NISA(少額投資非課税制度、愛称:ニーサ)口座では、非課税で運用ができるだけでなく、確定申告の手間も掛かりません。NISA口座には3つの種類があり、口座によって非課税限度額や投資できる商品に差があります。自分に合った口座を選び、上手に資産形成をしましょう。

目次

  1. NISAの基本事項を確認しよう
    1. NISA口座1:株への投資も楽しめる「一般NISA」
    2. NISA口座2:積立による長期投資ができる「つみたてNISA」
    3. NISA口座3:未成年者名義で開設する「ジュニアNISA」
  2. 2024年から変わる「新NISA」の中身とは
  3. NISAを利用するには、証券総合取引口座も必要
    1. 初心者は「特定口座(源泉徴収あり)」を選ぼう
    2. 特定口座と一般口座の違い
    3. 特定口座の源泉徴収「あり」にすることで面倒な確定申告が不要になる
  4. 自分に合ったスタイルで投資を始めることが、運用を楽しむコツ
    1. 株式投資で得られる利益とは(キャピタルゲインとインカムゲイン)
    2. 短期、中期、長期それぞれで必要な知識、初心者におすすめの投資スタンスとは
  5. 一般NISAで投資できる金融商品は4種類
    1. 株式
    2. 投資信託
    3. REIT
    4. ETF
  6. 証券会社を選んで投資をスタートしよう
    1. 店舗型とネット証券はどちらを選ぶべきか
    2. NISA口座開設後の移管は手間がかかるので注意
    3. 主要ネット証券3社の特徴を紹介
  7. 実際に株式投資を始めてみる

NISAの基本事項を確認しよう

NISAとは、一定金額の範囲内で購入した金融商品から得られる利益が非課税になる制度です。金融商品から得られる利益の例を、表1に紹介します。

▽表1.金融商品から得られる利益

利益の種類 詳細
譲渡益 購入時よりも高い値段で金融商品を売却することで得られる差益
分配金 投資信託の運用により得られた利益から、投資家に還元されるお金
配当金 企業活動により得られた利益から、株主に還元されるお金

NISA口座を利用するメリットは、表1の利益に掛かる税金が非課税になる、つまり税金が掛からなくなる点にあります。通常、表1の利益に対しては20.315%(所得税及び復興所得税15.315%、地方税5%)の税率で税金が掛かりますが、これが不要となるため資産形成をする上で有利に働きます。また納税が不要となるため、確定申告も不要です。

NISAには、用途に合わせて3種類の口座が用意されていますが、1人1種類しか開設できないため、併用はできません。それぞれの特徴を確認し、自分に合った口座で投資を始めましょう。

NISA口座1:株への投資も楽しめる「一般NISA」

一般NISAは、株や投資信託などへの投資ができる口座です。口座概要を表2にまとめます。

▽表2.一般NISAの概要

項目 詳細
利用できる人 日本在住の20歳以上の人
非課税対象 投資信託や株式への運用から得られる譲渡益および配当金・分配金
非課税投資枠 新規投資額で毎年120万円(5年間で最大600万円)
非課税期間 最長5年(投資可能期間は2014年~2023年)
ロールオーバーの有無 あり

一般NISA口座の特徴は、投資できる金融商品の種類が多い点です。株や投資信託だけでなく、REIT(不動産投資信託)やETF(上場投資信託)にも投資できます。

・ロールオーバーすることで非課税期間を延長できる
一般NISAはロールオーバーができる点も特徴です。ロールオーバーとは、5年間の非課税期間が終わった金融商品を、翌年の非課税投資枠に移すことをいいます。ロールオーバーすることで、非課税期間をさらに最大5年間延長できます。

NISA口座2:積立による長期投資ができる「つみたてNISA」


つみたてNISAは、積立投資による長期運用をする人に向けた口座です。つみたてNISAの概要を表3にまとめます。

▽表3.つみたてNISAの概要

項目 詳細
利用できる人 日本在住の20歳以上の人
非課税対象 投資信託への投資から得られる譲渡益および、配当金
非課税投資枠 新規投資額で毎年40万円(20年間で最大800万円)
非課税期間 最長20年(投資可能期間は2018年~2037年)
ロールオーバーの有無 なし

つみたてNISAの特徴は、非課税期間が長期であることと、金融庁が定める投資信託を投資対象とする点です。つみたてNISAの対象として選ばれる投資信託のポイントは、以下のとおりです。

