この記事は2022年12月14日に三菱総合研究所で公開された「DX・GX時代の「DX・GX時代に求められる「地域版人的資本経営」中編 海外事例から明らかにする6つの要件」を一部編集し、転載したものです。

企業の人的資本投資
(画像=Vladimir Badaev/stock.adobe.com)

目次

  1. 「地域版人的資本経営」の在り方:先行事例の検討
    1. (1)イギリス:企業主導で開発・活用される就業継続型リスキリング
    2. (2)ドイツ:地域産業の人材ニーズ実現に向け、企業主導で高等教育機関を設立
    3. (3)スウェーデン:企業と社会の協働によるアウトスキリングとマッチング支援
  2. 実践事例から得られる「地域版人的資本経営」への6つの示唆
    1. [要件1]産業界の人材ニーズは可視化されているか
    2. [要件2]獲得スキル選定プロセスに雇用主が裁量をもって関与できているか
    3. [要件3]実践的教育の場に企業や実務人材が関与しているか
    4. [要件4]職業訓練全体のレベルアップが可能な仕組みを備えているか
    5. [要件5]労働移動を促す仕組みを備えているか
    6. [要件6]地域の産官学を連携させる主体がいるか

POINT
・イギリス、ドイツ、スウェーデンでの「地域版人的資本経営」の実践例を検討。

・就業継続型リスキリング、産業主導の高等教育機関の設立、労使協働の転職支援など多様な施策を通して地域と企業の連携充実が図られている。

・日本での地域版人的資本経営の実践には官民が協働する6つの要件が浮かび上がった。

「地域版人的資本経営」の在り方:先行事例の検討

産業構造転換に伴う人材戦略の転換を進めていくためには、具体的にどのような方法をとり得るのか。中編では、今後の日本の「地域版人的資本経営」に具体的な姿を与えるための材料として、海外における3つの取り組み事例を紹介する。

(1)イギリス:企業主導で開発・活用される就業継続型リスキリング

就業を継続しつつ、社外の能力開発プログラムに参加、スキルアップを可能とする仕組みについてイギリスの事例を参照する。

イギリスでは、教育システムの特性上、大学への進学を志向する就学者の比率が欧州諸国の中では高いとされている。このため1980~90年代には、後期中等教育から高等教育水準で職業教育(特にエンジニアリングなどのSTEM(*1)系)を選択する若年者が減少し、産業の中核を担うミドルスキル人材の空洞化が課題となった。

新卒一括採用のないイギリスでは、特に若年層のスキル形成は大きな課題と認識されてきた。後期中等教育終了後に就労しながら社外の能力開発プログラムに参加し、スキルアップを可能とする学び直しのための仕組みとして、企業の主導性、雇用主へのスキル開発インセンティブ、受講者全体のスキルアップ(提供講座に占める高スキル講座比率の向上)の3つの要素を盛り込んだ「アプレンティスシップ・スタンダード(apprenticeship standard)」を2017年にスタートさせた(図表1)。

アプレンティスシップ・スタンダードは、次のような特徴を持っている。

  • 就業中の労働者が職場外での学修(週所定労働時間の20%)を可能とする仕組み
  • 能力開発プログラムは事業主のグループによって、産業界のニーズに基づいて作成される
  • 訓練内容は難易度により区分され、学修期間も異なる
  • 教育プロバイダー選定・契約は事業主の裁量とされるほか、負担金制度により事業主に訓練受講に向けたインセンティブを付与

アプレンティスシップ・スタンダードは、(1)職場における就労を通じた実務能力の習得、(2)座学による理論の学習、(3)基礎的技能(安全衛生や雇用法上の権利などに関する学習を含む)の習得を組み合わせたコースとして実施される(*2)。

企業におけるフルタイムの雇用が前提となり、賃金が支払われる。通常の被用者と同等の雇用上の権利(有給休暇、出産休暇など)が保障される。訓練内容の難易度により、基礎(intermediate)、上級(advanced)、高等(higher)および学位レベル(degree level)の各レベルに区分されている。

能力開発プログラムの受講を希望する者は、雇用主にその旨を申請し、雇用主との調整の後、雇用主の裁量によって教育プロバイダーの選定と契約が行われる。この、雇用主による裁量性の高さは、アプレンティスシップ・スタンダードに先立って導入された「アプレンティスシップ・フレームワーク(apprenticeship framework)」が有効なリスキリング支援策とはならなかったことへの反省に基づいている。

