(本記事は、西田 悠二の著書『「億」稼ぐ人の深層思考法』秀和システム2019年9月18日刊の中から一部を抜粋・編集しています)

夢を叶えるなら「自己目標」でなく「自己定義」

自己定義
(画像=airdone/Shutterstock.com)

「稼げる自分になりたい」など、叶えたい夢があるのなら、やるべきなのは「目標を立てること」ではなく、「自己定義」する必要があります。

自己定義とは、「〇〇になりたい」といった願望的なものではなく、「私は〇〇である」と自分の存在を定義づけることを指します。つまり、なりたい自分を自ら定義してしまうことです。

稼げていない人の多くは、「稼げるようになりたい」「1億円がほしい」など、願望的な思いばかり抱いています。そしてそれらは、第1章でも述べたとおり「ない自分」「不足している自分」という自己定義につながり、望む現実を引き寄せづらくしてしまいます。

自己目標というものは、一歩間違えれば同じ作用をもたらしてしまいます。願望に近い意味合いになることもあるからです。

そのため今後は、自己目標の習慣を自己定義の習慣へと変えていきましょう。そしてその自己定義を、普段から脳に刷り込んでいくのです。

たとえば、「私はお金がほしい(I want)」という自己目標を設定している人は、それを「私はお金持ちである(I am)」に切り替えて自己定義します。それを習慣的に言語化することで、脳に刷り込みを行ないます。

こうした習慣がもたらすのは、「目指す自分」から「存在する自分」への変革です。脳に刷り込まれた自己定義によって「存在」できている人は、周囲にもそのような錯覚を引き起こします。

たとえば、有名なエピソードですが、ソフトバンクの孫正義社長は、創業時から「豆腐屋のように1丁(兆)2丁(兆)と売り上げを数えるような会社をつくる」と宣言していたそうです。そして今では、会社を10兆円規模へと成長させています。

また、元サッカー日本代表の本田圭佑選手は、小学生の頃から「自分はミランの10番になる存在である」と公言していたそうです。その後、日本代表の絶対的エースとして認められ絶大な人気を得ただけでなく、ミランの10番という夢を実現しています。

私の周囲でも、「いずれ100億円企業の社長になります」「1兆円稼ぎます」などと公言するビックマウスの人たちがいますが、不思議なことになぜかそのように見えてくるものです。自らそう宣言することによって、自分を高みに導いているのです。言語化には、自己定義を浸透させる作用があります。

こと日本では、ビックマウスを敬遠しがちです。しかし、大きなことを成し遂げるときには、しっかり自己定義したうえで、きちんと言語化することが大切です。それが、より揺るがない自己定義へとつながっていくのです。

お金持ちは「稼ぐ自分」を自己定義している

お金に関して言えば、企業経営者が大きな富を得やすいのは、個人口座より大きなお金が動く法人口座を日常的に動かすことで「自分は大きなお金を日常的に扱っている人間」という自己定義をしやすいことも理由の一つと考えています。一般の人は、数千万や数億円単位のお金をなかなか動かせませんが、経営者ならそれが可能なわけです。

お金持ちになりたいのであれば、そういったお金に関する自己定義が高まりやすい環境を選ぶことも一つの選択肢でしょう。お金に対する自己定義が高くなれば、それを実現するように出来事が進みやすくなるため、お金を稼げる自分へと近づいていけます。

そう考えると、なぜお金持ちが「お金を使え」と勧めるのかもわかります。お金を使うということは、「自分は大金を動かす人間である」という自己定義につながるからです。自己定義は、体験することでより加速されていきます。稼ぎたい人にとって、お金を使う習慣は重要なのです

もちろん、ただ闇雲にお金を使っていても自己定義が高まるわけではありません。「自己定義を高める」という本来の目的を意識したうえで、「私は大金を動かす人間だ」と認識できるような使い方が求められます。

いずれにしても、今後より高みを目指すのであれば、それを実現している自分を自己定義すること。自己目標ではなく、自己定義を習慣化させましょう。

「億」稼ぐ人の深層思考法
西田 悠二(にしだ・ゆうじ)
1985年生まれ。立命館大学情報理工学部卒業。オムロン株式会社(法人営業)を経て、数多くの企業で高い営業実績を重ね、現在は営業支援と金融・投資の専門会社ペリポプランニング代表取締役。1000冊超の『成功法則』関連書を読み解き、脳科学などに基づく人生コントロール法を体系化し、経営や仕事で実践しながらその普及活動にも力を入れている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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