本記事は、井上裕之氏の著書『人生を自由にしてくれる 本当のお金の使い方』(あさ出版)の中から一部を抜粋・編集しています

PDCAサイクルでお金の使い方を改善する

PDCAサイクル
(画像=PIXTA)

PDCAサイクルは、Plan(計画)→Do(実行)→ Check(評価)→Action(改善)を繰り返すことによって、業務を継続的に改善する手法です。

生産・品質管理モデルに由来するサイクルですが、「お金の使い方」にも応用できます。

この手法を応用するとムダづかいがなくなり、「自分にとって価値のあるもの」にお金を集中的に使うことができるようになります。

Plan(計画)

税金や社会保険などを除いた手取り金額のうち、「何に、どれくらいお金を使うか」予算を設定します。

予算は、3つに割り振って仮決めします。

・消費:生活するために必要なお金(食費、家賃、水道光熱費、通信費など。固定費と変動費がある)
・貯蓄:将来のリスクに備えるためのお金
・投資:自己成長や社会貢献のためのお金

「生活費が余ったら、貯蓄や投資に回す」のではなく、最初から貯蓄と投資の予算を決めておくことが大切です。

Do(実行)

予算に沿って、お金を使います。

Check(評価)

決めた支出の割合でお金を使うことができたかを検証します。

計画よりも支出が増えてしまった場合、「なぜ計画通りに実行できなかったのか」「何にお金を使い過ぎたのか」を調べます。

最初に見直すのは、「消費」です。

消費は、固定費(通信費、水道光熱費、定期課金サービスなど)から見直します。毎月かかる固定費はだいたい同じなので、一度見直すと支出の管理がしやすくなります。

投資は、「自分を成長させるため」に必要なものなので、極端にお金を減らすのは得策ではありません。

「スポーツクラブに入会したけれど、利用していない」「セミナーを受講したけれど、参加していない」「本を買ったけれど、読んでいない」などの理由で費用対効果が低くなっているとしたら、それは計画が間違っていたのではなく、「実行のプロセス」に原因があります。

Action(改善)

お金に見合った成果を上げるには、「どうすれば継続できるか」を考えます。

三日坊主で終わってしまうのは、「目的がぼんやりしている」からです。

たとえば、「英会話力を身につけたい」と思ったとき、その目的が明確になっていないと、途中で投げ出してしまいます。継続できずにお金を浪費するのは、目的に対する欲求が「弱い」からです。

そうした場合は、次のように考えます。

「それが本当にやりたいことなのか」目的をもう一度考える。

「目的を達成した自分」をイメージする。

「今やらなければ、何も変わらない」という覚悟を持つ。

「どうしてもそれがやりたい」「どうしてもそれがほしい」という強い欲求を持って行動すれば、結果がともないます。

だから、お金はムダになりません。

「どうしても」という気持ちが持てなかったり、目的が決まらないときは、その学びにお金を使う必要はないと思います。

●お金の使い方に基準をつくる

他人と比べて収入が低いわけではないのに、お金が貯まらないのは、「支出に気を配らず、なんとなく、行き当たりばったりでお金を使っている」ことが原因です。

一方、お金が貯まる人に共通しているのは、「何に、いくら使うか」に気を配っていることです。

お金の使い方に基準を設けないと、ムダな出費を抑えることはできません。

お金は、有限資源です。

あることにお金を使えば、他のことには使えなくなります。「高い価値が得られること」にお金をムダなく使うためには、定期的にお金のPDCAサイクルを回して、収入と支出のバランスを見直しましょう。-->

「宝くじの高額当選者の多くがのちに破産している」は本当か?

私は、「お金は、人に感謝されていただくもの」と解釈しています。

潜在意識の世界では、

「相手に感謝されることなく受け取るお金は、使い方を間違えると、自分に対して悪い結果をもたらしやすい」

と考えられています。

たとえば、宝くじ。

「宝くじで高額当選をした人は、その当選金額を使い果たして破産する」
「宝くじで億万長者になった人の7割が自己破産する」
「宝くじに当選した人の約3分の1は、数年以内に破産している」

といった情報を見かけます。

実際は、どうなのでしょうか?