  • 販売手数料が0円(ノーロード投信)
  • 信託報酬(運用中に必要な手数料)が低い
  • 分配金の支払い頻度が低く複利効果を狙える

このように、つみたてNISAでは長期に渡りコストを抑え複利で運用することで、効率のよい資産運用を目指せます。

NISA口座3:未成年者名義で開設する「ジュニアNISA」


ジュニアNISAは、未成年者の名義で開設できる口座です。ジュニアNISAの概要を、表4に紹介します。

▽表4.ジュニアNISAの概要

項目 詳細
利用できる人 日本在住の0~19歳の人
非課税対象 投資信託や株式への投資から得られる譲渡益および配当金・分配金
非課税投資枠 新規投資額で毎年80万円(5年最大400万円)
非課税期間 最長5年(投資可能期間は2016年~2023年)
ロールオーバーの有無 あり(20歳になるまで)

ジュニアNISA口座は未成年者の名義で開設し、親や祖父母といった2親等以内の親族が運用管理者になります。非課税期間終了時点で20歳になっていない場合は、ロールオーバーできます。非課税期間中に20歳を超えた場合は、ジュニアNISAで保有する資産を一般NISAもしくは、つみたてNISAに移管できます。

ジュニアNISAでは名義人が3月31日時点で18歳である年の前年の12月末まで、原則として資金の払い出しができません。ただし、このジュニアNISAは2023年で廃止が決まりました。そのため2023年までは払い出し制限が適用されることになります。

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無料 約2,600本 手数料、IPO、外国株
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2024年から変わる「新NISA」の中身とは

令和2年度税制改正により、新制度に衣替えをした「新NISA」として、2024年から2028年まで5年間延長される予定です。新NISAは2階建て構成となり、1階部分は20万円を投資上限に投資対象はつみたてNISAと同じ商品から選ぶことができ、2階部分は102万円を投資上限に、投資対象は従来どおり株式と投資信託に投資をすることができます。

つみたてNISAは、5年間延長され2028年まで利用が可能となる予定です。また、ジュニアNISAに関しては延長されず、新規の口座開設は2023年までとなる予定です。

NISAを利用するには、証券総合取引口座も必要

NISAを利用するには、NISA口座だけでなく証券総合取引口座も必要です。証券総合取引口座とは、証券会社で取引する資金や、保有する金融商品を管理するための口座です。銀行でいう銀行口座の位置づけといえばイメージしやすいでしょう。

証券総合取引口座には、「特定口座(源泉徴収あり)」と「特定口座(源泉徴収なし)」、「一般口座」の3種類があります。口座により確定申告の有無などが変わるため、自分に合った口座を選ぶことが肝心です。

初心者は「特定口座(源泉徴収あり)」を選ぼう

特定口座には、源泉徴収ありと源泉徴収なしの2種類があります。それぞれの特徴を表5で比較しましょう。

▽表5.特定口座(源泉徴収あり)と特定口座(源泉徴収なし)の比較

特定口座(源泉徴収あり) 特定口座(源泉徴収なし)
譲渡益の税金 源泉徴収される 確定申告により納税
分配金・配当金の税金 源泉徴収される 源泉徴収される
口座内取引の損益通算(※) される されない
他の口座との損益通算 されない されない
年間取引報告書の発行 あり あり

(※損益通算とは、一定期間内の利益と損失を相殺することで、課税額を減らすことです)

特定口座(源泉徴収あり)は、初心者でも管理がしやすい口座です。特定口座(源泉徴収あり)では、譲渡益の税金や分配金・配当金の税金が源泉徴収されるだけでなく、特定口座内の譲渡損益および分配金・配当金(株式数比例配分方式での受け取りが必要)が自動的に損益通算されます。よって、確定申告が原則として必要なく、初心者でも使いやすい口座だといえるでしょう。

・利益が少ない場合は特定口座(源泉徴収なし)という選択肢も
特定口座(源泉徴収なし)を選ぶメリットは、利益が少ない場合に確定申告が不要になる点です。所得税においては、給与収入が2,000万円以下で、給与所得や退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円以下の場合は、確定申告が不要となっています。しかし、特定口座(源泉徴収あり)を選択すると、納税の必要がない場合でも自動的に源泉徴収されるのです。このように、利益の額が20万円以下の投資では、特定口座(源泉徴収なし)のほうが税額を抑えられるケースもあります。

