この記事は2022年3月11日(金)に「羊飼いのFXブログ」で公開された「西原宏一氏の現在の相場観とFXトレード戦略」を一部編集し、転載したものです。
2022年3月11日(金)の午前8時すぎに現役トレーダーの西原宏一さんから聞いた最新の相場観と戦略を紹介する。
西原宏一 青山学院大学卒業後、1985年に大手米系銀行のシティバンク東京支店へ入行。1996年まで同行にて為替部門チーフトレーダーとして在籍。その後、活躍の場を海外へ移し、ドイツ銀行ロンドン支店でジャパンデスク・ヘッド、シンガポール開発銀行シンガポール本店でプロプライアタリー・ディーラーなどを歴任後、独立。ロンドン、シンガポール、香港など海外ヘッジファンドとの交流が深く、独自の情報網を持つ。 |
現在の為替相場の傾向や相場観
2022年3月10日(木)のECBは予想に反して金融緩和解除を加速。多くのエコノミストらはウクライナ情勢を見極めるために、ECBが重要な政策判断を遅らせると見込んでいた。
ところが、資産購入プログラム(APP)による債券購入は5月から減らし始め、7~9月にも終了させる方針と発表。ただ、利上げはその直後とは限らないとクギを刺している。
ラガルドECB総裁は記者会見で「ウクライナでの戦争は特にエネルギー価格への相当な上振れリスクだ」と説明。当たり前だが、欧州でもエネルギー価格への相当な上振れリスクがあるということ。
現在の為替相場の戦略やスタンス
ユーロ/米ドルは2月のECBが極めてタカ派な姿勢だったことで一気に1.1495ドルまで急騰。その後、今回の戦争により、急反落といったような相場展開だったわけなので、ECBのスタンスだけでは動きにくいところ。
ウクライナとロシアの外相会談が行われているが、停戦への前進はなく、後述の米CPIの影響もあり、ユーロ/米ドルは1.1ドル割れに反落。
米CPIは2月に伸びが加速。前年同月比7.9%上昇と、前月に続き40年ぶりの大きな伸びとなった(1月は7.5%上昇)。このところの原油急騰の影響はまだ完全には反映されておらず、エコノミストの間には今後数カ月で上昇率が8~9%になるとの見方がある。
当然米10年債利回りは1.99%に反発。米ドル/円は116.1円レベルと高値圏で推移。RBAもタカ派スタンスに変わりつつあることから、ゴールドマンサックスはRBAが今年2回利上げをすると予想しているようだ。
RBAのタカ派移行に加え米CPIの急騰で、豪ドル/円は85.4円に反発。豪ドルのロングは継続。押し目での米ドル/円のロングエントリーと反発時でのユーロ/米ドルのショートを組み合わせ、持ち値のいい合成の豪ドル/円とユーロ/豪ドルのショートを組み合わせることを狙っている。
▽豪ドル/円の日足チャート
*:当記事は、投資一般に関する情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。