「年収1億円」という数字を目にした時、あなたはどう感じるだろう。さすがに現実的ではない、と感じる人もいるかもしれないし、自分には到底無理、と感じる人もいるかもしれない。
……もし、あなたがそう感じるとしたら、要因はまさに、「その思考回路」にありそうだ。
どういうことだろうか?
(本記事は、岡崎かつひろ氏の著書『うまくいく人がやっている 1億円会話術』きずな出版の中から一部を抜粋・編集しています)
「年収1億円」を語る前に知っておかなければいけないこと
「1億円会話術」の具体的なスキルを学んでいく前に、ここでは、あなたのお金の概念を変えていきます。
まずお聞きします。
あなたは年収1億円を「本気で」稼ぎたい人ですか?
多くの人が「年収1億円稼ぎたいか」「稼ぎたくないか」と言われれば、おそらく「稼ぎたい」と答えるでしょう。お金はあっても困らないし、お金を持つことで自分のやりたいことに取り組めると思うから。
しかし「本気で」とまで言われると、躊躇してしまうのではないでしょうか。
私がまだ会社員だった26歳のころに、『成功の9ステップ』(幻冬舎)などで著名な成功者のジェームス・スキナー氏の講演を聞きに行ったことがあります。
彼はその講演のなかで、こういった話をしていました。
「あなたの欲しい年収はいくらですか?」
このとき私は、「1000万円欲しい」と紙に書きました。すると彼は、
「もし、いま1000万円、2000万円と書いたなら、あなたはとてもわがままな人です」
と言いました。
……え?まあ確かに不景気のいま、年収1000万円も望むのはわがままだよね、もっと金額を少なくしよう。そう思っていると、
「もし、いまあなたが自分の欲しい年収を下げようと思ったなら、あなたはもっとわがままです。なぜなら年収1000〜2000万円くらいで満足する人は、自分の幸せしか考えていないから。あなたがもしまわりの人を助けたいと思うなら、世の中に貢献したいと思うなら、その収入で本当に十分ですか?」
私の収入に対する概念が大きく変わった出来事でした。そして彼はこう続けました。
「あなたの欲しい年収に、ゼロをひとつ足してください。あなたが望むのは自由です。目標が現実的であることが大事ではありません。目標が現実的じゃなくても、計画を現実的なものにすればいいだけ。人生は、望んだものしか手に入れることができません。まずは大きく望むことから始めてみましょう」
もしこういったお金に対する概念を大きく変えるような出来事が起こっていなければ、おそらくそこまで本気で年収1億円を目指そうという人はいないでしょう。そして、年収1億円を目指すことだけが正解だと言うつもりも、もちろんありません。
あらためて伺います。
あなたは本気で年収1億円を稼ぎたいですか?
多くの人は「本気で、と言うほどではないかも……」となるのではないでしょうか。
はっきり言いますが、1億円もお金があっても、意外と使い道はありません。
本書の冒頭でも言いましたが、年収1億円を達成する人たちは、最初から年収1億円を目指していません。むしろ目の前の仕事に真剣に取り組んでいたら年収1億円までいった人がほとんどです。
●いままでと同じがんばり方では、年収1億円の世界は見えない
私にしても、当時、これから起業して成功していこうと野心に燃えていても、年収1億円までの野望を持てていたかと言われれば、そんなことはありませんでした。
年収1億円までを目指すためには、何かきっかけが必要なのです。
ですから、この本では、すでに年収を1億円稼いでいる人たちが大事にしていることよりも、その人たちが年収1億円に到達するまでの間にどういったことを大事にしていたのか?ということを主軸にしてお伝えしていきます。
もしもあなたが本気で年収1億円を目指そうというのなら、まず取り組まなければならないのは「がんばり方を変える」ことです。「職業に貴賎はない」と言いますが、残念ながら職業によって稼ぎやすさの違いがあるからです。
たとえば、コンビニエンスストアのアルバイトに一生懸命に取り組んだとしても、せいぜい時給1500円程度、どんなに働いても月収にして30万円から40万円が精一杯でしょう。
それが悪いということではありません。しかし、あなたがもし年収1億円を本気で目指そうというのなら、残念ながらそれでは到達しないのです。
「能力は努力の差で決まるが、結果・成果はしくみの差で決まる」という言葉があります。どんなに能力が高くても、合わないしくみのなかでがんばっていては、自分の望む結果には到達しないのです。
