本記事は、安藤祐貴氏の著書『小さな会社のムダをなくしてお金を残す!』(自由国民社)の中から一部を抜粋・編集しています
キレイな数字は資金繰り改善のヒントに
売上が思ったよりも伸びない、売上が伸びても利益がほとんど増加しない、従業員の採用がうまくいかない、など小さな会社にはさまざまな悩みがありますが、最大の悩みといってもいいのが資金繰りでしょう。
売上や利益が順調に増加していたとしても、「黒字倒産」という言葉があるように、資金繰りが悪化することで会社は倒産してしまいます。
会社に致命傷を与えかねない資金繰りの悩みについては、多くの改善策がありますが、どの改善策にも共通していえる大前提が1つあります。
それは、どれも会社の現在の実態を正しく表現した「キレイな数字」を活用する改善策であるということです。
●改善策を活かせる人と活かせない人
資金繰り改善のステップをおおまかにまとめると、下図の通りです。資金繰り改善に限らず、会社で生じた問題を解決するときも同じプロセスを経ることとなります。問題解決で最も重要になるのは、「今現在はどのような状況なのか」を正しく把握することです。
資金繰り改善で考えた場合、現在の状況を把握するために「決算書」が必要となりますが、残念ながら、決算書が会社の現在の立ち位置を正しく表せていない場合が散見されます。
粉飾決算や脱税などのように、悪意をもって会社の実態を正しく表せていない場合は論外ですが、悪気なく公私混同してしまっていたり、正しい勘定科目を使えていなかったりすることで、意図せず立ち位置とかけ離れた決算書になっているケースもあります。
東京から沖縄に行くのと、ロンドンから沖縄に行くのとでは、移動時間だけではなく費用や持ち物も変わってきます。
自分では現在地は東京と思っていても、実際は海外にいた場合、いつまで経っても目的地にたどり着くことはできませんし、そもそもたどり着くために必要なモノももっていない可能性があります。
現在地を正しく把握することは、どんな問題解決に対しても最重要事項といえるのです。
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