本記事は、坂本光司氏の著書『会社の偏差値 強くて愛される会社になるための100の指標』(あさ出版)の中から一部を抜粋・編集しています

過去5年間平均の正社員の転職的離職率は2%以下である

転職,離職率
(画像=ururu/PIXTA)

この指標に〇がつく企業の「強み」と、つかない企業の「弱み」

転職的離職率は低ければ低いほど「いい企業」といえます。社員や家族の満足度・幸福度が高く、愛社心が高い社員が、あえて他社へ転職するなどあり得ないからです。転職的離職率が平均して5%以上の企業は、社員の不平・不満・不信が鬱積していると考えるべきです。転職的離職率の低さは、社員の満足度・幸福度の指標でもあります。

●社員に愛されない企業は顧客からも愛されない

わが国の一般労働者(常用雇用者)の年間平均離職率は11%前後、性別では男性が10%、女性が14%となっています。離職理由は企業側の都合、つまりリストラが全離職者の7%、定年が4%前後ありますが、大半の理由は個人的な理由です。結婚や出産・育児、家族の看護や介護、他社への転職のための離職などです。

個人的な理由で特に重要な問題は、他社への転職に伴う離職です。転職的離職者には、人生設計の中で自分自身をキャリアアップするためという人もいますが、そうした人は少数で、大半の人は、その企業・その組織に属することに嫌気がさして辞めてしまうのです。

この意味で、転職的離職率のレベルは、「いい企業」か否かを判断する上で、極めて重要なメルクマールといえます。

転職的離職率の理想は0%ですが、キャリアアップのための転職もあるので、2%以下があるべき姿だといえるでしょう。

近年、新規学卒者の入社3年以内の離職率は、中卒が7割、高卒が5割、大卒が3割で、7:5:3現象などと揶揄されますが、放置できない大きな問題だと思います。

中には新入社員が辞めることを前提に、あるいは辞めさせることを前提に、必要人員の1.5倍とか2倍の社員を採用する企業も少なからずあります。

社員に愛されないことを前提に企業経営を行うような企業は、はじめから健全な経営を放棄しているというしかありません。

「日本でいちばん大切にしたい会社大賞」の受賞企業の中には、社員数が1万人をはるかに超えているにもかかわらず、近年の転職的離職率がなんと0.7%の企業があります。

また、社会福祉法人は定着がむずかしいとされる典型的な業種ですが、その中で、10年以上離職率がゼロという法人もちゃんと存在しているのです。

会社の偏差値 強くて愛される会社になるための100の指標
坂本光司(さかもと・こうじ)
1947年、静岡県(焼津市)生まれ。経営学者。静岡文化芸術大学教授、法政大学大学院教授などを歴任。現在は、人を大切にする経営学会会長、千葉商科大学大学院商学研究科中小企業人本経営(EMBA)プログラム長、日本でいちばん大切にしたい会社大賞審査委員長、他公職多数。徹底した現場派研究者であり、この50年間で訪問調査・アドバイスをした企業は8000社以上となる。専門は中小企業経営論・地域経済論・福祉産業論。近著『「新たな資本主義」のマネジメント入門』2021年ビジネス社、『もう価格で闘わない』2021年あさ出版、『経営者のノート』2020年あさ出版、『日本でいちばん大切にしたい会社7』2020年あさ出版 他。

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