特定口座と一般口座の違い

特定口座と一般口座にはどのような違いがあるのでしょう。表6に一般口座の概要を紹介します。

▽表6.一般口座の概要

一般口座
譲渡益の税金 確定申告により納税
分配金・配当金の税金 源泉徴収される
口座内取引の損益通算 されない
他の口座との損益通算 されない
年間取引報告書の発行 なし


特定口座と一般口座の違いは、年間損益が記載された特定口座年間取引報告書は交付されないため、取引結果のみが記載される取引報告書等を参照し、投資家自身がすべての取引を計算して、確定申告をしなければなりません。

特定口座の源泉徴収「あり」にすることで面倒な確定申告が不要になる


特定口座(源泉徴収あり)を選べば、譲渡益や配当金・分配金に掛かる税金がすべて源泉徴収されるだけでなく、損益通算までおこなってくれるため、確定申告が不要です。NISA口座で運用している間は非課税のためそもそも確定申告は不要ですが、非課税期間終了後は特定口座もしくは一般口座に資産が移されます。NISA終了後の確定申告の手間を減らしたいと考える人は、特定口座(源泉徴収あり)で開設しましょう。

自分に合ったスタイルで投資を始めることが、運用を楽しむコツ

株や投資信託などは、値動きがある金融商品です。投資する資産や商品によって、リスクやリターンに差があります。投資を楽しむには、これまでの投資経験やリスク許容度・投資期間などを考慮し、自身に合った投資方法を選択することが大切です。

株式投資で得られる利益とは(キャピタルゲインとインカムゲイン)


株式投資で得られる利益には、「キャピタルゲイン」と「インカムゲイン」があります。それぞれの特徴は、表7のとおりです。

▽表7.キャピタルゲインとインカムゲインの特徴

株式投資で得らえる利益 特徴
キャピタルゲイン 投資対象が値上がりすることで得られる利益。キャピタルゲインは、株式や投資信託、不動産、現物金などへの投資でも得られる可能性がある。
インカムゲイン 資産を保有している間に得られる収益。インカムゲインの具体例は以下のとおり
・株式……配当金
・投資信託……分配金
・債券……利子
・不動産……賃貸収入

キャピタルゲインは、売買のタイミングによっては大きな利益が出ることもありますが、損失が出るリスクも存在します。インカムゲインは、資産を長期で保有することで利益の積み上げを目指せますが、株式や投資信託の場合には減配リスクがあります。

短期、中期、長期それぞれで必要な知識、初心者におすすめの投資スタンスとは

投資を始めるにあたっては、運用スパンを設定することで、自分に適した投資スタンスを選ぶことができるでしょう。運用期間別に適した投資スタンスを解説します。

・短期投資ではキャピタルゲインを重視
短期での投資の場合、インカムゲインを積み上げることは難しくなります。よって、短期投資では値動き幅の大きい銘柄を見極め、キャピタルゲインを狙います。短期投資を上手に進めるポイントは以下のとおりです。

  • 値上がりの目標を設定する
  • 値動きを頻繁にチェックする必要がある

投資経験が豊富な人でも、売買のタイミングを見極めるのは簡単ではありません。そこでポイントなのが、目標価格を決めることです。どのくらいの価格まで上がったら売却するかをあらかじめ決めておくことで、スムーズに売買を進めることができるようになります。

なお、短期投資では目標額に達したタイミングを逃さず売買する必要があります。よって、頻繁に株価をチェックし売買できる環境が必要です。反対に、値下がりする可能性もありますから、損切りラインも同じように決めておく必要があります。

・中期投資は割安株でキャピタルゲインとインカムゲインを狙おう
多くの中期投資では、今後の値上がりが期待されるバリュー株(割安株)やグロース株(成長株)に投資を行います。中期投資のポイントは以下のとおりです。

  • 短期投資ほど頻繁に値動きをチェックする必要がない
  • 割安な銘柄や今後の成長性を見極める知識が必要

割安な銘柄かを判断するには、表8の指標を参考にします。

▽表8.割安を判断する指標例

指標の種類 計算式 解説
PER(株価収益率) 株価/1株当たり純利益(EPS※1) 株価を利益の面から評価するのに使われる指標。一般的にPERが高いほど割高、低いほど割安とされる
PBR(株価純資産倍率) 株価/1株当たり純資産(BPS※2) 株価を資産の面から評価するのに使われる指標。一般的にPBRが低いほど割安といわれる

