リーダーよりメンバーの知識が豊富であっていい
世の中のリーダーの中には、「自分が抱えている問題をメンバーに相談すると、頼りないリーダーだと思われるんじゃないか」と感じて、なかなか相談できない人もいるかもしれない。
しかし清明氏は、「そんなことはない」と話す。「私はリーダーの仕事は、『メンバーとコミュニケーションを取ること』と『決めること』だと思っています。
そこさえ押さえておけば、その他のことは自分よりもメンバーのほうが知識や知見があっても全然構わなくて、どんどん質問して教えてもらえばいいんです。
『どうしたらいいと思う?』『これについて教えて』などというふうに質問して、情報や意見を聞き出したうえで、最後の決断と責任は自分が取ります。
もちろん人間ですから、間違った決断をしてしまうこともあります。そんなとき素直に『ごめんなさい』と謝るようにしています。
過ちを認めている相手に対して、悪感情を抱く人はほとんどいません。たいていの場合は受け入れてくれます。そして、そこからもう一度皆で解を探していきます。
『トップは孤独だ』と言う人もいますが、私はそんなふうに思わないようにしています。リーダーだからといって問題を一人で抱え込まず、周りの力を上手に借りればいいんです」
<『THE21』2020年2月号より>
清明祐子(せいめい・ゆうこ)
マネックス証券(株)社長
1977年生まれ、大阪府出身。2001年、京都大学経済学部卒。三和銀行(現・㈱三菱UFJ銀行)入行後、法人営業及びストラクチャードファイナンスに従事。06年12月から㈱MKSパートナーズ(プライベート・エクイティ・ファンド)に参画。09年にマネックス・ハンブレクト㈱入社(17年にマネックス証券㈱と統合)。11年に同社社長に就任。13年マネックスグループ㈱執行役員、16年同社取締役、17年マネックス証券㈱執行役員、18年マネックスグループ㈱常務執行役兼マネックス証券㈱副社長執行役員を歴任。19年4月から減職。(『THE21オンライン』2020年02月27日 公開)
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