本記事は、フランク・マルテラ氏の著書『世界一しあわせなフィンランド人は、幸福を追い求めない』(ハーパーコリンズ・ジャパン)の中から一部を抜粋・編集しています

絶えず人生の意味を深めること

アメリカと日本
(画像=PIXTA)

私たちの人生がはじめから意味あるものなのだとしたら、なぜ改めて意味を探さなくてはならないのだろうか。こういう問いが頭に浮かぶのは、“意味”というものに対して西欧的な先入観を持っている証拠である。心理学者のマイケル・スティーガーはアメリカ人を対象に、人生の意味に関する意識がどのようになっているかを調査した。すると、アメリカにおいては、すでに自分の人生に意味を感じている人は、人生の意味の追求にあまり関心を持っていないという傾向があることを発見した。

足りないものを欲しがるのが人間の常ではあるが、人生の意味についても同じことが言えるというわけだ。ところがスティーガーが日本で同じ調査をしたところ、結果はまったく逆になった。人生に意味を感じている人ほど、さらに意味のある人生を送るにはどうしたらいいかをよく考えるという傾向が見られたのだ。そういう人は、なにか人生において選択を迫られたときには、より人生を意味深く感じられるほうの道を選ぶことになると考えられる。

この点では、東洋人のほうが西洋人よりも賢明と言えるのかもしれない。すでに人生に意味を感じていたとしても、さらに人生を意味深くしてくれるものを探し求めることは可能だからだ。これはただ空白を埋めるのとは違う。自分の行動、選択、人間関係などをどうすれば、日々の生活をより意味深くできるかを探るということだ。

人間はつねに発展途上の存在であり、それを知ってこそ人間であることを楽しめる。人間にはいつも進歩の余地がある。今よりも自分をよく知り、改善し、充足感を高めることができる。それは実は誰もが心の底ではわかっていることだろう。それはなにかが足りないと言って嘆くこととは違う。自分がすでに持っているものをよく吟味し、その上にさらに新しいものを築いていくことだ。今の自分を見つめた結果、すでに人生が意味あるものになっているとわかれば、さらにその先を追求していけばいいのである。

世界一しあわせなフィンランド人は、幸福を追い求めない
フランク・マルテラ(Frank Mar tela)
フィンランド出身。気鋭の若手哲学者、心理学研究者。哲学と組織研究の2つの博士号を持ち、「人生の意味」の問題を専門とする。タンペレ大学で福祉心理学の教鞭を執りつつ、アアルト大学を拠点に活動。学際的なアプローチを行い、多分野の学術誌で精力的に論文を発表する傍ら、ハーバード・ビジネス・レビュー等の一般誌にも寄稿。また、ニューヨーク・タイムズ等のメディア露出や、スタンフォード、ハーバードなど世界の大学での招待講演など、活躍の場は幅広い。プライベートでは3児の父。

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