本記事は、上岡正明氏の著書『自分のやりたいことを全部最速でかなえるメソッド 高速仕事術』(アスコム)の中から一部を抜粋・編集しています
インプットについての意識改革をせよ
しかし、いくら物事にフォーカスして集中力を高めても、目標達成への道筋を間違えていたら元も子もありません。
あなたが目指すゴールに到達するには、小さなゴールを設定してそれをクリアしていけるように、とにかくアウトプット(行動)しなければなりません。アウトプットだけがあなたの現実を変えてくれるのです。
極論をいえば、アウトプットを続けてゴールに最短で到達できるならば、インプット(情報収集)などする必要は一切ないでしょう。
実は、ここが高速仕事術のもうひとつのポイントです。
一般企業で働いたことがなかったり、実業をしたことのない研究者に多いのですが、ことあるごとに「インプット」の大切さを語る人がいます。
インプットはたしかに大切です。でも、ムダなインプットをしている人があまりに多いと感じます。
インプットが大切だからと、漫然とビジネス書を読んだり、セミナーに参加したりしている人がいますが、生産性を上げるという意味においては、はっきりいって大きな遠回りになりますし、目的を見失ったインプットは無意味です。なぜなら、インプットは問題や課題が生じて初めて必要になるものだからです。
まず、アウトプットしてみる→問題や課題が生じる→ここで初めてインプットが必要になるわけです。
たとえば、さあ今日からユーチューバーになろうと思い立ったとしましょう(私は5ヵ月で6万人のチャンネル登録者を得ることができました)。
そこで、ユーチューブのチャンネル登録数を稼ぐためにはどんな方法があるのかと、いちいち情報収集しても無意味です。なぜなら、まだユーチューバーになっていないからです。
正しくは、とりあえずユーチューバーになる→動画を撮ってみる→その動画をアップしてみる、チャンネル登録数が伸びないという課題が見つかる。ここで初めてインプットすべき対象がわかり、成長や成功のための本格的な情報収集を始めるのです。
このようにしなければ、いつまで経っても物事は前進していきません。
情報不足でアウトプットをすれば、失敗することもあるでしょう。
しかし、高速仕事術では逆の発想をします。失敗を高速で繰り返して、インプットを加速度的に積み上げていく。もし失敗したら、即座に正確で目的にも合致したインプットをして、秒速で改善するまでのこと。
高速仕事術では、失敗や壁そのものを味方としていくわけです。
このような、アウトプットとインプットと改善を高速でサイクルさせることを、私は「IOK(アイオーケイ)高速サイクル」と呼んでいます。
フォーカス力を高め、IOK高速サイクルを回す。高速仕事術の原則はこの2つだけ。シンプルなことですが、意外とできていない人が多いのが現実です。
脳は何歳からでも鍛えることができる
理屈はわかった。けれど、それができないから仕事が遅いのだ、と反論される方も多いかもしれません。
けれど大丈夫です。「フォーカス力を高めて、IOK高速サイクルを回す」ということだけ覚えていただけば、あとは本書で紹介していくメソッドを愚直に行っていくだけです。
あなたの脳は勝手に覚醒していきます。
何歳になっても、です。
その科学的根拠を紹介しましょう。
ひと昔前まで、脳の成長は10代で終わり、20歳頃を境に、ゆっくりと機能が衰えていくと考えられていました。脳の神経細胞であるニューロンは少しずつ死に、再生することはないとするのが定説でした。
しかし、最新の脳科学はこの見解を覆しています。
あなたは「脳のシナプス可塑性」についてご存じでしょうか。「可塑性」とは、「変化する能力」という意味です。
成人の脳には約860億個の神経細胞(ニューロン)があります。ニューロンとニューロンは「シナプス」と呼ばれる突起を介して互いにつながっており、神経伝達物質を送ることで情報をやりとりしています。まるで電子回路のような神経ネットワークが脳内に張り巡らされ、情報が信号として瞬時にやりとりされているため、私たちは考えたり、記憶したり、体を動かしたりすることができるわけです。
このシナプスの数が多く、大きいほど、情報伝達のスピードが速くなります。
つまり、シナプスを鍛えれば鍛えるほど、思考力も記憶力もアップするというわけです。
そして驚くべきことに昨今、年齢に関係なくシナプスは新しい経験や体験によって、数を増やしたり、大きくできることがわかってきました。脳神経学者のエリック・カンデル教授は、神経ネットワークを自分で増やせることを科学的に証明し、この研究は2000年にノーベル生理学・医学賞を受賞しています。
次のような実験もあります。
たとえばドイツのハンブルク大学のボイク博士は、平均年齢60歳の50人に次のような実験を行いました。
「ジャグリングの練習を3ヵ月するグループ」と「練習をしないグループ」に分け、3ヵ月後に脳の測定を行ったところ、練習していたグループは動体視力を司る脳の部位が4%近く厚みが増していたのです。
これらが何を意味するかというと、脳は何歳になっても刺激を与えれば成長させることができる!ということです。
高速仕事術は、フォーカス力を高め、IOK高速サイクルを回すために、脳にこれまで経験したことがなかった刺激や、ほどよい負荷を与えます。
すると、脳のシナプスの数は多く、太く、大きくなり、情報伝達の速度が高速になっていきます。
結果として、年齢に関係なく適度な負荷をかけ続けることによって脳は成長して、あなたの仕事力も発想力も自然と高まっていくのです。
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