(本記事は、副業アカデミーの著書『このまま会社にいるしかないの?と思っている人に死ぬまで食いっぱぐれない方法をシェアしちゃうよ。』SBクリエイティブ、2019年1月22日刊の中から一部を抜粋・編集しています)
●登場人物
・副業アカデミー代表の小林さん:モットーは、収入の柱を増やし人生を選べるようになっていくこと
・サラリーマンの中村くん:イベント企画会社で働いている28歳で両親と同居。仕事はそこそこ忙しく、残業もあるが、その割にはサラリーが上がらないのが悩み
・尾崎浩二さん:2016年10月からUber Eatsの配達パートナーの仕事に従事。現在「400人LINE配達員グループ」やブログ、「ウーバー非公認サイト」の管理運営を行う。
最初は遊び感覚で楽しんで!
尾崎:「配達員としてスタートしたばかりの段階で辞めちゃう人が多いんです。最初は遊び感覚、ゲーム感覚で楽しんだほうがいいですよ」
中村:「遊び感覚って、どういうことですか?ボクは稼ぐためにやりたいんだけどなあ」
尾崎:「ボクが始めた頃の話をしましょう。ボクはテレビ番組制作会社でADの仕事をしていて、副業として始めたんです。その会社の経営が傾いたので、自分はファイナンシャルプランナーの資格を取って独立しようと思ったんです。勉強しながら稼ぐにはUber Eatsはちょうどよかった。それで説明会に行って話を聞いたんですが、そのとき、頭に浮かんだのは報酬の額ではなく、“楽しそうだ”“どんなアプリかな”っていう仕事に対する興味でした」
中村:「ボクも楽しそうだなと思いました」
尾崎:「好奇心旺盛で新しいモノが好きっていう人には向いている仕事です」
中村:「じゃあ、ボクに向いてるはずなんだけど……」
尾崎:「スタートしてしばらくは自転車に乗って一人でぐるぐる走りまわって、公園で1時間待っても依頼がなくて、それに冬だったから、寒いし、寂しいし……つらかったですよ。始めたばかりはみんなそうです」
中村:「ですよね?。でも、やめようと思わなかったんですか?」
尾崎:「サラリーマンだと時間に縛られて、上司に理不尽なことで怒られて、けっこうストレスが溜まるでしょ。副業にするなら、そういうストレスがないほうがいいと思ったんです。Uber Eatsは完全に自由。働く時間帯も、どこで働くかも、何時間働くかも、すべて自分で決められる。情報を集めて、いろいろと工夫すればその結果がちゃんと数字に表れる。それが楽しかったから、やめようなんて思いませんでした」
中村:「えっ、工夫することなんて、あるんですか?」
尾崎:「ただ、受け身で待っているだけじゃダメですよ!」
稼げるのは原付バイク。ほかの配達員との情報シェアも大事
尾崎:「当然ですが、ランチやディナータイムはオーダーが多いので、この時間は稼働する。移動手段はママチャリのような普通の自転車だと体力を消耗するから、できれば電動か、原付バイクにしたほうがいい。どちらも所有していないなら、レンタルがある。自分が使用しているのはレンタルの原付バイクです。距離によって報酬が計算されるから、原付のほうが遠くまで行けて稼げます。自転車で5㎞走るのはつらいけど原付なら、たいしたことはないでしょ?5㎞稼働すれば750円(=150円×5㎞)。それが3回なら2250円になります」
中村:「そうか……移動距離による報酬って、けっこう大きいんですね」
尾崎:「でも、絶対にバイクが有利かというとそうも言えないのです。一方通行、渋滞、細い路地、そういうエリアへの配達は自転車のほうが便利ですね。自転車で短い距離を30件、40件こなして稼いでいる人もいます。もっとも、そういう人はもう“神”の領域ですけど!(笑)。だから、自転車で配達を数多くこなすという方法もありますよ。ただ、どちらかといえば、バイクのほうが有利かな?バイクで稼働するなら、雨除けのカバーをつけるといいですよ」
中村:「えっ、雨の日も働くんですか?」
尾崎:「もちろん!雨の日は稼げるんです。インセンティブがついて通常の1.5倍くらいになります。それに配達員が少なくなるし、雨天だと外に出たくないから、オーダーも多くなる。そこで、かなりの配達数をこなせます。だから、雨でもある程度、快適に稼働できるように雨除けのカバーをつけるんです。快適といっても、濡れますが、ずぶ濡れにならずにすみます。ところで中村くんは、ほかの配達員さんと話をしたことがありますか?」
中村:「ありませんね」
尾崎:「ボクは始めたばかりの頃、たとえば公園なんかで待機しているときに、ほかの配達員さんを見かけたら声をかけて情報交換をしていました。どこのエリアでオーダーが多く出るかとか、休日のこの時間帯はここが稼げるとか、そういう情報をいろんな配達員から仕入れて、時間によって待機する場所を変えたりして、リクエストが入りやすくしてましたね」
中村:「そうか……。それが工夫っていうことなんですね」
尾崎:「お店に料理をピックアップしに行ったとき、でき上がるのを待っている配達員がいることもある。そんなときにも声をかけて、道路状況とか、今までどんなところに配達したかとか、いろんなことを聞いていました。そして知り合いになったら、LINEで連絡先を交換して仲間を増やして、いろいろな情報を共有できるようにしました。自分が積極的に動いて、働きやすい環境を整えていったんです。今では400人ほどのLINEグループができて、みんなで情報交換してます」
中村:「ボクはただボーッと待っていただけでした」
ゲーム感覚で稼げるエリアが予想できるようになる
「待機してたのは、どこのエリア?」
「渋谷、恵比寿、六本木です」
「そういう需要の多いエリアには配達員が不足しないようにUber Eatsがインセンティブを出して、配達員を集めることがあるでしょ。たとえば、このエリアのこのお店に行くと1.5倍の報酬を出すよとか、アプリで知らせてくる。それを見て、待機する場所を変えるのも稼ぐための工夫のひとつです」
中村:「確かにそうですね」
尾崎:「ところが、配達員が集まりすぎると、自分のところにオーダーが回ってこなくなることもある。中村くんが待機していたエリアは、配達員の数も多いよね」
中村:「それで、思ったほどリクエストが入らなかったのかなあ」
尾崎:「だからボクは、ときにはあえて人があまり行かないエリアで待機してます。たとえば、繁華街ではなく世田谷の住宅地とかね。それに配達員が少ないとインセンティブが高くなることもあるんです。そういうのを計算して動く。ちょっと頭脳ゲームみたいでおもしろいと思いませんか?」
中村:「それって、まるで個人タクシーのドライバーが、どこで客待ちすれば稼げるかを考えて移動するのと同じじゃないですか!」
尾崎:「そうそう。経験を積んでいくとわかってきます。だから、数回で辞めてしまうのは、仕事のおもしろさや稼ぎ方を知らずに投げ出してしまうのと同じ。もったいないなあ」
中村:「自分の読みがズバリと当たって稼げたときって、ヤッター?っていう感じ。ゲームでラスボスを倒した感じかな?」
尾崎:「そう、そう。だから、遊び感覚、ゲーム感覚で楽しめる仕事とも言えるんです。いつだったかな……、土曜・日曜日の稼働で20件になるとプラス5000円というインセンティブが出たことがあったんです。自分は土・日曜日だと普通に稼働して1日23件、1万5000円ぐらい。それで絶対、20件こなしてやるゾ!っていう目標を持って、12時間稼働した。その結果、2万3000円。土・日曜日合わせて4万6000円。大変だったというより、目標をクリアできて楽しかったですね」