本記事は、小次郎講師の著書『小次郎講師式 世界一わかりやすい投資の勝ち方 ~チャートメンタルズ分析~』(総合法令出版)の中から一部を抜粋・編集しています
株式銘柄の選び方
株式投資家はファンダメンタルズ分析に基づいて銘柄選びをしている方が圧倒的に多い、と私は感じています。ファンダメンタルズ分析がいけないということではありませんが、買うための指標や売る指標といったルールを構築し難いのがファンダメンタルズ分析です。そこで、ここでは、コペルニクス的転回の「銘柄選び」その極意を伝授していこうと思います。
16世紀、それまで地球の周りを太陽などの惑星が動いているという「天動説」の考え方が主流だった時代に、コペルニクスというポーランド出身の天文学者は、太陽の周りを地球などの惑星が動いているという「地動説」を唱えました。
彼の説は直ぐには世の中の主流の考え方にはなりませんでしたが、彼の功績をたたえて180度見方が変わってしまうことを「コペルニクス的転回」といいます。つまり、ここでは今までの銘柄選びが180度変わるような考え方をお話ししていきます。小次郎講師式の銘柄選びをしっかりと学んでいきましょう。
まずは株式銘柄の選び方から見ていきます。多くの個人投資家は現在もファンダメンタルズ分析に基づいて銘柄を選択していると思います。売上高や利益、ROE(自己資本利益率)などの企業の業績や財務情報、PER(株価収益率)や配当利回りといった指標を基に選択されているのでしょう。
もしくは、株主優待の内容によって銘柄を選択しているという個人投資家も、最近は増加傾向にあるように感じます。企業の業績や財務情報1を理解することは決して悪いことではありません。むしろ、その企業の内容をより理解することができるようになります。ただ、その場合は一般的な企業の株価がどれくらいかという指標はできますが、株価はその指標通りに動いてくれることはなく、指標を意識しすぎることで判断を誤ってしまうこともあります。
なぜなら、その指標は過去の指標であってこれからの指標ではないからです。そこが、ファンダメンタルズ分析の難しいところであり、ROEやPERでどうなれば仕掛けて、逆にどうなれば手仕舞うといったルールが構築できない理由です。
もちろん、ファンダメンタルズ分析で銘柄を選択し、仕掛けや手仕舞いといったところだけにチャート分析を使う方法も考えられます。ルールの構築が難しいファンダメンタルズの補完をチャート分析でするという方法です。しかし、それでは満足のいくトレードはできません。
なぜなら、「ファンダメンタルズが良い会社=トレードしやすい会社」とはならないからです。どういうことかというと、業績の良い企業のチャートがトレードしやすく、そうでない企業のチャートがトレードし難いということではないからです。それは、イコールではつながらないのです。トレンドが発生するときにトレンドの強弱を示すノイズの大きさがチャートによって違うのです。業績優秀な企業でもトレンドのノイズが大きければトレードには不向きになるのです。
では、どのような基準で銘柄を選択すればよいのでしょうか。これから、小次郎講師式の銘柄選びの極意を伝授いたしましょう。小次郎講師式はチャートから銘柄を選択します。どのように選択するかというと、チャートが綺麗で上昇するときはわかりやすく上昇し、下降するときもわかりやすい動きをするチャートを選ぶのです。
具体的に見ていきましょう。まず大事なことは、トレンドが出現することが多いチャートを選択するということです(図10-1)。綺麗なチャートと一言でいっても、長期で綺麗にもみ合い相場が続いていて、トレンドが出現しない銘柄であれば、どれだけ頑張ってもトレードで利益を上げることができないからです(図10-2)。
次に、その出現したトレンドが継続する時間が長いかどうかです。トレンドの出現が多いからといっても、直ぐにそのトレンドが終わるのであれば大きな利益を狙うことはできません。出現したトレンドが継続しなければいけないのです。価格変動も重要な要素となってきます。先程ノイズということをお伝えしましたが、価格変動が大きすぎてはトレンドが継続しているといっても難しくなります。適度な価格変動が必要なのです。
最後に重要なポイントとして、窓を空けすぎない銘柄であり、ヒゲが多すぎない銘柄を選択します。個別株においては、24時間取引ではなく、取引時間が9時から15時という短い時間になります。グローバル化している現代においては、欧州時間や米国時間に大きな材料が入るとマーケットに直ぐに反映されます。
ところが、欧米時間に大きなニュースが入ったとしても日本の個別株に反映されるのは翌日の9時になってしまうという事情があります。そうなると、どのようなことが起きるかというと、取引ができない価格帯が発生することにより、大きな窓を空けるということが起きるのです。だからこそ、できるだけ窓を空けにくい銘柄を選択することが大事になってくるのです。
1日の動きの中で激しく乱高下する銘柄もトレードする銘柄としてはお勧めできません。そのような銘柄はローソク足に長いヒゲが多く出現します。その長いヒゲの影響で不必要なロスカットが増えたりしてはトレードの成果を悪くしてしまいます。
このようにして銘柄を選択することでトレンドがわかりやすく、そのトレンドが継続することでトレードしやすくなります。これが小次郎講師式の銘柄選びとなります。
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