本記事は、ポール・エステス氏(著)、和田美樹氏(訳)の著書『GIG MINDSET ギグ・マインドセット 副業時代の人材活用』(アルク)の中から一部を抜粋・編集しています
なぜ行き詰まりを感じるのか
本書を手にしているあなたは、おそらく僕と同じような経験をしたのではないだろうか。
安心感が得られない。テクノロジーの発達があまりにも速く、絶え間ないディスラプション[新しいテクノロジーによって、既存産業や市場が根本から覆され、新しいビジネスに生まれ変わる現象]についていけない。自分がこの先ずっと有用で、必要とされ続けるか、そして、居場所を確保していけるかどうか不安だ。これからを生きるには、別のやり方があるはずだ。
毎日8〜9時間働いているが生産性は最低。意味のない会議、新しいスキルに関する調べもの、面倒な検索の合間を縫っての仕事は、最低ノルマをこなすかこなさないか程度しかできない。このパターンから抜け出して成長するにはどうすればいいのか。そんなふうに悩むのはあなただけではない。
●有給休暇を使い切るアメリカ人は、わずか28パーセント。 ●24パーセントのアメリカ人が、時間がなくて読書をしていない。 ●アメリカ人の週平均労働時間は47時間で、自己申告による平均睡眠時間は6時間半。 ●60パーセントのアメリカ人が、時間がなくてやりたいことができていない。
あなたがもっと成長でき、自分の時間を取り戻し、別の方法でキャリアに取り組める新しい道はある。「ギグ・スタイル(クラウドソーシングの活用)」を習得することで、それはかなうのだ。われわれは、もっとしっかりと将来に備える必要がある。寿命も労働時間も長くなり、身の回りではさまざまな業界が栄枯盛衰を繰り返している。
僕はかつて、仕事か家庭のどちらかを選択しなければならないと思っていたが、実際そうせずに済んだ。そんなのは間違っている。仕事は大好きだし、大きな問題を解決し、すばらしい成果をもたらすことにやり甲斐を感じる。ただ、以前の仕事の仕方ではいろいろと制約が多く、職場と家庭両方の目標を達成するのは無理だった。例えば職場では、年度の初めから予算が確定しているので、必要なエキスパートを雇うことができなかった。しかしクラウドソーシングを活用して仕事をすれば、毎晩自宅で夕食を食べ、毎朝子どもたちにパンケーキを作ってやれる(厳密には、毎朝パンケーキではない。バランスのとれた朝食の大切さを理解しているので)。ギグ・スタイルは、仕事も家庭もという欲張りが可能になる、いまだかつてない仕事の仕方なのだ。
そのためには、古い考え方を捨てる必要がある。もはや会社員として生きるという考えは、われわれの親世代のときと同じようにはいかない。今のわれわれは、時代に応じて生き方を進化させなければならない。
足元では大地が変動している。毎日のように新しいテクノロジーが登場する中で、自分のスキルを向上させ、常に新しいツールを使いこなせるようにしておく必要がある。それは、新しいソフトやアプリが使えるという意味だけではなく、クラウドソーシングを活用して生活を回す感覚を身につけ、これからの仕事に備えて頭の筋トレをする必要があるということだ。それには物事を計画したり、コミュニケーションをとったり、人に仕事を任せたりする能力も、最新のプログラムに関する知識と同じくらい重要なのだ。
誰しも深刻な行き詰まりや、過労、ストレスに苛まれることはままある。僕自身も経験者なのでよくわかる。まず、そうした悩みを抱えるのは自分だけではないと知ることが重要だ。上に這い上がろうとする末端の社員も、競争や顧客への価値提供に腐心する幹部も、みな、職の安定を確保するために有用であり続けたいと思っている。成長し成功するために、会社に価値を提供したい、家族やコミュニティのために手柄を立てたい、と願っている。
理想論を語るのは簡単だが、実践するにはいったいどうすればよいのか。
それを伝授するのが本書である。僕がその過程を段階ごとに手引きしよう。僕自身が、どのような経緯でこの新しい生き方・働き方を受け入れるに至ったか、それによって人生がどう変わり、その結果新しいプロジェクトを始めて、自分のスキルを最新に保つ方策をとるようになったかを説明する。また、あなたが僕の二の舞を演じないよう、苦労話も披露する。そしてさまざまな分野のリーダーたちがどのようにギグ・スタイルを実践したかも紹介する。
だが、最も重要なのは、このスタイルを自分のものにするために、あなた自身が何をすればよいのかを知ってもらうことだ。
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