本記事は、前川富士雄氏の著書『一生お金に困らない! 世界一カンタンなほったらかし投資』(クロスメディア・パブリッシング)の中から一部を抜粋・編集しています。
投資の基礎知識を知ろう 債券
債券について簡単にご説明しましょう。
債券は、企業がお金を「借りて」資金調達をする方法です。「借りて資金を調達する」方法として、社債(債券)を発行します。会社からすると「借りる」ことですから、業績にかかわらず約束の期限が来たら返さなければなりません。約束の期限を満期といいます。企業側は決められた利子も払わなければいけません。
例えば、利率2%、5年満期の債券を100万円で発行するとします。毎年2万円分の利子が発生し、5年間で利子と元金合わせて、合計110万円払わなければなりません。毎年の業績にかかわらず、返さなければいけないわけですから、企業からすればリスクの高い調達方法ともいえます。
反対に債券を買う側からすれば、会社が倒産でもしない限り元本の100万円と利息分10万円(2万円×5年)が上乗せされた110万円が戻ってくるわけですから、安定した投資先になります。
「これなら銀行の定期預金と変わらないのでは?」と思われる方もいるでしょう。
ただ、債券の場合は、定期預金と違って流通する市場があります。定期預金は売り買いできませんし、預けたら満期が来るまでそのまま持ち続けるか途中解約するかですが、債券の場合は証券会社を通じて売買が可能です。そのため、定期預金はインカムゲインしか得られませんが、債券はキャピタルゲインが得られる場合もあります。そこが大きな違いでもあります。
債券の価格ですが、図の上段をご覧ください。債券は100万円で発行されています。波打つように債券価格は上下変動します。一般的には、金利が上がると債券価格は下がり、金利が下がると債券価格は上がるという逆方向の動きをします。市場の金利に応じて、債券の価格が上下していくとお考えください。
では、損することもあるのではと心配される方がいると思いますが、債券の場合は発行時に額面100万円で始まったら、満期時に目減りすることなく、額面100万円で返ってくると決まっています。先ほども述べましたが、債券は国や企業などの借金であり、返済義務があるからです。
●債券の本質
図の下段部分が債券の本質です。債券価格は、金利情勢にあわせて図の上段部分の波打っている線のように変動しますが、毎年2万円分の利息は着実に積み上がり、満期には額面100万円はそのまま額面100万円として返ってきます。100万円が5年間の利息合計10万円(2万円×5年=10万円ですね)と合わせて110万円として戻るわけですから、手堅い投資先になります。債券投資の本質は「金利の蓄積」といえますね。
なお、この満期の期間や金利については、発行する会社の事情によって異なります。
その他に、国が発行する債券として国債があります。
万が一、社債(債券)を発行した会社が倒産しても、会社整理の段階で、お金を借りた人(債権者)から優先的に返金しますので、投資したお金が1円も戻ってこない……ということはめったにありません。仮に元本すべては難しくとも、財務状況によりますが少しは戻ってくるケースが多いのです。もちろん何事もなければ、元本は戻ってきますから、株よりは怖くないといえます。
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