(本記事は、フランチェスコ・シリロの著書『ポモドーロ・テクニック入門』CCCメディアハウスの中から一部を抜粋・編集しています)

チームに仕事を始めさせるシンプルな方法

チーム
(画像=Robert Kneschke/Shutterstock.com)

チームで作業をする場合には、ポモドーロ・テクニックのプロセスにも新しいルールと実践の仕方が必要になる。

ポモドーロ・テクニックを使おうとしているチームへのアドバイスとして、すぐに使える2つの方法を紹介する。

ポモドーロ・ローテーション

この方法を編み出したのは、ポモドーロ・テクニックを初めてチームに応用した1990年代末のことだ。一定の間隔で―通常は1回か2回、または4回のポモドーロごとに、マイクロチームのメンバーの1人が別のマイクロチームの1人と入れ替わるという方法だ。ただし、チームの責任者は移動しない。入れ替えは1度に1人ずつ、順繰りに行っていく。

慣れたチームを離れて別のチームに入ることに心理的抵抗があるのは承知している。

「仕事の妨げにならないか。スムーズにメンバーを入れ替えられるのか。仕事に余計な時間がかかることにならないか。流れが途切れてしまわないか」

直感的にはうまくいかないように思えるかもしれないが、マイクロチームのメンバーを規則的に入れ替えていくことは作業の効率化につながりうる。マイクロチームに新しく入ってきた人が、新しい考え方や別の解決策をもたらす可能性があるからだ。

この方法をルーティンとして用いると、次のようなことが可能になる。

・知識の共有
・チームのスキルの共有と改善
・チームメンバーの互換性の向上
・チームが最新の状況で目標を共有でき、不必要なミーティングをなくせる

常識を少し働かせるだけで、マイクロチーム間のメンバーの移動はスムーズにいく。1回のポモドーロごとにメンバーを入れ替えることもできるほどだ。

たとえば、カトリンが責任者のマイクロチーム1はポモドーロが終わったところで、次はマルコの代わりにマイクロチーム2からステファンが入ってくることになっている。マイクロチーム2はまだポモドーロが終わっていない。

しかし、マイクロチーム3はあと2分でポモドーロが終わる。カトリンはそれを待ってマイクロチーム3のステファニーに、ステファンの代わりに移ってきてほしいと頼むこともできる。

ローテーションをするのに、すべてのタイマーを同期させる必要はない。コミュニケーションと適応の能力によって、問題のように思えることでも知識共有とスキル改善のチャンスに変えられるのだ。

この方法はチームメンバーの意思に基づかなければならない。ローテーションの強制や押しつけは、当該のメンバーにフラストレーションをもたらしうる。

ポモドーロのスナップ写真

私は自分の活動チームでもう何年も前から、この方法を実践している。ポモドーロのタイマーが鳴ったら、写真を撮るのだ。

何の写真かと言えば、そのポモドーロでマイクロチームがしていたことを示す何かだ。1回のポモドーロにつき1枚の写真だ。私たちはよく、そのポモドーロの中で理解できなかったことや管理できなかったことを示すものを撮る。あるいは、達成した成果を写真に収めることもある。

こうして1日の終わりには、それぞれのマイクロチームが各ポモドーロでしたことを示す写真が時系列で揃うことになる。こうすることで時間の記録が簡略化される。特に大きいのは、ほんの数分で何週間もの取り組みのプロセスを再現できることだ。プロセスを視覚化することは解決策の発見に役立つ。

ポモドーロ・テクニック入門
フランチェスコ・シリロ
コンサルタント、起業家。少ない時間と労力でより良い結果を達成する時間管理術「ポモドーロ・テクニック」の開発者。「ポモドーロ・テクニック」は効率性と生産性を上げる方法として、世界中のエグゼクティブに広まっている。ソフトウェア業界の最前線で20年以上働き、現在はソフトウェア企業、多国籍企業、起業家などのコンサルタントを務めている。

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