本記事は、小次郎講師の著書『小次郎講師式 世界一わかりやすい投資の勝ち方 ~チャートメンタルズ分析~』(総合法令出版)の中から一部を抜粋・編集しています
チャートで見る各国の株価指数
まずは、NYダウから順番に見ていきましょう。2017年9月から2019年4月の動きをそれぞれ見てきます。2017年9月から2018年1月にかけて上昇しました。2月は下げました。7月まではもみ合い相場となり、そこから10月まで上昇しました。2018年の12月までは下げました。年末から2019年5月に向けては上昇する動きとなっています(図4-2-1)。
では、順に他の国の株価指数も見ていきましょう。ドイツのDAXは2018年1月まで上昇しました。2月から3月は下がりました。5月は上昇し、そこから年末まで下がりました。2019年は上昇しています(図4-2-2)。
次に、フランスのCAC40のチャートを見てみましょう。2017年9月から2018年1月まで上がりました。2月は下がりました。3月まで下がり、4月から戻していきました。戻していた相場が10月から下げ出し、年末まで下げました。年が変わり、1月から4月まで安定的に上がっています。フランスでは、マクロン大統領に対する支持率が下がり、毎週のようにデモが起こって、経済的には大変混乱していました。それでも、上がるときには上がっています(図4-2-3)。
では、イギリスのチャート(FTSE100)はどうでしょう。イギリスではEU離脱問題があり、非常に揉めていました。ボリス・ジョンソン氏が首相になるかどうかという時期で、彼はイギリスのトランプ大統領といわれていました。ジョンソン氏が首相になれば、ポンドが売られ経済が混乱するといわれていましたが、2017年9月から2018年1月まで上がりました。
2月から3月まで下がりました。4月から上がりました。それが10月から年末まで下がりました。2019年になって上がっています(図4-2-4)。これらの動きは他の国とまったく一緒です。ただし、その上げ幅・下げ幅ということでいうと、その国ごとの情勢で、景気が良いところは大きく上がり、景気が悪いところは上がらないという差があります。
次はカナダのチャート、トロント総合指数。これがカナダの平均株価です。2017年9月から2018年1月まで上がりました。2月から3月は下がり、4月から戻していきました。10月から下がり、年末まで下がりました。2019年になり、1月から4月まで大きく上がっています。この一連の動きが世界全体で一緒なのがわかります(図4-2-5)。
さらに、今度は中国の上海総合指数の株価を見てみましょう。世界の中心となる株価指数の中で唯一の共産圏の株価指数ですので、他の国よりは形状が違います。それでも上がる時期や下がる時期は似ており、世界のマーケットが動くときは同じように連動しているのがわかります(図4-2-6)。
では、日本のチャートを見てみましょう。日経平均株価とTOPIXです。もちろん、時期や値幅などの若干の違いはありますが、日本も世界の中の日本であることがよくわかる動きとなっており、やはり世界の連動性が見て取れます(図4-2-7・図4-2-8)。
近年の傾向として、世界の連動性が高まっているということは先ほどもお伝えしました。なぜ、世界の連動性が高まったのでしょうか。私はこのことをずっと研究しています。やはり、ファンドの影響が非常に大きいと思います。機関投資家やいろいろな大口投資家が株を買うとき、「日本株を買います」「ソニーを買います」「トヨタを買います」というようにターゲットを絞っているのではなく「バスケット」、つまり全体で買っているのです。
バスケットには、「日本株ファンド」「アジアファンド」そして「ヨーロッパファンド」「新興国ファンド」などがあります。これらは、「この国とこの国で一定額を買う」という手法を取っています。アジアファンドなどであれば、中国が何割、日本が何割、韓国、ベトナム等々、そういうところ全体でアジアファンドとして買います。
「中国がこれから成長する」と思えば、アジアファンドにドッとお金が流れ込んできます。ところが、「中国が苦しい」「しばらくの間、中国は経済的に停滞があるぞ」となると、アジアファンドを売ります。アジアファンドを売った瞬間に、日本株も同時に売られます。ワンセットなのです。その量が大きいので、連動して上がったり下がったりしてしまうのです。そういうことが世界中で起きていると思っています。
各国の経済状態はどのように影響するのでしょうか。景気のいい国は、下がるときに下げ方が少ないです。いい国は、上がるときに大きく上がります。個別の動きよりも、全体のほうが影響が大きいのです。
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