(本記事は、長倉 顕太の著書『GIG WORK(ギグワーク)』すばる舎の中から一部を抜粋・編集しています)

情報発信で関係性をリセットしろ!

情報発信
(画像=PIXTA)

そもそもオレが7年前に出版社を退職した理由の一つに、出版社にいる必要がなくなったことがある。きっと、今いろんな業界で活躍している元編集者の人たちもそうだと思う。

オレがもっとも可能性を感じたのが「情報発信」だった。それまでは、情報発信できる人ってのは、新聞とか出版社に認められた人なわけで、簡単に言えば権力者に認められた人たちだけだった。そいつらが、ある意味、オレたちの世界を支配し、オレたちの頭の中を洗脳してきたわけだ。だからこそ、最近でもよく起こってるけど、権力者に否定的な人たちはどんどんテレビ番組から外されたりするわけよ。

でもさ、今って誰でも情報発信できるようになったわけよ。そして、課金もできるようになったわけよ。オレが一番衝撃だったのは、ペイパルの登場だったな。個人がカード課金できるって、当時は結構、驚いたんだよね。それまでは、それなりの法人じゃないとカード決済とかできなかったけど、それが個人でもできるってやばいじゃんってね。

そして、オレも何冊も出してるけど、電子書籍なんて最高に熱いわけよ。だって、勝手に出版できちゃうんだぜ。それまでって出版ってほんと、偉い人しか無理だったわけだからさ。さっきの『親は100%間違っている』だって、もともとは電子書籍として出してた何冊かを編集し直したものだったし。

そこでオレは思ったわけよ、

 1億総情報発信時代

が来たなと。情報発信っていう権力者しか持てなかった武器をオレたち凡人が手に入れたわけだから、コンテンツのプロである編集者のオレがその使い方を教えようって思って独立したんだ。

そこでまずやらなきゃいけないのは、今までの関係性のリセットだ。少し極端な例を出すが、人生なんて関係性なんて簡単に変えられるという意味で書いていく。

たとえば、あなたがまったく違う名前、プロフィールでフェイスブックのアカウントをつくり、今までのあなたとは違う発言をしていけば、あなたの周りには新しいあなたしか知らない人が集まるようになる。今まで暗かったけど、新しいあなたは明るいなら、周りにいる人は明るいあなたを期待する人たちが集まるわけで、現実も明るい人の人生になっていく。周りの人間との関係性を変えるというのは、周りの人間を変えることに近い。

そりゃそうだろ?今さら違う人間を演じたって「何してんの?頭おかしくなったんじゃないの?」みたいに言われるのがオチだ。

まあ、これは極端な例なわけだけど、情報発信によって人生を変えるってイメージはわかってもらえただろう。ある意味、佐村河内氏はこれと同じようなことをやったわけだ。同じような出来事でショーンK氏の経歴詐称事件もあったが、彼も同じで偽のプロフィールを信じた人が周りにいてそれが大衆まで広がったから活躍しただけのこと。2人は悪い例だけど、コンテンツ化している世界では起こりうることで同じような事件は今後も出てくるだろう。

情報発信の4つのステップ

情報発信で知っておきたいのは、どういうプロセスを経て人生レベルでの変化を起こすかということ。なぜなら、どのフェーズで何をすればいいかを理解していない人が多く、闇雲な発信を見ることが多いからだ。闇雲に発信しても人生は変わらないし、無駄なだけなのはわかるだろう。でも、大半の人の発信はそんなもんだ。

オレは情報発信には次の4つのフェーズがあると思っている。

フロントコンテンツ(情報発信)
  ↓
ポジション(キャラクター)
  ↓
ポジショントーク/アクト(コンテクスト)   ↓
バックコンテンツ(マネタイズ)

それぞれ見ていく。

・フロントコンテンツ(情報発信)

ブログやSNSなどによる日々の発信のこと。ここで書くのは日々の活動の中で気づいたことだ。と言っても、「何を書けばいいですか」という質問が来そうだが、オレがお勧めするのは、人、場所、モノ、情報について書いていくことだ。誰に会ったり、どこかに行ったり、何かを買ったり、何かを読んだり鑑賞したりしたらそのときに感じたことを書く。

