本記事は、大橋高広氏の著書『リーダーシップがなくてもできる 「職場の問題」30の解決法』(日本実業出版社)の中から一部を抜粋・編集しています

日本の職場には、リーダーシップがある上司は少ない

リーダーシップ
(画像=ilixe48/PIXTA)

皆様、はじめまして。大橋高広と申します。私は、人事コンサルタントとして、人事評価制度の設計や運用のコンサルティング、管理職研修や職場改善研修を提供しているのですが、より現場で成果が出るための取り組みとして、クライアントのスタッフの皆様と個別に面談をさせていただく機会が多くあります。そこで、わかってきたことがあります。それは、「日本の職場には、リーダーシップがある上司は非常に少ない」ということです。

これは上司本人の問題というよりも、構造的な問題が大きいと考えています。たとえば、多くの上司は「実務の能力や成果」を評価されて昇格したのであって、「マネジメント適性」を評価されたわけではありません。また、実務の研修はOJTを含め数多く受けていますが、上司になるにあたっての研修は受けていない、あるいはせいぜい数回単発の研修を受けている程度です。それでは、なかなか上司として力を発揮するのは難しいといえます。

そこで、意欲ある上司の皆様は、本を読んで学習しようと書店に行きます。しかし、並んでいるのはリーダーシップなどの「人を動かす強さ」を求めるものばかりで、現実的に上司が明日から職場で実践するのは難しいでしょう。

このように、上司の仕事を精神論で考えてしまうと、上司本人はもちろんですが、経営層や人事部の人たちも疲弊してきます。なぜなら、精神論は再現性が低いからです。しかし、日本の多くの職場は、この精神論から抜け出せずに負のスパイラルに陥っています。

必要なのはリーダーシップがなくてもできる職場の問題解決メソッド

そこで、私から提案があります。これからの上司・管理職のスキルアップは、リーダーシップという『精神論』ではなく、上司の仕事を遂行する力を身につけるという『方法』で考えてほしいということです。

本書では、上司の仕事を“3ステップ”で解説しています。

第1ステップは、職場の問題の真因を把握するために、部下の本音を聞き出すこと。

第2ステップは、部下に不利な影響が出ないように、聞き出した情報を社内で共有すること。

第3ステップは、部下の同意と会社の許可を得た上で、具体的に職場を改善すること。

この3ステップをきちんと繰り返し実践している上司は、間違いなく部下に“信頼”されます。強力なリーダーシップがなくても、部下と信頼関係を築くことはできます。

私は、やみくもに最新のメソッドを取り入れ、数ヵ月もすれば自然消滅するということを繰り返す、「改善疲れ」に陥っている職場を数多く見てきました。

そのため、本書では職場の問題を解決するための“30の方法”をお伝えさせていただきますが、部下の本音を聞き出し、職場の現状を把握した上で、有効と考えるメソッドから取り組んでいただきたいと考えています。これが職場の問題解決は、「部下の本音を聞き出す」ことから始めていただきたい理由です。

上司が変われば、職場は変わります。会社のせいにしていては、何も解決されません。ぜひ一緒に働きがいのある職場をつくってまいりましょう。

リーダーシップがなくてもできる 「職場の問題」30の解決法
大橋高広(おおはし・たかひろ)
株式会社NCコンサルティング代表取締役社長。 1982年生まれ。大阪府出身。人事評価制度、管理職育成、職場改善の専門家。大阪商工会議所人事労務サポート推進パートナー、八尾市や守口市、門真市、和泉市などの商工会議所専門相談員。 同志社大学を卒業後、大手通信系企業にて歓楽街での飛び込み営業を経て、経済団体に入職し中小企業の経営支援に従事する。その際、橋下徹氏による府政改革を経験。その後、中堅製造業で総務経理を担当する傍ら、父から息子への事業承継を推進。2015年、株式会社NCコンサルティングを設立。 開業から約5年間で70社以上のクライアント企業のスタッフへ直接面談を実施。ヒアリングしたスタッフの総数は1,200名を超える職場の問題に精通した人事のプロ。「中小企業が元気になれば、日本が元気になる」を信条に、コンサルティング・研修・セミナー・講演を全国各地で行なっている。

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