つみたてNISAハック
(画像=ZUU online編集部)
つみたてNISAハック大全
中野 晴啓(なかの はるひろ)
セゾン投信株式会社 代表取締役社長。1987年、現在の株式会社クレディセゾン入社。関連会社で債券ポートフォリオの運用を手がけた後、投資顧問事業を立ち上げ運用責任者としてグループ資金の運用や海外契約資産等の運用をアドバイスした。2006年セゾン投信株式会社設立。「セゾン資産形成の達人ファンド」は数々のファンドアワードで最優秀ファンドを受賞。顧客数13万8千人、預かり資産額は2,300億円超。一般社団法人 投資信託協会理事 公益財団法人 セゾン文化財団理事。著書に『お金のウソ』(ダイヤモンド社)、『はじめての人が投資信託で成功するたった1つの方法』(アスコム)などがある。

このコラムをずっと読んでいただいた皆さんは、つみたてNISA(少額投資非課税制度)を活用して行動することを、社会環境の変化に鑑みた目的から理解してもらえたと思います。世界経済の滔々(とうとう)たる成長軌道の中でお金をゆっくり育てていくことの合理性や、商品選びをしていく中で注意すべきポイントも知っていただけたはずです。

ここで改めて、つみたてNISAをスタートさせるにあたり、万人に普遍と考えられる商品選択の条件を改めて整理しましょう。

1. 国際分散投資

商品選びの大前提はやはり投資対象からです。このコラムでは一貫して世界の経済成長を養分に、20年しっかり積立投資を継続しながら、ゆっくりとお金を育てていくことを提唱してきた通り、まずは世界全体にお金を分けて働きに出す国際分散投資を運用方針に据えている投資信託をセレクトしてください。株式と債券を中心に複数の資産クラスを組み合わせたバランス型なら途中の値動き幅は安定し、株式100%のファンドなら成長養分をしっかり享受できるはずです。

2. 日本株の比率は3分の1以下

国際分散ポートフォリオでも、日本人用にと日本資産の比率が相対的に高い商品が多くラインナップされています。成長期待が乏しいと言わざるを得ない日本の比率が少なくとも3分の1以下のものを選んで、海外のより高い成長期待の恩恵がしっかり受けられるものを選びましょう。

3. 日本株が入っているもの

一方で、いくら日本の成長力が弱かったという過去20年余りの現実を踏まえても、日本は世界第3の経済大国、決して無視すべきではありません。国際分散型でも日本を除くタイプの商品はやっぱり逆のバイアスがかかり過ぎでしょう。日本にも一定比率は投資されているものを選択すべきです。

4. 為替ヘッジなし

海外資産の投資には円と現地通貨との為替変動リスクが伴いますが、これを円ベースにヘッジしてしまうと期待リターンも円建て、即ち日本の低成長軌道を被せてしまうことと同義となり、世界経済の期待成長力を削ぐことになってしまいます。せっかく国際分散投資で世界経済の成長力を取り込むのですから、あえて為替ヘッジなしの商品を選択して、為替リスクは成長期待の源泉のひとつと捉えましょう。

5. 純資産残高50億円以上

つみたてNISAの登録商品の多くはインデックスファンドですが、その大半がこの制度のために新設されたものです。既に人気となって資金流入が積み上がっているものもありますが、一方で国際分散型でもほとんど資金流入がない棚ざらしの商品もけっこう存在しています。

できれば商品選択には一定期間の運用実績があるものが好ましいですが、少なくとも既に50億円以上の運用残高を有しているものから選択するのが無難です。残高が少ないままの商品は運用会社の維持コストが賄えず、やむなく中途償還されてしまう可能性があるため、わざわざ運用規模の小さいものを選択することは避けましょう。

ちなみにアクティブ系ファンドは金融庁への届出要件に残高50億円以上と5年超の運用実績、さらには運用期間中3分の2以上の期間資金純流入があることなどが追加して課せられているので、当該ポイントはクリアしています。