この記事は2022年8月5日(金)配信されたメールマガジンの記事「岡三会田・田 アンダースロー(日本経済の新しい見方)『消費の持続的な回復には経済対策による家計支援が必要』を一部編集し、転載したものです。
要旨
2022年6月の日銀実質消費指数は前月比0.0%となった。新型コロナウィルスの感染が抑制されたことによる経済活動の回復を反映した2022年3月からの3か月連続の増加は止まった。2022年6月の名目消費活動指数は同+0.5%とプラスであることは、エネルギーを含むコスト増が家計の負担となり、消費活動が抑制されたことを表す。2022年6月の3M/3Mは+2.2%とリバウンドしている。2022年4~6月期の実質GDP成長率が2022年1~3月期のマイナス成長からしっかりとしたプラスに戻る力となるだろう。
しかし、2022年7月から感染再拡大がみられ、2022年7~9月期以降の消費活動には下押し圧力となるとみられる。2022年7月から感染再拡大がみられ、2022年7~9月期以降の消費活動には下押し圧力となるとみられる。賃金上昇前の物価上昇の中、消費の回復が持続するためには、政府の経済対策による家計支援が必要となるだろう。
日銀実質消費活動指数
2022年6月の日銀実質消費指数は前月比0.0%となった。新型コロナウィルスの感染が抑制されたことによる経済活動の回復を反映した2022年3月からの3カ月連続の増加は止まった。
2022年6月の名目消費活動指数は同+0.5%とプラスであることは、エネルギーを含むコスト増が家計の負担となり、消費活動が抑制されたことを表す。
2022年6月の3M/3Mは+2.2%とリバウンドしている。2022年4~6月期の実質GDP成長率が2022年1~3月期のマイナス成長からしっかりとしたプラスに戻る力となるだろう。
しかし、2022年7月から感染再拡大がみられ、2022年7~9月期以降の消費活動には下押し圧力となるとみられる。業界データなどで補強されたプラス指数と実質消費指数の比であらわすマクロ統計では見えにくい消費の2022年6月の前年同月比は0.0%と横ばい圏内で、まだ消費の回復に広がりがみられないようだ。
2022年7月から感染再拡大がみられ、2022年7~9月期以降の消費活動には下押し圧力となるとみられる。賃金上昇前の物価上昇の中、消費の回復が持続するためには、政府の経済対策による家計支援が必要となるだろう。
▽日銀実質消費活動指数
実質耐久財指数と実質サービス指数
2022年6月の実質耐久財指数が前月比+4.0%となり、2022年5月の同—5.8%からリバウンドした。2022年6月の3M/3Mは—0.2%とまだ弱い。部品不足などで、耐久消費財の納期が遅れていることのかなり強い影響がみられる。
一方、2022年6月の実質サービス指数は前月比−0.3%となり、2022年5月の同+0.8%から反動で低下した。財のコストの増加を、サービス消費の削減で補っているようだ。2022年6月の3M/3Mは+4.4%と堅調となり、消費の回復をけん引したことになる。
2022年6月のインバウンド指数の3M/3Mは0.0%と、動きはまだまったくない。海外からの旅行者の受け入れが始まっており、リバウンドが期待される。消費者の楽観度合を示す実質耐久財指数と実質非耐久財指数の比の2022年6月6M/6Mは+1.6%となり、2カ月連続のプラスとなった。この回復モメンタムの維持には、供給制約が解消していく必要がある。
▽実質耐久財指数と実質サービス指数
PCEデフレーター
名目消費指数と実質消費指数の比で表すPCEデフレーターの2022年6月の前年同月比は+2.3%となり、2022年5月の同+2.5%から若干低下した。原油価格はピークアウト、円安も一服しており、2022年5月がピークとなるのかに注目だ。
PCEデフレーターの2022年6月の3M/3Mでは+1.3%と、6カ月連続の上昇となっている。前年同月比に影響する昨年の携帯電話通信料の引き下げの反動だけではなく、コスト上昇などを転嫁する値上げの動きが幅広くなってきていることを表す。
賃金上昇前の物価上昇が家計の購買力を削ぎ、消費需要を減退させることで、国内のデフレ圧力が徐々に蓄積されることに警戒する必要がある。
▽PCEデフレーター
失業率と失業者
2022年6月の失業率は2.6%と、2022年5月から変化はなかった。労働市場に戻った労働者が雇用を順調に得ることが出来るほどには、雇用市場は回復を続けているとみられる。2022年6月の失業者の6M/6Mは—6.0%と安定した減少トレンドが続いている。
2022年6月の有効求人倍率は1.27倍と、2022年5月の1.24倍から6カ月連続で上昇した。2022年6月の有効求人数の6M/6Mは+5.8%と安定した増加トレンドが続いている。
2022年6月の新規求人倍率は2.24倍と、2022年5月の2.27倍から若干低下したが高水準を維持している。2022年6月の新規求人数の6M/6Mは+6.2%と、強い増加を示している。
経済活動の回復にともない、新規求人数の増加トレンドが有効求人数より強い。日本でも、労働市場の逼迫から、賃金上昇が生れる方向に動き始めているようだ。
▽失業率と失業者
▽有効求人倍率と新規求人倍率
▽有効求人数と新規求人数
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