1億円会話術のポイント 1億円を目指すなら「1億円にふさわしいがんばり方」をしよう
年収1億円を実現するには、コミュニケーション力が必須
どんな人たちが年収1億円を稼いでいるのかについても、ご紹介していきましょう。
あなたがいまよりも収入を上げたい、年収1億円稼ぎたいと思うなら、働き方には種類があるということを知っておく必要があります。
これに関しては前著『なぜ、あの人は「お金」にも「時間」にも余裕があるのか?』(きずな出版)に詳しく書きましたので、ここでは簡単に概要だけをご紹介します。世界的ベストセラー『金持ち父さん貧乏父さん』(筑摩書房)で有名なロバート・キヨサキ氏は、『金持ち父さんのキャッシュフロー・クワドラント』(筑摩書房)という書籍のなかで、働き方を4つの枠組みに分けて提唱しています。
次の図の4つのクワドラントです。
まず大事なことは、各クワドラントに正解・不正解はないということです。
これらすべてのクワドラントがあって、世の中は動いています。ですから優劣という話ではないということを念頭に置いてください。
そのうえで左側のクワドラントと、右側のクワドラントでは概念が大きく異なります。
左側のクワドラントは、時間をお金に変える働き方を中心とし、右側のクワドラントは時間をしくみに変える働き方をしています。
しくみに変えるとは、不動産を持つ、長期の株式投資をする、自動化されたビジネスを持つ、協力者を募って仲間とともにビジネスを立ち上げる、などといった方法です。
こまかい部分はさておき、それぞれのクワドラントで年収1億円を目指す場合、次のようになります。
●働き方別、1億円の目指し方
・Eクワドラント(従業員)の場合
雇われ社長を目指す。もしくは外資系企業など、高い年俸が期待される仕事につく。
・Sクワドラント(自営業)の場合
単価の高い仕事をする。具体的には法律や税務など。ほかの人にはできない特別な仕事をできるようになることが重要。
・Bクワドラント(ビジネスオーナー)の場合
(1)自動化されたシステムを持つ →ネットの通販ビジネスやYouTubeなどのように、一度構築したらずっと残るしくみのうえで努力をしていく。
(2)ビジネスチームを持つ →自分を信頼し応援してくれる仲間を募る。自分よりも優秀な人から人望を得られるかが鍵となる。
・Iクワドラント(投資家)の場合
優秀な投資のパートナーを探し、優良な対象に投資していく。多くの場合いきなり多額を投資することが難しいため、小額から投資額を積み上げていくか、何らかのビジネスによって得たお金を投資し、投資の収益とほかのクワドラントの掛け算をおこなう。
これら4つのクワドラントのなかで、もっともコミュニケーション力が求められるのはビジネスオーナーで、なおかつ(2)の「ビジネスチームを持つ人」です。
この領域でもっとも有名な人物と言えば、「鉄鋼王」と呼ばれるアンドリュー・カーネギーでしょう。
彼の墓碑銘には、「自分より優秀な者の力を借りる術を知っていた男、ここに眠る」と書かれているそうです。いかに彼が多くの人の力を借りて成功してきたのかを明かす墓碑銘と言えるでしょう。
また自動車会社フォード・モーターの創立者ヘンリー・フォードにも、このような逸話があるのは有名です。
あるとき、エリート金融マンたちが駆けつけたそうです。
そこで、金融マンたちがフォードに難しい質問を投げます。
高卒だったフォードにとって、それは答えるのは難しい質問でした。その姿を見てエリートたちは得意になっていますが、フォードはこう答えたそうです。
「私はその質問に答えることができないが、その答えを知っている者に5分で連絡をつけることができる」
フォードやカーネギーに限らず、偉大な経営者の方々は、そのほとんどが人づきあいの天才です。
そして、有名でなくても大きな結果をつくっている人もたくさんいますし、そうした人たちも総じて人づきあいがうまい。話していても面白いし、一緒にいたくなる。会話術に明らかに長けているのです。
もしあなたに特殊な能力がなく、また多額の金融資産を有しているわけでもないなかで年収1億円を目指すなら、Bクワドラント、つまり「ビジネスオーナー」から目指すといいでしょう。そして、そのためには、コミュニケーションについて学ぶことが第一歩となっていくはずです。
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