アメリカでは、恐ろしいことに、

「大家に財産の3分の1を騙し取られ、実の弟が雇った暗殺者に命を狙われ、事業への投資も失敗し、当選3ヵ月後には自己破産した当選者」
「愛人とのその共犯者に殺害された当選者」
「妻に毒殺された疑いのある当選者」

などが実在するそうです。

日本国内において、宝くじの高額当選者と破産の関係をリサーチした公的なデータは見つかりませんでした。

ただし、みずほ銀行が「1000万円以上の高額当選者」に『【その日】から読む本』という小冊子を配布しています。

「ローンや借金の返済を優先すること」
「当選について知らせる人をリストアップすること」
「仕事は辞めないようにすること」
「冷静になって落ち着くこと」

といった心構えを啓発していることを考えると、当選金を浪費して破産したり、詐欺に遭ったり、財産トラブルに巻き込まれたりする当選者が増えていることがうかがえます。

一方、(私の知人がそうなのですが)何度も高額当選しているのにトラブルに巻き込まれることはなく、充実した人生を過ごしている人もいます。

では、不幸になる高額当選者と、幸せになる高額当選者の違いは、何でしょうか。ひと言でいうと、「身の丈」だと思います。

一時的な大金に興奮せず、身の丈に合った使い方をしていれば、破綻することはありません。

知人は、何億という当選金が入っても、生活スタイルを変えませんでした。

豪邸を建てるわけでも、見た目が派手になるわけでもない。

宝くじの当選金にすべて頼るのではなく、今までの仕事を続けながら、「少しの潤いのため」に、そして、「人のため」に当選金を使っています。

●大金が入っても、生活を大きく変えてはいけない

大金が入ったからといって散財したり、生活習慣を変えたり、仕事を辞めたりしない。

「会社の規模を大きくするために、当選金を使って設備投資をする」
「親の介護費用に回す」
「視野を広げるために、いろいろな経験をする」
「子どもの教育費用に回す」

など、成長と貢献のために使う。

自分を見失わないで「目的のある使い方」をすればお金が循環し、充実した生活を送ることが可能です。

また、宝くじの当選や遺産相続など、自分で稼いだわけではないお金に対して欲を見せないこと。

不労所得を当てにしたり、独り占めしたりしないこと。

お金=感謝です。

「誰かに感謝されるようなお金の稼ぎ方、使い方」を考えたほうが、人生は豊かになります。

人生を自由にしてくれる 本当のお金の使い方
井上裕之(いのうえ・ひろゆき)
いのうえ歯科医院理事長。歯学博士、経営学博士、東京医科歯科大学非常勤講師を含め国内外7つの大学で役職を務める。世界初のジョセフ・マーフィー・トラスト公認グランドマスター。1963年北海道生まれ。東京歯科大学大学院修了後、「医師として世界レベルの医療を提供したい」という思いのもと、ニューヨーク大学をはじめペンシルベニア大学、イエテボリ大学などで研鑽を積み、故郷の帯広で開業。その技術は国内外から高く評価されている。情報番組「未来世紀ジパング」にて、最新医療・スピード治療に全国から患者が殺到する様子が取り上げられる。本業の傍ら、世界中の自己啓発や、経営プログラム、能力開発を徹底的に学び、ジョセフ・マーフィー博士の「潜在意識」と、経営学の権威ピーター・ドラッカー博士の「ミッション」を統合させた成功哲学を提唱。「価値ある生き方」を伝える講演家として全国を飛び回っている。
著書は累計発行部数130万部を突破。実話から生まれたデビュー作『自分で奇跡を起こす方法』(フォレスト出版)は、テレビ番組「奇跡体験! アンビリバボー」で紹介され、大きな反響を呼ぶ。ベストセラー『「学び」を「お金」に変える技術』(かんき出版)、『本物の気づかい』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など、著書多数。

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