「コミュニティ疲れ」に要注意!

人は誰しも、コミュニティに属したいものです。アメリカの心理学者デイビッド・マクレランド氏は、人間が行動を起こす動機には「達成欲求」「権力欲求」「親和欲求」の3つの欲求が関与していると提唱していますが、コミュニティに属したいというのはまさに「親和欲求」です。

しかし、コミュニティとの関わり方には注意が必要です。現代社会では、所属するコミュニティが多すぎて疲れてしまう人が少なくありません。

限られた時間のなかでコミュニティとの関係を保つために、圧迫感やプレッシャーを感じることすらあります。そうしたコミュニティ疲れは、メンタルにも悪影響を及ぼしかねません。

「ノー」と言う勇気がメンタルを健全に保つ

なぜ、所属するコミュニティが増えていくのかというと、「ノー」が言えないからです。

興味がないのにゴルフの誘いを断れなかったり、自分に関係のない仕事を手伝うよう頼まれて受けてしまうと、タスクは増える一方。タスクが増えればストレスも増えていきます。

成長のためのストレスならいいですが、意味のないストレスは極力軽減すべき。時には断る勇気も必要です。

「ノー」と言うのは、メンタルを健全に保つためにも重要なことです。「ノー」と言えない人の「イエス」には価値がありません。

イエスマンは、上司からしたら使い勝手がいいですが、意見を求められていつも「いいんじゃないですか」と答えていては、説得力がありません。

自分のコミュニティに「点数」をつけてみよう

所属するコミュニティが多すぎる人は、参加するコミュニティを減らすべきです。

方法としてまずは、自分が所属しているコミュニティを紙に書き出してみましょう。その一つ一つに点数をつけていくと、重荷になっているコミュニティや苦手と感じているコミュニティが明確になってきます。点数が低かったコミュニティは参加するのを辞めてしまいましょう。

ただ、時としてすぐに辞められないコミュニティもあるので、その場合はどうやって関係を改善するかを考えることも必要です。

新しいことに挑戦すれば「新人」の立場が手に入る

逆に足りない部分を増やしていくことも重要です。たとえば最近、会社の同僚としか関わりがなく、メンターや人生の先輩を探したいとしたら、もともと興味のあった将棋を始めてみる、といったようにです。

もしかしたら将棋サークルで出会ったおじいさんに、人間の本質を教わることだってあるかもしれません。

一つのコミュニティが増えれば、自分の中に「新人」という新しい立場が加わります。そうすることで、メンタルも変わっていくのです。

メンタルを整えるのに特効薬はなく、日々の取り組みが非常に重要です。今回紹介した内面に目を向ける方法でも外面に目を向ける方法でも、まずはできることから実践してみてはいかがでしょうか。

大坪伸(おおつぼ・しん)
経営コンサルタント/コピーライター
福岡県生まれ。17歳で住宅リフォームの訪問販売の営業マンとして働き始める。すぐにトップ成績を修め、高校を中退してビジネスに専念する。翌年、独立し神奈川県・横浜市を拠点に起業し、初年度に年商5億円を突破。従業員も100人を超え、湘南に営業所を構えるなど事業を拡大していく。しかし、取引先や部下の裏切りにあい、1億円の借金を負うことに。その後、ホストやパチプロなどで生計をたてながら大阪、福岡、東京、神奈川を転々とする。26歳頃から、再起を図るため営業マン時代から培ってきた経験をベースにしたコンサルティング活動をスタート。同時に、マーケティングやITなどに関する海外の文献を研究。自身の経験と文献に基づいた理論をミックスしたコンサルティングが功を奏し、ビジネスは軌道にのって再び億万長者に。その後、欧米の成功者を研究し、独自の成功メソッドを確立する。経営コンサルタント、コピーライターに加え、ミュージシャンとしてもメジャーデビューを果たす。以降、様々な事業を展開し今に至る。ふつうの人が成功を掴むためのマインドセットのやり方など、人のやる気に火をつけるノウハウが話題を呼んでいる。(『THE21オンライン』2019年04月09日 公開)

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