本記事は、チンさん凡人投資家氏の著書『難しいことはわかりませんが、老後のお金の作り方を教えてください』(自由国民社)の中から一部を抜粋・編集しています。

長期投資でリスクを平均化する

平均,グラフ
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―― リスクとの向き合い方がイマイチよくわかりません。変動の大きさ、つまり下落もあるってことですよね。それを我慢することなんですか?

良い質問ですね。ただ我慢するのは大変ですよね。しかし実際にはそんなに大変じゃないんですよ。例えば投資して1ヶ月では上がることもあれば下がることもあるので損をする場合もあります。しかしどんどん期間を長くしていくと、例えば10年ではほぼ確実にプラスになって利益が出ています。

―― 長期で考えればリスクは考えなくていいということですか?

そうなんです。変動の大きさは長期では小さくなるのです。

ですから長期投資をすることによりリスクは克服できるのです。

―― では長期投資というのは長ければ長いほどいいということなのですか?

まさにそう言えます。長いほど平均化されてリターンが安定します。ですからせっかく長期に保有している投資は途中でやめてはいけません。

―― ある程度上がったら売って現金化しようと思っていたのですが、話を聞くと売らずに持っておいた方がいいのですね?

売って現金化するのは損です。利益に対して税金がかかるということもありますが、一番大きな理由はリスクに対する有利さが振り出しに戻ることです。

株式投資がおすすめ

―― 具体的には何に投資するのがいいですか?

はい、株式投資をおすすめします。世界の株式に投資することにより経済成長よりも高いリターンを得ることができます。

資本主義が続く限り確実な投資です。フランスのトマ・ピケティ博士は膨大なデータを調べて「r>g」という有名な法則を導きました。これは資産運用により得られる富は、労働によって得られる富よりも成長が早いということです。労働で得る収入よりも投資から得る収入の方が効率はいいというものです。そして裕福な者はますます裕福になるので格差が広がると説きました。この法則を見て、『お金持ちの家に生まれるしかない』と考える人もいます。

一方、労働で得た収入を金持ちと同様に資産運用によって増やすことができるなら自分にもチャンスがある、と前向きに考える人もいます。中世では労働賃金はとても安かったので生活するだけで精一杯で富を生んでくれる土地を庶民が買うことはとてもできませんでした。庶民の資産運用は昔はとてもハードルが高かったのですね。現代は資産運用のチャンスという点では恵まれています。

暴落のある株式投資をしていても大丈夫か?

株式市場が暴落したら損切りが正解?投資信託で考えたい損切りの可否
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―― 株式は暴落することもあるし、怖い感じがするんですが大丈夫ですか?

はい、おっしゃるように株式はかなり変動があります。時には暴落もあります。ですから変動に対する対策や心構えが必要です。また株式投資の仕組みを勉強してしっかり理解しておくことも大切です。

大きな変動に対応するにはまず前述のように長期に運用することでリスクを減らします。暴落への対策としては一気に投資せずに積み立てで時間をずらして少しずつ投資する方法が有効です。定額で積み立てする方法をドルコスト平均法と言います。

難しいことはわかりませんが、老後のお金の作り方を教えてください
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インデックス投資を活用する

もう1つはインデックス投資という方法を使うことで株式のリスクに対応します。

―― インデックスという言葉は聞いたことはありますがどんなものなんですか?

はい、インデックスというのは日本語では指数という意味です。例えば日本の株式市場では日経平均という代表的な株価指数があります。これは日本を代表する225社の株価から日経新聞が算出している指数なんです。NHKのニュースで放送しますね。日経平均という指数に投資することができるんです。このような投資をインデックス投資と言います。

―― 株式投資というのは会社に投資するのだと思っていました。そんな方法があるんですね。

もちろんトヨタとか特定の会社に投資する方法もあります。こちらは個別株投資と呼んでいます。

―― どう違うんですか? またどんなメリットがあるんですか?

はい、特定の会社への投資だとその会社の株が伸びていけばリターンが得られますが不振で株が下がると損をしてしまいます。また株価の動きも決算発表などでは1日に5%以上動くことも珍しくありません。ところがインデックス投資では1社への投資ではないのでそんなに激しい動きはしないんです。また特定の会社に投資する場合は業績や将来性を常にチェックする必要がありますが、インデックス投資ではその必要はありません。

さらに日本の場合だと特定の会社への投資は最低でも数十万円のお金が必要だったりします。しかしインデックス投資では100円から投資できます。缶コーヒーよりも安い値段で投資が可能です。

―― ずいぶんメリットが多いんですね。じゃあ日経平均に投資すればいいんですか?

いいえ、日経平均はインデックスの例として出しただけです。日本の株式の全世界に対するシェアは6.4%ほどしかないんです。ですから日本だけに投資するのは適切ではありません。実際日本は長期にわたって株価が低迷しています。

難しいことはわかりませんが、老後のお金の作り方を教えてください
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全世界に投資しよう

投資,世界
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―― 日本じゃないとするとアメリカですか? 知り合いにも米国株に投資している人が何人かいます。

はい、確かに米国は有力な投資先ですが、1つの国なのでもっと広く世界全体に投資するのが基本です。これだとどこが成長しても、あるいは衰えても影響がありません。

―― 全世界の株式とかに投資できるんですか? ずいぶんお金がかかりそうですね。

全世界インデックスという仕組みを使いますので、やはり100円から投資できます。

―― 世界中の全部の会社への投資になるんですか?

いえ、全部というわけじゃなくて代表的な優良企業への投資になります。日経平均だと225社でしたよね。全世界だとタイプによって3,000社とか8,000社になります。どちらでも成績はほぼ同じです。

どこでどうやって買う?

―― それはどこで買えますか? 手数料とかは必要ですか?

銀行とか証券会社とかゆうちょ銀行とかいろんなところで買えます。しかしネット証券がおすすめです。自分ですぐに買えます。買う時の手数料はどこでも無料です。

―― 手数料が無料とかあやしくないですか? どうやってネット証券の会社は利益を出しているんですか?

投資するのは投資信託という商品になりますが、その中にとても少額ですが年間0.1%とかの年間管理費用が含まれているんです。その中からいくらかの配分をもらっているんです。わずかな金額ですがネット証券は人件費がかからないのでやっていけるんです。ネット証券同士の競争も激しいですからどこも無料にしているんです。

―― ネット証券のおすすめはありますか?

日本のネット証券大手にはSBI証券、楽天証券、マネックス証券があります。使い勝手や特徴がそれぞれあるので一概にここがいいとは言えません。自分が使いやすい証券会社を選んでください。わからなければ全部のネット証券会社に口座を開く方法もあります。使い分けもできて便利です。

難しいことはわかりませんが、老後のお金の作り方を教えてください
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チンさん凡人投資家
本名 川上 賢治(かわかみ けんじ)。凡人投資家兼YouTuber。
1952年広島県神石高原町生まれ。2022年8月現在 70歳
工学部出身にもかかわらず、現役時は学習塾の講師をし、さらに独立して学習塾を経営。株式投資を20代ではじめる。当初は、日本の個別株投資からスタート。
投資については基礎から勉強したことがなかったため、65歳のリタイアを機に株式投資の勉強を一から学び直す。凡人でも成功できる投資を勉強し、実践。
さらにYouTubeで発信することで視聴者と情報を共有しながら投資に対する知識を深める。定期的に勉強会を開き、投資をしているシニア世代と交流もはかっている。
仲間とともに「一緒に勉強して一緒に成功する」がモットー。

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