日本経済の先行きを照らす明るい話題と言えば、2020年の東京オリンピック・パラリンピックが挙げられます。東京都の試算によると、東京2020大会にともなう経済波及効果(生産誘発額)は全国で約32兆円。東京都だけでも約20兆円と、巨額の経済効果が期待されています。その具体的な中身としては、競技会場や選手村などの「建設需要の増加」と、チケットやグッズ、宿泊費などの「消費支出の増加」が見込まれており、東京都のみならず全国規模で景気を刺激する効果がありそうです。
さらに、東京オリンピック後に行われるイベントとして期待したいのが、2025年の開催が決まった「大阪万博」です。2018年11月、パリで開かれた博覧会国際事務局総会において、2025年の国際博覧会(万博)は大阪での開催が決まりました。1970年の大阪、1975年の沖縄、1985年の筑波、1990年の大阪、2005年の愛知に続き、日本では6度目の快挙となります。では、35年ぶりに大阪で開催される万博は、私たちにどのような影響をもたらすのでしょうか。
大阪万博の経済効果は2兆円とも
そもそも万博とは、世界中のさまざまな技術や商品、アイデアが集まる最大規模の博覧会です。世界中から人が集まってくるだけでなく、これらの展示を通じて、私たちの生活が便利になるきっかけにもなります。過去の万博においては、エレベーター、電話、ファミリーレストラン、電気自動車、動く歩道など、さまざまな商品が普及する契機となりました。
また、2025日本万国博覧会誘致委員会事務局によると、経済波及効果(試算値)は約2兆円。想定来場者数は約2,800万人と試算されています。まさに、世界中からヒト・モノ・カネ、そして情報やアイデアが集まるイベントと言えるでしょう。日本経済に与えるインパクトは、かなり大きなものとなるはずです。経済成長の起爆剤になるかもしれません。
大阪万博が私たちにもたらすもの
ここであらためて、2025大阪万博の全体像を概観してみましょう。そのうえで、万博開催にともなう未来の日本経済を予想していきます。
●2025大阪万博のテーマとは
2025大阪万博のテーマは、「いのち輝く未来社会のデザイン」です。サブテーマとしては、「多様で心身ともに健康な生き方 持続可能な社会・経済システム」が掲げられています。これらのテーマ・サブテーマからは、日本だけでなく世界の未来を見据えつつ、現代社会が取り組むべき課題解決にチャレンジする姿勢がうかがえます。
●コンセプトからイメージする万博の影響
また、コンセプトとして掲げられているのは「未来社会の実験場」という言葉です。その具体的な内容としては、世界80億人がアイデアを交換し、未来社会を「共創」することや、人類共通の課題解決に向け、先端技術など世界の英知を集め、新たなアイデアを創造・発信することなどが挙げられています。その先には、世界規模のイノベーションが待っているかもしれません。
●経済、社会、そして幸福な生き方へ
とくに、日本経済に着目して考えてみましょう。約2兆円の経済波及効果がもたらすのは、大阪・関西圏を中心とした“地域経済”の活性化です。日本では、かねてより地方創生への取り組みが行われているものの、現状、大きな変革には至っていません。その点、2025大阪万博は、東京一極集中にメスを入れるきっかけにもなり得ると考えられます。
オリンピックとともに、求められるレガシィへの対応
景気回復の実感が乏しく、世界経済の不安定化によって今後の見通しが立たない現状において、東京オリンピックと大阪万博は、日本の未来を占う重要なイベントになりそうです。いずれのイベントでも、盛り上がるであろう本番だけでなく、残されるレガシィにも着目したいところです。そこに、経済成長の土台になるビジネスチャンスが隠されているでしょう。
(提供:フィデリティ投信)