部下の心に火をつけるポイントは?

できるリーダーは、同じWHYを伝えるにしても、「なぜ(会社・チームのために)その仕事をする必要があるのか」だけではなく、「なぜあなたに頼むのか」も合わせて伝えます。たとえば、

「B君、〇〇社へのプレゼン資料、頼んだぞ。取れたら大口顧客になるし、B君の昇格のきっかけとして社内にアピールできる。だから、この仕事はB君にお願いしたいんだ」 「Cさんには、来期の売上予測をまとめたグラフを作ってほしい。来期の部署の予算を多く確保できるチャンスだし、それが実現できれば、Cさんがこの前言っていた新しいサービスの立ち上げも検討できるしね」

このように、部下が育つリーダーは、本人がやる気を出すポイントに即した「WHY」を添えた頼み方をします。

前者のB君は「昇格したい」というキャリアアップ志向、後者のCさんは「新しいサービスを立ち上げたい」というチャレンジ志向があるわけです。部下が育つリーダーは、このように部下の心に火をつけるポイントを「WHY」にして伝えるようにしているのです。

また、頼む仕事の内容によって、「資料作りといえば伊藤君だろ」「データ分析といえば山本さんだろ」と、「あなたの得意分野だからお願いしたい」というやり方もあります。

しかし、実はこの方法は、単発で仕事をお願いするときならいいのですが、このような頼み方を続けてしまうと、本人にとっては「なぜ自分ばっかり」と疑問を持ち、「他の人に頼んだっていいじゃないか。D さんだってこの仕事できるのに」と、むしろ反発を招く危険性もあるのです。

そもそも仕事は得意な人に集中してしまいます。だからこそ、部下のやりたいことにフォーカスした「WHY」を添えることが、できるリーダーの条件なのです。

リーダーの「やってはいけない」
吉田幸弘 発売日: 2019年03月19日
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リーダーの「やってはいけない」
(画像=THE21オンラインより)

吉田幸弘(よしだ・ゆきひろ)
リフレッシュコミュニケーションズ代表
1970年、東京都生まれ。大手旅行代理店を経て、学校法人、外資系専門商社、広告代理店で管理職を経験。「怒ってばかりのコミュニケーション」で降格を経験したことからコミュニケーションを学び、2011年に独立。現在はコーチングの手法を駆使し、経営者や中間管理職向けにコンサルティング活動を行なう。(『THE21オンライン』2019年10月04日 公開)

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