(本記事は、中島 豊氏の監修・編書「社会人の常識: 仕事のハンドブック」経団連出版の中から一部を抜粋・編集しています)

提案
(画像=PIXTA)

席順

今日は取引先のお客様がいらして、関野課長にお茶を出すように頼まれました。初めてだったから島田先輩が一緒についてきて教えてくれたんだけど、「席順」がかなり重要だってわかりました。研修中に席順について習ったけど、今日お茶を出すまですっかり忘れてたよ。座ってる場所でどの人が一番偉いかわかるから、知ってると意外と便利かも!
そういえば私、島田先輩とランチに行ったとき、奥のベンチ席が好きだからそっちに座っちゃってた。今考えるとかなり失礼だったかも…今度から気をつけなきゃ!

上座、下座の原則を覚えましょう

お客様が来訪されたときや、自分たちが相手先を訪問したときだけでなく、上司と電車やエレベーターに同席する場合などでも、どこに立つべきなのか、どこに座るべきなのか、しっかり身につけておけば、その場で慌てることもありません。

1.席順の基本
応接室での席順は、部屋のつくりによって異なりますが、基本の考え方を覚えておきましょう。

  • 入り口から遠い位置が上座
  • ソファは大きなソファが来客用、一人がけは応対者用。会食などで和室を使用する場合には、床の間が上座です。
  • 床の間の前が最上位、床の間側が上位。床の間がない場合は入り口からみて右奥(あるいは一番遠いところ)が上座

2.エレベーターでの立ち位置
エレベーターの中の立ち位置にも順番があります。

  • 乗るときは、先に中に入り操作盤を操作する
  • エレベーター係がいる場合は、一番あとから乗り込む
  • 降りる際は、一番最後
  • 立ち位置は、左奧が上座、操作盤前が末席

3.自動車や列車での席順
上司や先輩との外出や出張などでは、さまざまな乗り物に乗る機会があります。特に自動車と列車の席順には注意しましょう。基本は以下のとおりですが、目上の方の意向を伺うとよいでしょう。

自動車の席順は、次のとおりです。

  • 社用車やタクシーの場合、運転手の後部座席が最上席、次が反対の窓側、助手席が末席
  • 自家用車の場合は、助手席が最上席。以下、運転席の後部座席、反対の窓側列車の場合は、以下のようになります。
  • 進行方向窓側が最上席
  • 向かい合わせで座るときは、進行方向の窓側、向かい側の窓側、進行方向の通路側、向かい側の通路側の順
  • 三人がけの場合は、順に窓側、通路側、真ん中の順
社会人の常識: 仕事のハンドブック
(画像=社会人の常識: 仕事のハンドブック)

会食や酒席のマナー

今日は初めて接待に連れていってもらったよ! うちの部の一番のお得意様だったので緊張しちゃった。一緒に行った営業の先輩がいろいろ教えてくれたけど、結構たくさん気にしなきゃいけないことがあって、大変だった〜。接待って、ただ単においしいお食事ができるだけじゃなかったのね・・・。これからはもっとテーブルマナーとかも勉強して、失敗がないようにしなきゃ!

テーブルマナーは大人のたしなみです

たとえば、食事中に同席者がクチャクチャと音を立てながら料理を食べていたら、みなさんはどう思うでしょうか? 食事を楽しむうえでは、相手に嫌な思いをさせないことがとても重要です。お互いがお互いを気遣うことは社会人には不可欠です。特に食事中の相手への気遣いやエチケットをルール化したものがテーブルマナーです。

社内での懇親会に参加する場合や、会社での接待でお客様と会食をするときも、マナーを守って行動する必要があります。テーブルマナーとは、会食やパーティに一緒に参加している相手に対する大人としてのたしなみを指します。

会食の種類に応じたマナーを身につけましょう

一口に会食といっても、和食と洋食では、マナーが大きく違ってきます。ここでは、会席料理とフランス料理が出される席での注意事項を紹介します。

1.会席料理でのマナー
◆荷物は部屋や座席に持ち込まない…コートやバックなどの荷物は、お店の入り口で預かってもらいます。これは、料理に汚れやちりを入れないようにするためです

◆姿勢を正す…座卓の場合、ひじをついたり、だらしない姿勢で食事をしないようにしましょう

◆音を立てない…箸や器を落としたり、口に食べ物を入れながら話すなど不快な音を立てないようにします

◆手を受け皿の代わりにしない…手を添えて食べている人を見かけますが、上品なようでいて実はマナー違反です。小皿にとるか、あれば懐紙を添えていただきます

◆おしぼりの使い方…おしぼりは手を拭くものであってテーブルを拭いてはいけません。顔や首周りを拭くのはよいとされています

◆酌の仕方…酌は上の者が相手側の格上の者から順に注いでいきます。次席は相手側の次席から順に注いでいきます。結果的に自分と同格の者に酌をします
2.フランス料理のテーブルマナー
◆着席・退席は左から…着席・退席は、必ず席の左からします。椅子の左側から入って着席し、椅子の左側から退席するのが正しいマナーです

◆ナプキンは二つ折りにして膝の上に乗せる…フランス料理に限らず洋食の場合はテーブルにナプキンがセットされています。ナプキンは二つ折りにし、折り目が手前にくるように膝に乗せましょう。全員が着席したのを見計らってから膝の上に置くのがいいタイミングです

◆席を立つときは…中座する場合は座席の上に、退席時はテーブルの上にナプキンを乗せます

◆ナイフとフォークは外側から使う…テーブルの上にはたくさんのナイフとフォークが並べられていますので、どれから使えばいいか戸惑うかもしれません。ナイフもフォークもそれぞれ外側から順に使っていきます。またフランス料理の場合、フォークの背に料理を乗せることはしません

◆使用したナイフとフォークの置き方…食事中、いったん手を休めたい場合はナイフ・フォークの先端を合わせて、八の字のように皿の上に置きます。食べ終わったときはナイフ・フォークともにそろえて三時の方向、もしくは中央斜め下にそろえて皿の上に置きましょう
社会人の常識: 仕事のハンドブック』
中島 豊(なかしま ゆたか)
日本板硝子(株)執行役人事部統括部長。富士通、リーバイストラウスジャパン、日本ゼネラル・モータース、ギャップジャパン、楽天にて人的資源管理の職務を歴任し、2007年日興シティグループサービス(株)人事部長、2009年シティグループ証券(株)常務執行役員人事部長。2019年より現職。

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