本記事は、片山智弘氏の著書『事業成長につなげるデジタルテクノロジーの教科書』(大学教育出版)の中から一部を抜粋・編集しています
カオスマップの読み解き方
カオスマップとは、業界内を様々なサービスの軸やセグメントで切って、市場に参画している事業者プレイヤー(ときどき法人名ではなくサービスロゴでも俯瞰)を一覧で見られるように整理した図のことです。国内・海外問わずで業界団体や調査機関、シンクタンクなどがこのマップを作っていて、その業界内で関連しそうなテクノロジーを俯瞰できるようなカオスマップが各所で作成されています。
カオスマップは図4–3の例のように、その業界の主要プレイヤーを一気に把握できます。あるデジタルテクノロジーの事業者や領域を調べる場合に、まずそのプレイヤーが国内であれば国内のカオスマップのどこに位置しているか見るだけで競合の事業者名を把握できます。海外にもこのカオスマップの概念は浸透しており、その業界の図が検索エンジンなどでも手に入るので、それを見ると海外の環境も同時に理解できます。
続いて、その中で先述の自社にとっての競合他社が組んでいたり、息がかかっている会社にチェックをつけていきます。また、アライアンスをしている先をカオスマップの同じ調査対象のセグメントに書き入れていくと、どのように競合と組んでいるかを把握できますし、将来の組み先候補になる会社を探すことができます。資金調達などのデータベースやニュースを調べて、その設立や資金調達フェーズが若い会社を見ていきます。
有望なセグメント内でそのようにして比較をしていくと、どの会社とどのように組んでいくことが有効か候補になる法人をあぶりだすことが可能ですし、評価・分析の観点では類似品をすぐに見つけられるのでそれがどのように位置づけられるのかをわかりやすく示しています。
その隣接している企業や注目しているテクノロジーの会社にわかりやすい営業資料やお問い合わせ先があれば、実際に会って話を聞いてみることも手です。そのようにしてデジタルテクノロジーを取り巻くプレイヤーの大枠をカオスマップによって整理していきましょう。高度ではありますが、自分で作ってみるということもお勧めです。
しかし、全体を素早く把握する上では、非常に便利ですが、カオスマップは注意が必要です。まず、そもそもいないプレイヤーがいます。調査時に抜けもれてしまったり、まだ会社設立中のシードで出てこなかったり、国内外で膨大なプレイヤーがいる場合は海外展開とかのせるとわからないです。また、それぞれの会社の関係を可視化しているのではないので、力関係や関連が見えにくくなっていたり、複数にまたがっているときは、それがないことがあります。 カオスマップの情報を過信せずに、再分析や深掘りをすることで初めてその業界内が見えてきます。結局、追加で市場調査をしないといけないことが多いので、便利だというだけで簡単に納得しない、そういう視点を持つことが重要です。
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