この記事は2022年9月13日(火)配信されたメールマガジンの記事「岡三会田・田 アンダースロー(日本経済の新しい見方)『政策提言(2)ネットの資金需要を質の良い新しい財政規律に』を一部編集し、転載したものです。

資金
(画像=jirsak/stock.adobe.com)

要旨 

  • 新しい資本主義を稼働してデフレ構造不況を脱却するには、企業と政府の合わせた支出する力であるネットの資金需要を拡大して、家計に所得を回し、まず総需要を回復させなければならない

  • 家計の貯蓄率が低下するファンダメンタルズの悪化の原因は、高齢化ではなく、緊縮財政によるネットの資金需要の消滅であり、政府の成長投資に予算を付け、支出の拡大で家計に所得を回すべき

  • マクロを考慮できない質の悪い財政規律であるプライマリ-バランス黒字化目標を撤廃し、質の良い財政規律としてネットの資金需要の-5%を新しい目標とすべき(-10%では過剰、0%では過小)

  • 自民党の財政政策検討本部の西田昌司本部長との対談で、ネットの資金需要の重要性と、これまでは財政収支だけを問題にしてネットの資金需要が軽視されてきたことによって、日本経済がデフレ構造不況から脱却できなかったことを解説しています。
    [ https://youtu.be/kAAVEa2dgXE ]

▽ネットの資金需要(企業貯蓄率+財政収支)

ネットの資金需要(企業貯蓄率+財政収支)
(画像=出所:日銀、内閣府、総務省、岡三証券、作成:岡三証券)

ネットの資金需要(企業貯蓄率+財政収支)は

  1. 企業と政府の合わせた支出をする力
  2. 家計に所得を回す力
  3. 経済のマネーを拡大する力=金融緩和の効果を強くする

ネットの資金需要を新しい財政規律に

  1. ネットの資金需要>>0 恐慌に陥るリスク
  2. ネットの資金需要=0 デフレ構造不況
  3. ネットの資金需要=-5 成長と分配の好循環
  4. ネットの資金需要<<-10 過熱してインフレが問題に
会田 卓司
岡三証券 チーフエコノミスト
田 未来
岡三証券 エコノミスト
松本 賢
岡三証券 エコノミスト

本レポートは、投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたものであり、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。また、本レポート中の記載内容、数値、図表等は、本レポート作成時点のものであり、事前の連絡なしに変更される場合があります。なお、本レポートに記載されたいかなる内容も、将来の投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。投資に関する最終決定は投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。