本記事は、前川富士雄氏の著書『一生お金に困らない! 世界一カンタンなほったらかし投資』(クロスメディア・パブリッシング)の中から一部を抜粋・編集しています。
投資の基礎知識を知ろう 株式投資
そもそも、株式とは何でしょうか。
会社の資金調達の方法には、
・借りて資金調達する((1)銀行融資を受ける、(2)社債を発行し資金調達する) ・出資を受けて資金調達する((3)株式を発行し出資を受ける)
と2つの方法があるとお話ししました。株式とは、会社が資金調達するために発行するものをいいます。そして、その株式を持っている人を株主と呼びます。では、図を見ながら解説していきましょう。
会社側から見れば出資金(株式)は債券のような返済義務がありません。そのお金を活用して継続して事業ができますので、会社側にとってはありがたい調達方法といえます。
会社側は資金調達するとき、株を発行して投資家からお金を受け取ります。そして株券(現在はペーパーレス化)を投資家に発行します。投資家はそのリターンとして、配当金や値上がり益を得るのです。
株主の権利は3つあります。
ひとつ目は利益配当請求権といって、配当金などの利益分配を受け取る権利、2つ目は議決権といって、会社の経営方針などについて株主総会で意見を述べたり、議決に参加できる権利です。そして3つ目は残余財産分配請求権といって、もし会社が解散する場合は、株式数に応じて残った財産が分配される権利です。
次に流通市場、つまり、マーケットを見てみましょう。投資家は株を売りたいとき、会社に直接買ってもらうことはできません。投資家は株式の流通市場を通じて、売りたい人と買いたい人が売買取引をします。そこで、ついた価格が株価になります。高くてもいいから買いたい投資家がたくさんいれば、株価は値上がりする傾向がありますし、その逆もあります。一般的には証券会社を通じて売買の発注を行います。株式の流通市場を通して、投資家同士で株を売買するので、会社側からすればお金は一切返す必要がないのが特徴です。
●株式の本質
株式の本質についても少しだけお話ししましょう。
会社は毎年利益を出していって、その利益が蓄積されていきます。株式投資の本質は「利益の蓄積」なのです。詳しく下図で説明していきましょう。
第1期では、100万円の資本金を使って結果として利益が20万円出たことを表しています。参考までに、100万円の純資産を使っての20万円の利益は20%の利益率となります。
この場合、
自己資本(純資産)利益率(ROE)= 当期純利益(20万円)÷自己資本(純資産)(100万円)×100[%]=20%
となります。
この利益は誰のものでしょうか?利益は社長のものでも、従業員でも、債権者でもなく、会社の所有者である株主のものです。株主のひとつの喜びですね。
そして利益20万円を、内部留保(社内に蓄積する分)と配当(その期に分配する分)に10万円ずつ割り当てました。配当はその期に直接もらえます。それをインカムゲインといいます(利益配当請求権)。内部留保は会社に蓄えて、翌期以降の事業活動に活かしていきます。継続して蓄えた「資本金+留保(剰余)金=純資産」も株主のものであり、この蓄積に応じて本質的価値は積み上がります。そしてこの利益の蓄積が値上がりにつながるのです。これをキャピタルゲインといいます(残余財産分配請求権)。
すなわち、「利益」は株主のものであり、2つの恩恵があるのです。ひとつは「配当」として利益の一部をその期にもらえるインカムゲイン、2つ目は「留保金」として利益の一部を蓄積し、毎期積み上がっていく「純資産の大きさ」、つまりキャピタルゲインです。この2つが株主の本質的喜びです。
では次に、株価について見ていきましょう。
日々の株価は、本質に沿って理論通りに動いているのでしょうか?決してそんなことはありません。
仮に本質として、1株あたりの純資産が「1.1」の価値があるとします。ただ、高くてもいいから買いたい人が次々にあらわれて、株価が「5」まで上がりました。株式市場では一時期、理論的にどうみてもおかしい水準まで割高に上がる現象が起きます。バブルともいわれますね。ただ、もし株式市場が正しく機能しているとすれば、本質と比べて、あまりにも高いことに気づき、売りたい人が増えていきます。
逆に本質(1株あたり純資産)が「1.1」なのに売り込まれて、例えば株価「0.1」まで下がっていったとします。株式市場では、理論的にどうみてもおかしい水準まで不安が先行して売り込まれたりします。暴落といわれます。ただ、もし株式市場が正しく機能しているとすれば、本質と比べてあまりにも安すぎることに気づき、再び買いたい人が増えるのです。
結局、株価は常に上にも下にも変動します。しかし、あまりにも本質からのブレ幅が大きすぎると、修正されるという株式市場の価格調整機能が働きます。そして5年、10年と長期的なスパンで本質、つまり利益が蓄積されている限り、ブレながらも株価は本質に沿って上がっていくといえます。
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