※1 EPS=税引き後当期純利益÷発行済株式総数
※2 BPS=資産÷発行済み株式数

PERの水準は業界によって差があるため、通常は同じ業界内の銘柄で比較します。PBRは低いほど割安とされますが、自己資本比率が低かったりする銘柄は、健全性が低い可能性があるため注意が必要です。また、PBRが低い状態が長期で続いている銘柄は割安ではなく、それが本来の企業価値であるとも考えられます。

・長期投資ではインカムゲインを楽しむ
長期投資でも、成長性があり値上がりが期待できる銘柄に投資を行う点は変わりません。しかし、長期投資では資産を保有する期間が長いため、インカムゲインを多く積み上げられる可能性がある銘柄を選ぶ点がポイントです。長期投資の特徴は、以下があります。

  • 値動きをそれほど気にしなくてよい
  • インカムゲインの積み上げにより、株価の値動きの影響を抑えられる

長期投資では、最終的に株価が下がってしまった場合でもインカムゲインを積み上げることで、損失を相殺できる可能性があります。保有中にしっかりと配当を得ていくためには、過去の配当実績を参考にしましょう。配当実績を確認できる指標には、表9のものがあります。

▽表9.配当実績を確認できる指標

項目 計算式 詳細
配当利回り 1株当たりの年間配当金額/1株購入価額×100(%) 株価に対する年間配当金の割合を示す
配当性向 1株当たりの配当額/1株当たりの当期純利益×100(%) 当期純利益のうち配当金としてどのくらい支払われているかを示す

配当性向が高い銘柄は株主還元の意識が高いと考えられるため、今後の配当にも期待できるでしょう。ただし、配当性向が高すぎる場合は、配当金額を上げる余力がないケースや高い水準の配当を支払い続けることができず減配するケースもあります。

一般NISAで投資できる金融商品は4種類

一般NISAで投資できる主な金融商品は、株式、投資信託、REIT、ETFの4種類です。

株式

株式は、企業活動に必要な資金を調達するために発行されるものです。投資家は、株式を購入することで企業に出資を行い、企業によっては企業活動で得た利益の一部を配当金として受け取ることができます。また、企業が成長することにより、株価の値上がりによるキャピタルゲインも狙えます。

・株式投資のメリット
株式投資のメリットは、以下のとおりです。
(1)配当のほかに株主優待を受け取れる銘柄もある
(2)応援したい企業に投資できる
(3)出資者として企業の経営に関われる

株主優待とは、一定以上の株式を保有している株主に対して、自社で取り扱う商品やサービスなどを贈る日本企業独特の制度です。長期運用をする場合、株主優待も楽しみのひとつとなります。また、株主は出資者として株主総会などに参加することで会社の意思決定に関われるのも、株式投資の魅力だといえるでしょう。

・株式投資のデメリット
株式投資のデメリットには、以下のとおりです。
(1)元本の保証がない
(2)値動きの幅が比較的大きい
(3)投資先の倒産リスクがある

株式投資は、一般的に値動きの幅が大きい金融商品といわれます。そのため、大きな利益を得られる可能性もありますが、売買のタイミングによっては損失が出る可能性がある点には注意が必要です。

投資信託

投資信託は、多くの投資家から集めた資金を運用会社が運用し、利益を投資家に還元する金融商品です。投資信託の運用では、値上がり益のほか分配金による利益も期待できます。分配金とは、運用で利益が出た場合に、投資家に還元されるお金です。分配金の支払い頻度や金額は、ファンドの運用成績および運用方針により異なります。

・投資信託のメリット
投資信託で運用するメリットには、以下の3つがあります。
(1)比較的少額から始められる
(2)運用会社が運用を行う
(3)銘柄によっては分散投資が図れる

投資信託の魅力のひとつは、運用を専門家に任せられるため投資初心者でも始めやすい点です。専門家が複数の銘柄に投資することで分散投資の効果を図れたり、個人では投資しにくい地域や資産に投資できたりといったメリットもあります。

投資信託は、株や不動産に比べて少額から投資できます。このように、投資信託は投資初心者でも比較的始めやすい金融商品だといえるでしょう。

・投資信託のデメリット
投資信託のデメリットには、以下があります。
(1)元本の保証がない
(2)商品によっては値動きの幅が比較的大きい
(3)運用するために必要なコスト(購入時手数料、信託報酬)が商品によっては高い

