「介護施設(老人ホーム)でのイジメや虐待が心配なんです」「介護施設を選ぶ際のポイントを教えてください」先日、筆者のFP事務所にそんな相談が寄せられました。当コラムでは前回、前々回と「介護リスク」を取り上げましたが、その影響でしょうか? 最近は両親の介護に関する相談も寄せられるようになりました。
とはいえ、介護施設は種類が多く複雑です。サービスや料金もまちまちなので、どれを選んで良いのか迷います。インターネットで検索すると、介護施設での虐待やイジメの情報も散見されるので、なおさら慎重にならざるを得ません。
介護施設は、どうやって選べばよいのでしょうか? 詳しく見てみましょう。
介護施設は「公共型」と「民間型」がある
介護施設(老人ホーム)は実に様々な種類があります。施設を使用できる条件や目的なども異なりますし、料金についても大きな差があります。まず、大きく分けると「公共型」と「民間型」があるのですが、最初に「公共型」について説明しましょう。
・特別養護老人ホーム(特養)
「公共型」で一般的によく知られているのが「特別養護老人ホーム(特養)」です。月額の費用が安いのが特徴ですが「要介護3以上」の条件が付きます。また、地域によっては待機者が多くなかなか入所できないケースもあります。
・介護老人福祉施設(老健)
「介護老人福祉施設(老健)」は病院を退院した後、自宅への復帰を目指してリハビリを行う施設で「病院と自宅の間をつなぐ中間的な施設」となります。老健は在宅復帰のためのリハビリ施設なので、原則として3〜6カ月程度しか入所することができません。しかし、実際には入居の期限がくると別の施設に住み替えたり、特養の入居待ちに使ったりするケースも珍しくないようです。
・介護医療院(介護療養型医療施設)
介護医療院(介護療養型医療施設)は「長期的な医療と介護の両方を必要とする人」を対象とした施設です。ちなみに、介護療養型医療施設は2024年3月までに廃止される方向で、新たな後継施設として「介護医療院」が創設されました。
上記3つの施設は、いずれも介護認定で「要介護者」でなければ入居することができません。特に「要介護4・5」など介護度が高い人ほど優先的に入所できる傾向にあります。