(本記事は、齊藤 勇の著書『誰とでも会話が続く「相づち」のコツ』文響社の中から一部を抜粋・編集しています)

相手の喜びを倍増させる相槌

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(画像=Jacob Lund/Shutterstock.com)

これまでネガティブな共感的相槌について話してきましたが、もちろんポジティブな感情の共感的相槌もあります。

ポジティブな感情への共感的相槌も、心を近づけるのに大きな役割を果たすことになります。

相手が成功したり試合に勝ったりして、喜んでいたら、すかさず、「やったね、すごいね」とポジティブな共感的相槌をしましょう。

相手は成功したり、勝ったりしているので、大喜びです。そして、周りの人から共感の相槌を打ってもらうことで、その喜びはさらに増大します。人からほめてもらって、さらに、喜びをかみしめることができるのです。

ポジティブ共感の相槌は、喜びの輪をどんどん大きくしていくものです。ポジティブな共感的相槌は何回打っても、歓迎されるので積極的に使いましょう。

話し手は共感的相槌を聞くことにより、楽しい思いをさらに強くし、楽しい感情をさらに強めることができます。

そして、その楽しい感情が、相槌を打った聞き手への好意を増すことにつながるのです。

楽しい雰囲気の中にいる人は、好意を高めます。

実は、このことは心理学の研究でも実証されています。「フィーリング・グッド効果」と呼ばれています。

フィーリング・グッド効果の研究は、二人が一緒においしい食事をしたり、心地良い音楽を聴いたりするなど、心地よい環境で過ごすとお互い良い気分になり、お互いに好意をもつということです。これは実験的にも証明されています。

楽しい話を聞いているとき、バックトラックの相槌をして、楽しい雰囲気をさらに増大させることができれば、そこにいる二人は相互に、より好意を抱くことができます。これは、関係を親密化させる秘訣にもなりえます。

ポジティブな共感の相槌は、その盛り上げに大いに役立ちます。意識して試してみると、すぐに実感できるのでさらに楽しみながら共感的相槌を打っていきましょう。

相槌の効果を高めるスキル「うなずき」

自分も相手も幸せになる最高の気遣い
(画像=stockfour/Shutterstock.com)

次に相槌と併用すると、効果が高まる仕草や動作を紹介していきます。

まずは、「うなずき」です。

前に話したように、相槌を英語で探しても、ぴったりとする単語は出てきません。つまり、相槌は日本的人間関係の特徴です。

一方、うなずきは、英語でnod(ding)といい、和英辞書を調べるとすぐに出てきます。うなずきは欧米とも共通概念なのです。

これまで、相槌の効果をたくさん言及してきました。こうした相槌をうなずきとともに使えるようになると、その効果は格段に上がります。

相槌は言語系コミュニケーションで、うなずきは、非言語系つまり動作のコミュニケーションです。両方が同一方向を向いた好意的コミュニケーションにより、その効果は倍増することになるのです。

うなずきながら、「さすがです!」「すごいですね」などの相槌を使ってみてください。動作が加わったことにより、説得力が増し、効果を実感できるはずです。

誰とでも会話が続く「相づち」のコツ
齊藤 勇 (さいとう・いさむ)
日本あいづち協会理事長。立正大学名誉教授、大阪経済大学客員教授、文学博士、日本ビジネス心理学会長、早稲田大学大学院博士課程修了。
人間関係の心理学、特に対人感情や自己呈示の心理などを研究。またテレビなどメディアでも活躍し、TV「それいけ!ココロジー」の監修者を務めるなど、心理学ブームの火つけ役となった。
著書、監修書に『心理分析ができる本』(三笠書房)、『恋愛心理学』(ナツメ社)、「人間関係の心理学』(誠信書房)など多数。企業や学校などで対人関係を良好にするコミュニケーション・スキルの研究に従事、最近は独自の「あいづち対話法」を開発し、日本あいづち協会(http://www.aiduchi.com/)を設立し、その普及に努めている。

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