投資信託は専門家に運用を任せられる一方、手数料が高めとなっています。投資信託における主な手数料は、表10のとおりです。

▽表10.投資信託の手数料

手数料の種類 詳細
購入時手数料 購入時に販売会社(銀行や証券会社など)に支払う
信託報酬 保有中に支払う
信託財産留保額 解約時に支払う

手数料を抑えたい人は、購入時手数料が無料のノーロード投信を選びましょう。また、日経平均など特定の指標に連動した運用成績を目指すインデックスファンドも、手数料が低いファンドのひとつです。

REIT


REIT(リート)は、不動産を投資対象とした投資信託です。REITを活用すれば、個人では数百万~数億円の資金が必要な不動産投資を少額からスタートできます。

・REITのメリット
REITで投資を行うメリットは、以下のとおりです。
(1)少額で不動産に投資ができる
(2)さまざまな不動産に投資ができる
(3)分配金が比較的安定して支払われる

REITの主な収入源は、住宅や商業施設・オフィスビル・ホテルなど、複数の不動産から得られる賃貸料です。賃貸契約は通常年単位で結ばれるため、不測の事態により不動産市場が値下がりしたとしても賃貸収入がすぐにストップすることはありません。これが、REITの分配金が安定して支払われる理由のひとつです。

・REITのデメリット
REITに投資するデメリットには、以下があります。
(1)元本の保証がない
(2)商品によっては値動きの幅が比較的大きい
(3)金利の上昇により価格が下がる可能性がある
(4)地震や火災などにより資産価格が下がることも

REITの中には、資金を借り入れて運用しているファンドもあります。そのようなファンドは、金利が上がると返済額が増え、資産状況が悪化する可能性があります。REITの保有中は、金利の動向もチェックするとよいでしょう。

ETF

ETFは、証券取引所に上場し取引される投資信託です。

・ETFのメリット
ETFで運用するメリットは、以下のとおりです。
(1)投資信託でありながら、株のように取引できる
(2)投資信託と比べて値動きがリアルタイムで把握できる
(3)手数料が低め

ETFは、市場に上場しているため、リアルタイムの価格で取引ができます。また、ETFは日経平均株価やTOPIX(トピックス)といった、指標に連動する運用成績を目指します。そのため、投資初心者や市場の動きを頻繁にチェックする時間がない人でも、値動きを把握しやすいといえるでしょう。

そのほか、手数料が低いのもETFの特徴です。ETFの手数料が低い理由には、以下があります。

  • 投資家自身が市場で売買するため販売会社が不要
  • 指標に連動する運用をするため

販売会社が不要なETFは、販売会社に報酬として支払う手数料がかかりません。よって、一般的な投資信託よりも、手数料が低い傾向があります。また、ETFは目標とする指標が組み入れるのと同じ銘柄に投資をするため、運用会社による銘柄選定の手間が抑えられます。そのため、運用会社に支払う手数料も低くなるのです。

・ETFで運用するデメリット
ETFで運用するデメリットには、以下があります。
(1)自動積立を設定できる証券会社が限られる
(2)分配金を自動再投資できない

ETFの積立は通常、自動積立の設定ができないため、投資家自身がそのつど手続きを行う必要があります。分配金の自動再投資もできないため、再投資のたびにも手続きが必要です。

なお、ETFの自動積立は、いくつかの証券会社では定期買い付けの形式で対応しています。積立投資をしたい人は、口座開設時に定期買い付けサービスの有無を確認しましょう。

証券会社を選んで投資をスタートしよう

開設するNISA口座や投資したい商品が決まったら、証券会社を選びます。口座開設には1~2週間かかるケースもあるため、速やかに証券会社を決定し手続きを進めることが肝心です。

店舗型とネット証券はどちらを選ぶべきか

証券会社は、店舗型とネット証券に分けられます。それぞれの特徴は、表11のとおりです。

▽表11.店舗型とネット証券の特徴比較

店舗型 ネット証券
取引方法 窓口・郵送・(オンライン) オンライン・郵送
取引受付時間 窓口が開いている時間 いつでも
手数料 高め 低め


・利便性が高く手数料が低いのはネット証券
ネット証券は、オンライン上で取引を行う証券会社です。ネット環境とパソコンやスマートフォンといった端末があれば、時間や場所に関わらず取引ができます。また、窓口を持たないネット証券は、人件費や店舗維持費などがかからないため、手数料が低いのも特徴のひとつです。

