「偏差値」が武器になる
「偏差値」と聞くと、受験生時代の苦労を思い出して嫌な気持ちになる人も多いはず。ただ、実はこの偏差値を知ることはビジネスに非常に大きなメリットをもたらすと主張するのは、新著『数字で話せ』にて、文系人間が数字を使って説得力のある意見を出すための手法を説く経営コンサルタントの斎藤広達氏。そもそも偏差値とはどういうもので、どんなときに役立つのか。
「みんな」って、いったい誰のこと?
「みんな反対している」「あらゆる取引先からダメ出しをされている」
……人は自分の意見を通そうとする際、第三者の意見を「武器」にしがちです。いわゆる「声の大きい人」ほど、こうしたロジックを使いがち。
「みんなって、誰が反対しているんですか?」と聞こうものなら、「みんなだよ、みんな!」などと突き返されたり、「今日会ってきた3人のお客さん全てがダメだと言っていた」などと反論されたり。結果、モヤモヤしたまま意見を取り下げざるをえなかった、というような経験をしたことのある人もいるのではないでしょうか。
では「みんな」とは何か。実はこれ、意外と難しい問題です。
偏差値がわかれば、世界が変わる!
それを考える際のヒントとなるのが、統計学。中でも「偏差値」なのです。
多くの人は受験生時代にこの偏差値と出合っています。ただ、「自分のテストの点数を示すもの」という漠然とした印象しか残っていないかもしれません。受験の思い出は、楽しくないものです。
実はこの偏差値ほど、仕事に役立つものはありません。大げさではなく、偏差値を使いこなせると、世界が変わります。
私が留学したシカゴ大学のMBAでは、最初の学期に統計学の授業を履修します。そこで習うのが、偏差値を始めとした統計学の基礎知識。会計学と並んで、統計学はMBAの基本中の基本という位置づけです。