ここで重要なのは何を書くかより、どこに行くか、何を買うか、どんな本を読んだか、どんな映画を観たかだ。ここでの情報発信は次のフェーズにつながるからだ。ここではどういうライフスタイルを送っている人なのかを世の中に知らしめると考える。オレだったら、サンフランシスコに住んでる、ロック好きな元編集者っていうのがわかるはずだ。

・ポジション(キャラクター)

前のフェーズでどんなキャラクターなのかはなんとなくわかってもらえるが、何をしている人なのかを明確にしていく必要が出てくる。なるべく「〜な方法」みたいなノウハウに落とし込むのがいい。これを明確をすることで、情報発信の目的が明確になっていく。

オレだったら「凡人のための人生戦略家」というポジションを固める発信をしていくことになる。凡人の人生戦略上知っておきたいことなんかを書いていく。この本の中に書いていることの大半はそういった発信の延長線上だったりする。たとえば、本書でも取り上げた「紹介される人の3つの特徴」も過去にどこかに書いたものだ。

ここで頭に置いておきたいのは、「敵をつくること」「ギブすること」の2つだ。敵といっても仮想敵だ。当たり前だが、情報発信をはじめた当初は誰にも見てもらえないことが多いわけだが、あえてすでに影響力のある考え方について批判していくことでその影響力を利用して自分の影響力を上げていくのだ。オレは基本、炎上商法はお勧めしないので、個人ではなく、考え方について批判していくのがいいと思っている。

次の「ギブすること」なわけだけど、無料の情報発信だからと出し惜しみする人がいたりする。「これは有料で伝えていることだから」みたいな理由でだ。ほんと、これってもったいない。むしろ有料でも売れるようなものを無料で提供するから意味があるのだ。

・ポジショントーク/アクト(コンテクスト)

前のフェーズでほとんど勝負は決まると言っていい。なぜなら、キャラクターが決まるからだ。そうなると、あとは勝手に発信できるようになっていく。キャラクターが勝手に発信していると言っていいかもしれない。それなりの影響力を持ちはじめると、フォロワーの期待との整合性をとるように脳が勝手に動き出すからだ。

オレたちは基本は周りの期待との整合性をとるための発言や行動をする。なぜなら、それをしないと周りから排除されてしまうからだ。だから、過去の人間関係に囲まれていると過去との整合性を無意識にとるようになる過去の延長線上の人生を送るようになっていく。

ここで注意が必要なのは、最初は自分でコントロールしていても、いつのまにかコントロールされていくということ。これがまさに環境の力でもあるわけだ。ここが理解できないとたまたまキャラクター設定がうまくいったとしても、その世界で成功したあとにコントロールできなくなってしまい失敗していく。芸能人なんかで長く活躍する人とそうでない人の差みたいなもんだろう。

・バックコンテンツ(マネタイズ)

ここまで来れば、もうあなたは立派な上位のギグワーカーの仲間入りだ。つまり、好きな時間、好きな場所で仕事ができるようになる。ノウハウを売ってもいいし。オレはオンラインで教材のようなものを売るのを勧めている。

注意したいのは、なるべく広告収益モデルにしないということ。マネタイズを広告収益に頼ると、結局、「世の中で検索されやすい」=「今、話題になっているネタ」だったりを発信していかなきゃいけなくなる。そこには競合が多いし、あなたが誰であるかというのはどうでもよくなる。

少し前に流行ったのが、芸能ネタがニュースにあがると、それに関する寄せ集めのような記事をあげて広告収益を増やす方法だったり。そんなことやっても人生における選択肢が拡がらないのはわかるだろう。

GIG WORK(ギグワーク)
長倉 顕太(ながくら・けんた)
1973年東京生まれ、学習院大学卒。28歳のときに出版社に拾われ、編集者としてベストセラーを連発。その後、10年間で手がけた書籍は1000万部以上に。現在は独立し、サンフランシスコと東京を拠点に、コンテンツ(書籍、電子書籍、オウンドメディア)のプロデュースおよび、これらを活用したマーケティングを個人や企業にコンサルティングのほか、教育事業(若者コミュニティ運営、インターナショナルスクール事業、人財育成会社経営)に携わる。
ベストセラー作家から上場企業まで手がける。著者に『親は100%間違っている』(光文社)、『超一流の二流をめざせ!』(サンマーク出版)など多数。

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