本記事は、前川富士雄氏の著書『一生お金に困らない! 世界一カンタンなほったらかし投資』(クロスメディア・パブリッシング)の中から一部を抜粋・編集しています。
投資信託って何?
投資信託は、株式や債券などをひとまとめにして販売している金融商品です。そして、投資信託はプロが運用します。自分で運用しようとすると、四季報をくまなくチェックしたり、毎日値動きを気にしたり、企業研究などしなければなりませんが、投資信託はその必要がありません。
投資信託の仕組みを上に図式化しました。こちらを見ながら、ご説明しましょう。
運用会社が多数の投資家から集めた資金をひとまとめにして、運用します。
購入の窓口は証券会社が一般的でしたが、最近では銀行や信用金庫、郵便局(ゆうちょ銀行)などでも取り扱われています。この証券会社や銀行は単に窓口ですので、運用するわけではありません。お金はこの窓口を通じて運用会社に集まり、運用会社が資金を運用することになります。ちょっとややこしいかもしれません。まとめると、運用会社と直接取引するのでなく、銀行や信金、郵便局(ゆうちょ銀行)などみなさんになじみのあるところが窓口になっていて、そこで投資信託が買えるのです。
さて、こうして窓口を通じてみなさんからの多額の資金が、運用会社に集まってきます。その額は何千億という金額です。運用会社にはさまざまな専門家がいて、プロとして各役割を発揮してくことで全体が組織として機能します。
例えば、運用会社にはファンドの管理をする「ファンドマネジャー」がいます。彼らは「この株は入れましょう、この株は外しましょう」という具合に意思決定をしていきます。また、ファンドマネジャーが意思決定をするのに、必要かつ重要なのが情報です。
経済を分析し、この先の景気動向・金利動向・為替動向・物価動向などマクロ経済を分析予測し情報提供するのが「エコノミスト」といわれる人です。また、企業の長期的業績予測を出し、逆算して理論価格を計算し、市場価格と比べて割高・割安など企業価値を分析し、情報提供する人を「アナリスト」といいます。
またファンドの効果性などを専門に分析している人を「ファンドアナリスト」といいます。こうした専門家が運用会社には在籍しているのです。プロのチームによって、みなさんから集めたお金の投資先は意思決定されているのです。
もし自分で運用するとしたら、運用会社がやっている機能・役割・仕組みを自分でつくり出す必要があります。世界中のマーケットを分析、意思決定をし、実行後は本当に正しかったかを振り返り、フィードバックしながら改善する。このサイクルを続けていくことになります。これを楽しいと思える人もいるかもしれませんが、全く知識がない人にとって楽しい作業とはいえませんよね。もし、楽しいと思える人であったとしても、さらにやりたいことがあるとすれば、そちらを優先して取り組んだほうが人生全体にとってはいいのではないでしょうか。
運用はプロに任せて、その分自分のやりたいことや仕事にその時間をあてましょう。
投資信託は、このファンドは株式への投資、このファンドは債券への投資など、ファンドごとに投資方針が決まっています。そして方針に基づき、さまざまな企業の株を束で組み合わせたり、債券を束で組み合わせたりして運用しています。フルーツの盛り合わせをイメージしていただけるとわかりやすいでしょうか。ひとつの盛り合わせ(投資信託)を購入するだけで何種類ものフルーツ(株や債券)を購入したことになる、というのが投資信託の特徴です。
組み合わせた株、債券、REITなどの投資対象が蓄積され、価値が上がっていくこと。そしてその結果、資産を増やしていくことが投資信託の本質です。具体的にいうと、「株式の利益」、「債券の金利」、「REITの家賃(賃貸料)」がそれぞれ蓄積されていくわけです。
そしてその運用の成果として得られた収益が、証券会社を通じて投資家に分配金や値上がり(基準価額の上昇)として還元される、というのがこの投資信託の仕組みになります。
ここでみなさんに知っておいてほしいのが、投資信託のメリットのひとつは少額でも始められることです。毎月1万ずつ積み立てることもできますし、お試しで10万円くらい購入してちょっと様子を見ることも可能です。
一方で、投資信託は信託報酬がかかります。信託報酬や手数料を払わずに済むから、自分でやりたい方もいるようですが、相場に集中して失う時間を、信託報酬を払ってプロに運用してもらう。そう考えれば、信託報酬や手数料も無駄ではないでしょう。
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