(本記事は、西田 悠二の著書『「億」稼ぐ人の深層思考法』秀和システム2019年9月18日刊の中から一部を抜粋・編集しています)
トップ営業になる人に共通するたったひとつの圧倒的な特徴
ビジネスマンとして稼ぐ方法のうち、イメージしやすいのは「トップ営業」になることでしょう。トップ営業とはつまり、最も結果を出している営業マンのことです。
とくに、結果が収入に直結するフルコミッションの営業マンは、トップクラスにもなると、年間数千万円以上の収入を実現しているケースもあります。
私自身、過去、フルコミッションの営業を経験してきました。その過程で明らかに結果が出ている営業マンと、そうでない営業マンを数多く目にしてきました。
では、結果を出す営業マンと出さない営業マン、つまり、稼げる営業マンと稼げない営業マンは何が違うのでしょうか。
多くの違いのなかで、最も重要かつ圧倒的な違いが一つあります。
それは、「自分が一番優秀な営業マンであると思い込んでいる」かどうかということです。
トップを走り続けている営業マンは必ず「自分は(そのうち)トップ営業なのだ」と、深く信じ込んでいます。
彼らは圧倒的な自己定義と、根拠のない自信をもっています。そして本気で実現したいという強い気持ちが行動に表れています。それは、顧客へのアプローチ件数やトークの精度、日々の課題解決や仕組みづくりなど多岐にわたります。
トップ営業になれない人は、どこかの瞬間で自信を失うか、あるいは最初から自信をもっていません。そのため、トップ営業を目指す道筋から、どこかのタイミングで脱落してしまいます。
しかし、最終的にトップ営業になる人は、現実がどうあれ、「自分はトップだ」ということを確信しています。結果が出ていない頃からそういった自信や自己定義を持ち合わせていることが多く、そしてそのような思いが状況によってブレないのです。
ポイントは「根拠のない自信」と「自己定義」
彼らの自信には、必ずしも根拠があるわけではありません。まったく結果を出していない段階から、並々ならぬ自信をもっている人も数多くいます。
営業成績を左右するのは「根拠のない自信」からくる「強い自己定義」です。営業の方法論やテクニックは、これらの土台の上に存在しているに過ぎません。
もちろんその他にも、トップ営業になる人には「セルフコントロール力」や「課題解決力」などさまざまな共通項は存在しますが、それでも「自分はトップ営業である」という、この圧倒的な特徴に勝ることはありません。
くり返しますが、最も大きな要因は「根拠のない自信」「強い自己定義」という気持ちの部分なのです。
これを具体的に分析すると、「潜在意識下における自己定義の力」が現実に影響を及ぼしているといえます。根拠のない自信が、「自分はトップ営業である」という確固たる「自己定義」を下支えしているわけです。
このように、トップ営業を目指すには、まず、「自分こそが一番優秀な営業マンであると思い込み、『根拠のない自信』をもち自己定義を高めていくこと」が最善です。
「お金が欲しい」と言うほどお金が逃げていく理由
前述した「自己定義」とは、「潜在意識下において、自分をどのような存在として定義しているのか」を指します。つまり、「自分は、本音で自分のことをどう思っているのか」を表し、それを実現するように現実は動いています。
たとえば、男性として生きている人は、当たり前のように「私は男性である」という自己定義を潜在意識下で行なっており、男性としての人生を生きています。「私は高収入である」と潜在意識から自己定義ができている人も、これも当たり前のように高収入の人生を生きているのです。
その点から考えた際に、あまりしてほしくない習慣が一つあります。
それは、「お金が欲しい」と言い過ぎることです。
お金だけでなく、「◯◯が欲しい」と言い過ぎることは、マイナスの自己定義をもたらしかねません。
「今充分にある」ことにフォーカスできた上で「欲しい」と望んでいれば問題ないのですが、「今不足している」という意識にフォーカスして「欲しい」と望むと、潜在意識下では「今不足している自分」「お金がない自分」を自己定義してしまう可能性があります。そうすると、その自己定義を実現するように現実は動いていきます。つまり、「お金がない自分」を実現し続けることになるのです。
「欲しい」のスタンスを間違うとその現実が「逃げていく」という事実は、多くの書でも言及されている共通した概念です。ぜひその点は注意してほしいと思います。
望みを実現するために必要なこと
では、ただ欲しいと思うのではなく、どのような態度で望みを実現すればいいのでしょうか。
正しいスタンスとしては、まず、「すでに(今)満たされている」という点に着目すること。そのうえで、「私はさらに次のステージにも到達する人間である」と定義することが大切です。
「すでに満たされている」という気持ちは、「ないこと」や「不足していること」にはつながりません。「すでに満たされている自分」自己定義になります。
加えて、「次のステージにも到達する人間である」という思いは、現状を肯定しより良い自分へと進むための原動力となります。
そのため、「〇〇が欲しい」と思うのではなく、「今あり、もっと欲しい」と思うことが、自己定義をふまえた正しいアプローチといえます。
「渇望」という言葉があるように、強すぎる欲望には渇きが伴います。そしてそれは、渇いている自分を認めることにもつながってしまいます。
そうではなく、しっかりと潤っている自分を定義したうえで、次のステージに進むようにしましょう。いうなれば、渇望ではなく「満たされ望む」というイメージです。
ちょっとしたニュアンスの違いですが、もたらす効果は大きく異なります。それだけ、自己定義や意識というのは、結果に対して強い影響を及ぼすということです。
もし、たくさんのお金を欲しているのにもかかわらず、「お金が欲しい」と思えば思うほど逃げていくと感じる人は、自らの自己定義を見直してみてください。
そして、「お金が欲しい」ではなく、「私はすでにお金をもっており(不足していない)、もっと欲しい」と思うようにしてください。
もし、どうしてもお金をもっていると思えない場合には、「今も着実に(目指す姿に)近づいている」という考え方が効果的です。
「今、実現していない」と否定するのではなく「今も着実に近づいている」という肯定的な思考の習慣に切り替えるだけで、さまざまな出来事が圧倒的に上手く回りはじめます。
そのような心がけから、より望ましい自己定義や意識が醸成されていきます。
*フルコミッション営業…契約がなければ報酬がなく、契約の取得分に比例して報酬が増える営業形態のこと。