本記事は、小次郎講師の著書『小次郎講師式 世界一わかりやすい投資の勝ち方 ~チャートメンタルズ分析~』(総合法令出版)の中から一部を抜粋・編集しています

金利とはどういうものか?

債券
(画像=PIXTA)

債券と金利の関係は簡単ではありますが、投資家の多くが理解できていない部分です。債券と金利の関係を理解することで世界の債券(&金利)を分析できるようになります。そして、金利はリンク(連動)しています。また、債券の中で一番注目されているものである、世界の10年債金利と株価が連動しているといったところも見ていきましょう。

株式投資家は株価だけを、FX投資家は為替の価格だけを見ている人が多いため、金利の理解が一番遅れています。為替が円安になったら株が上がりやすいとか、為替が円高になったら株が下がりやすいといった部分は既述しました。コモディティの1つである金が上がると「世の中が不安定だ」「戦争が起こると金が上がる」といわれ、金が下がると「世の中が安定している」といわれることは、大体わかると思います。

ところが、金利となると説明が大変難しく、理解も難しくなります。例えば、長短金利が逆転しているというニュースが流れても、それがどういう意味をもつのか、一体なんなのか、こういったところが一番難しい話なのです。ただ、このような債券と金利の関係を理解できると、ありとあらゆることが理解できるようになります。

FXを取引している方やFXに興味がある方は、金利のことがわかっていないといけません。いろいろなディーラーが世界1中にいますが、そのディーラーが最初に学ぶことは金利です。為替のディーラーは、上司から「他の何を見なくても、金利の動きだけは毎日見ておけ」といわれます。

金利の動きは、為替のそれに直接的に影響します。そして、為替に直接的に影響があるということは、株の動きにも間接的に関係があるということです。つまり、株式投資家もFX投資家も金利を理解することで分析能力が大きく向上していきます。

では、金利とは一体どういうものなのでしょうか。金利にはいろいろな種類があります。金利と一言でいわれるので、一般の方が混同してしまいます。この金利を、大きく3種類に分けて説明したいと思います。

金利の代表選手は「政策金利」です。アメリカでは連邦準備制度理事会(FRB)が連邦公開市場委員会(FOMC)で決定しています。日本では日本銀行が金融政策決定会合で決定しています。ヨーロッパでは欧州中央銀行(ECB)がECB理事会において決めています。日本は日本銀行が中央銀行ですからわかりやすいですね。ECBも欧州の中央銀行だからわかりやすいです。

しかし、米国のFRBやFOMCは一般人にはなかなか馴染みのない言葉なので混乱してしまいます。FRBは米国の中央銀行にあたるもので、FRBが主催する金融政策を決定する会合をFOMCといいます。そのFOMCで政策金利を決めるのです。アメリカではFF金利といい、中央銀行が一般の銀行に貸し出す金利のことです。

中央銀行が一般の銀行に貸し出す金利を上げたり下げたりすると、それに応じて、一般の銀行が皆さんに貸したり借りたりするような金利が変動します。政策金利は金利の代表選手ということで非常に重要です。これを中央銀行が決定します。当然、景気政策として行います。一般的には金利の引き下げは金融緩和、金利の引き上げは金融引き締めとなります。

続いて、「銀行金利」というものがあります。銀行金利には預金金利・貸出金利があります。中央銀行が政策金利を変更すると、それにつられて銀行金利も変動します。基本的に、預金金利・貸出金利はその国のインフレ度合で決まっていくのです。

例えば今、あなたは100万円を持っています。これを「私に預けてくれたら、来年には101万円にして返します」といわれたら、あなたは私にお金を預けたいと思いますか?低金利の時代だから、「101万円でも預けたい」という気持ちはわかります。

また、「1万円増くらいだったら要らないわ」という人もいるでしょう。そういう人も、例えば「110万にします」「120万にします」というと、「ぜひ預けたい」という話になりますよね。これが、預金金利です。

そのときのポイントとして、例えば「今年100万円で、来年110万円にしてお返しします」といわれるとよい話のように聞こえますが、もしインフレ率が15%あるとき、「100万円のお金を来年は10%の金利をつけ110万円でお返しします」といわれればどう感じるかです。100万円が110万円になって返ってきます。預けますか? 預けませんね。なぜ預けないかというと、インフレ率のほうが高いからです。

もう1つ、例を挙げます。今年100万円を持っています。そして、ある中古車を買おうと思っていました。今だったら100万円で買えます。ところが、インフレ率が15%だとすると、来年になるとその中古車は115万円になってしまいます。そのときの銀行金利が10%だとすると、100万が110万になります。今年は100万でその中古車が買える。来年になると銀行預金は110万に増えますが、物が値上がりをして中古車が115万円になっています。

つまり、目減りしたという話になり、今年中古車を買ったほうがよいということになります。だから、銀行に預金する預金金利はどのように決まっているかというと、インフレに応じて決まっています。インフレが大きくなれば金利も上がります。インフレが収まれば金利も安くなります。現在の世の中はインフレではなく、また、コロナショックの影響で景気後退もあり、金利はものすごく低くなっています。

小次郎講師式 世界一わかりやすい投資の勝ち方 ~チャートメンタルズ分析~
小次郎講師(こじろうこうし)
株式会社手塚宏二事務所代表/小次郎講師投資塾々長チャート分析研究/トレード手法研究家/トレードコーチ日本テクニカルアナリスト協会認定テクニカルアナリスト1954年岡山市生まれ。早稲田大学政治経済学部中退。約30年の外務員経験後にIT会社へ転身、チャートソフトの開発や投資家教育に取り組む。2015年独立。タートルズのトレード手法をベースとした独自の分析法を駆使し、チャート分析の第一人者として、セミナーや書籍などを通じて個人向けの投資教育活動を展開。2000人を超える門下生からは専業トレーダーも多数輩出している。ライフワークは「日本に正しい投資教育を根付かせること」「勝てる投資家を一人でも多く育てること」。著書に、『小次郎講師流 テクニカル指標を計算式から学び、その本質に迫る 真・チャート分析大全 ――安定投資家になるためのエッジの見つけ方』(パンローリング株式会社)、『儲かる! 相場の教科書 移動平均線 究極の読み方・使い方』(日本実業出版社)、『数字オンチあやちゃんと学ぶ 稼げるチャート分析の授業』(総合法令出版)などがある。

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