・手続きや銘柄選びに不安があるなら店舗型も
店舗型は窓口で手続きをするため、手続きや銘柄選びの相談ができます。また、フォローも比較的充実しています。専門家に相談しながら取引を進めたいと考える人は、店舗型も選択肢となるでしょう。ただし、ネット証券に比べ手数料が高い点には注意が必要です。

NISA口座開設後の移管は手間がかかるので注意

NISAは、先述のとおり1人1口座(ひとつの証券会社)しか開設できません。そのため、NISA口座を他の証券会社に移管するには、証券会社を通じて税務署に書類を送付する必要があります。また、すでにNISA口座内で取引をした場合、その年は移管手続きができないなどの制限もあります。

このようにNISA口座を開設した後の証券会社の変更は、手間がかかることに加え、一時的に投資がストップする可能性もあります。NISA口座を開設する際は、運用中に移管せずにすむような証券会社選びが重要です。

主要ネット証券3社の特徴を紹介

最後に2020年5月現在の、主要ネット証券3社のサービスの違いを紹介します。

・ネット証券口座開設数最多のSBI証券
SBI証券は、ネット証券口座数およびネット証券NISA口座数が最多の証券会社です、。SBI証券のサービス概要を表12にまとめます。

▽表12.SBI証券のサービスの概要

項目 詳細
投資信託取扱本数 2,652本
ETF・ETN(イー・ティー・エヌ※)取扱本数 246本
REIT取扱本数 63本
国内株式取引手数料(税抜き) スタンダードプラン(1注文の約定金額ごとにかかる) アクティブプラン(1日の約定合計金額にかかる)
5万円まで 50円 0円
10万円まで 90円
20万円まで 105円
50万円まで 250円
100万円まで 487円 100万円まで762円以降100万円増えるごとに400円ずつ増加
150万円まで 582円
3,000万円まで 921円
3,000万円超 973円

※ETNとは、上場投資証券または指標連動証券と呼ばれる上場商品です。

SBI証券では、8時20分~16時および16時30分~23時59分に取引ができるPTS取引があります。これにより、日中に取引をする時間がない人でも、投資をしやすくなります。

・楽天証券
楽天証券は、「J.D.(ジェイディー)パワー 2019年 個人資産運用 顧客満足度調査 ネット証券部門」において、ナンバー1を獲得した証券会社です。楽天証券のサービスの概要を、表13にまとめます。

▽表13.楽天証券のサービスの概要

項目 詳細
投資信託取扱本数 2,634本
ETF取扱本数 221本
REIT取扱本数 64本
国内株式取引手数料(税抜き) 超割コース(1注文の約定金額ごとにかかる) いちにち定額コース(1日の約定合計金額にかかる)
5万円まで 50円 0円
10万円まで 90円
20万円まで 105円
50万円まで 250円
100万円まで 487円 100万円まで858円200万円まで2,2000円300万円まで3,000円以降100万円増えるごとに1,000円ずつ増加
150万円まで 582円
3,000万円まで 921円
3,000万円超 973円

楽天証券は、楽天グループのネット証券です。楽天証券には取引内容に応じたポイントサービスがあり、受け取ったポイントは投資に活用するだけでなく、楽天グループのその他のサービスにも使えます。

・松井証券
松井証券は、「HDI-Japan 主催2019年度 問い合わせ窓口格付け(証券業界)」において、9年連続最高評価の三つ星を獲得しています。松井証券のサービスの概要は、表14のとおりです。

▽表14.松井証券のサービスの概要

項目 詳細
投資信託取扱本数 1,254本
ETF・ETN取扱本数 246本
REIT取扱本数 70本
国内株式取引手数料(税抜き) アクティブプラン(1日の約定合計金額にかかる)
5万円まで 0円
10万円まで
20万円まで
50万円まで
100万円まで 100万円まで1,000円200万円まで2,000円以降、100万円増えるごとに1,000円ずつ増加1億円超は、手数料上限の10万円
150万円まで
3,000万円まで
3,000万円超

松井証券は、手数料がシンプルで分かりやすい特徴があります。また、現行制度が続く限りNISA口座・ジュニアNISA口座とも、株式の売買手数料が無料です。

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