能で、個別銘柄株に比べてリスクが分散される効果があり、従来の投資信託よりも信託報酬が安いので、長期投資に適した商品ともいわれています。

ETFと投資信託、どちらも自己責任ですが、損をしたときに納得ができるのはどちらか考えればおのずと答えはでてくるでしょう。

なぜETFがいいのか?…紙くず株にはならない

まず、第一のメリットが、ストップ高、ストップ安になる可能性が、極めて低いということです。

日経平均の株価は東京証券取引所第一部に上場する約20000銘柄の中から選ばれた225銘柄の株価を独自の算出方法で割り出した株価指標です。

225銘柄には世界中で有名なトヨタ自動車をはじめ、ソニー、KDDI、小松製作所などの一流企業が採用されています。その225企業の指標が連日、ニュースでとりあげられる株価となり、この株価を基準に「上がった、下がった」と市場は賑わっているのです。

だから、日経平均225銘柄に採用された全ての企業がストップ安ストップ高にならない限り、日経平均連動型ETFもストップ安ストップ高になることはないのです。

個別銘柄を購入した場合、常にストップ安ストップ高になる可能性があります。

ストップ高になれば、思いもよらないほどの利益を得ることができますが、反対にストップ安となった場合、翌日も大幅に下げるのではないかと夜も眠れないくらい不安に襲われ、体調を崩す人もいるのです。

実際、私も応援していた企業の不正が発覚したことによって、ストップ安になった苦い経験があります。あまりにも大きな事件だったので当然、その日は売り手が圧倒的に多く、売買が成立せずに終了しました。

翌日も寄り付きから、大幅に下落して、恐怖のあまり売買が成立したと同時に売って大損をしました。

今思い返してもゾッとするくらいの恐怖を体験しました。

結局、その後、少しずつ上昇しながら暴落前の株価まで戻りましたが、裏切られた気持ちが強くて、その企業とは縁を切ることにしました。

しかし、そんな不安はETFで味わうことはありません。仮にリーマンショック級の世界同時株安が起こっても、ここぞとばかりにETF1570を大量に購入すればいいだけで、先が見えない個別銘柄を買うよりは余程懸命だといえるでしょう。

また、暴落を予想していてETF1357をコツコツと買っていた人は、一気に売って儲けることができるのです。

そして最大のメリットとして、ETFは破綻によるリスクがゼロ、つまり、日経平均株価を構成している225の企業が同時に倒産しない限り、紙くず株にはならないのです。

いくら有名な企業でもとんでもない不祥事や事件、あるいは事故を起こせば破綻に追い込まれる可能性は常にあります。

最近では自動車のエアバックを製造していたタカタ株式会社が、欠陥リコールにより一兆円を超える負債をかかえる見通しから民事再生法の適応を申請して、経営破綻となった例があります。

しかし、ETF、とくにここでおすすめしているETF1357と1570は絶対と言っていいくらい破綻はないので、安心して投資ができるのです。

ポケットマネーではじめる月1500円のETF投資
前畑うしろ(まえはた・うしろ)
元信用組合職員で、現コンビニのアルバイトが、たったの2種類のETF投資(日経225オプションではない)を武器に稼いでいる。銀行マン時代の“プロの眼”とコンビニ店員の“アマチュアの眼”、欲張りは最大の敵をモットーに売買している。一騎駆けのような気ぜわしい投資よりもじっくりゆっくり増やしていく方法を得意としている。

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