同フレームワークは能力開発プログラムの選定を労働者自身に委ねたことから、産業界の人材ニーズにかなう能力開発とは必ずしも結びつかず、企業経営者にとって若年従業員の学び直しを支援するメリットが薄かった。

アプレンティスシップ・スタンダードでは、週所定労働時間の20%を訓練に充当することとなる。能力開発プログラムの開発は、雇用主のグループ(trailblazerと呼ばれる)が行う。雇用主グループには、達成目標やその評価方法の設定に関する裁量が与えられ、教育プロバイダーや資格授与機関の協力を得て、内容が作成される。

2017年4月から、雇用主に対する負担金制度が開始され、給与支払総額の0.5%相当額の支払いを義務付けた。訓練の実施に対する公的補助についても、教育プロバイダーに訓練コースの費用を支払う方法から、雇用主が用途を決定する方式への転換が図られていることに加え、負担金からの公的補助受給資格に2年間の時効を設けることで、早期の制度利用を促す仕組みとしている(*3)。

アプレンティスシップ・スタンダードの導入後、イギリスでは能力開発プログラムの利用総数は減少したものの、能力開発プログラム総数に占める高度な能力開発プログラム利用数は増加しており、全体として、訓練レベルが上方にシフトしている。背景には、教育省による能力開発プログラムの許可数のコントロールがあるとされ、職業訓練全体のレベルアップを政策的に誘導している結果と考えられる(*4)。

図表1 イギリス アプレンティスシップ・スタンダード概要

図表1 イギリス アプレンティスシップ・スタンダード概要
(画像=出所:三菱総合研究所)

(2)ドイツ:地域産業の人材ニーズ実現に向け、企業主導で高等教育機関を設立

高度化する人材ニーズを満たすため、ドイツ南部のバーデン=ヴュルテンベルク州(BW州)で地域の産業界が、州政府、教育界と連携して職業訓練システムとして評価の高い「デュアルシステム」の高等教育版の構築に成功した事例を紹介する。

BW州は、ハイテク産業や自動車産業の州として知られる。州都シュトゥットガルト周辺には、ダイムラー、ポルシェ、ロバート・ボッシュ、SAPなどが所在する。このほか州内には約5,600社の外国企業が所在するとされ、近年では毎年350件を超える外国投資を受け入れている。

このように産業集積が進んだ背景には、同州がドイツ国内で先駆けて構築した「デュアル大学(Duale Hochschule)」が一定の役割を果たしている。

バーデン・ヴュルテンベルク州デュアル大学(Duale Hochschule Baden-Wurttemberg:DHBW)は、ハイテク化(メカニクスからエレクトロニクス、メカトロニクスなど)が進む中で、産業人材に従来の職業教育よりもより高度な知識・スキルの習得機会を提供する必要性から、1974年に開設された(図表2)。

ダイムラーやボッシュなどの企業が主導し、趣旨に賛同する企業を「パートナー」とする私立の教育機関である。その後、2009年には完全に州立大学化され、2022年現在は産官の約9,000の企業・機関が「パートナー」として参画している。

このデュアル大学は、すでに職業人育成システムとして定評のあったドイツの「デュアルシステム」の考え方を、高等教育水準に適応したという点で特徴的である。

  • 職業訓練(実践)と高等教育(理論)の組み合わせ
  • 学術教員と実務家・専門家の双方で構成される教員
  • パートナー企業と社会機関の積極的な連携
  • 訓練生手当による経済的自立
  • 短期間の学位取得による早期のキャリア反映

パートナー企業は講師育成または派遣・実践訓練機会の提供・就職機会の提供などを担う。企業での実践と大学レベルの理論学習を交互に繰り返し学位を得るとともに、在学中に職業マッチングすることができる。

また、実践訓練の際には「訓練生手当」が給付され、生計費として使用できるほか、企業による社会保険料の負担なども行われる。パートナー企業側も、早期に有為な人材の獲得を期待でき、採用コストの低下と人材獲得機会の拡大の面でメリットを享受できる。

製造、ハイテク産業などの集積が進むBW州では、パートナー企業の事業展開、人材ニーズに応じてDHBWの対象学科を拡充し、パートナー企業での実習対象業務も合わせて拡充していくことで、地域における産業ニーズに合致した人材を、安定的に育成することに成功しているほか、DHBWの職業マッチング実績から、高等教育進学先としての注目度も上昇し、州外からの進学者の増加など、地域における人材獲得力の向上にも寄与している。

BW州では、DHBWが地域産業の人材ニーズを満たすことで、地域産業の集積を加速、グローバルプレーヤーとなる企業を多く生み出すことに貢献した。有力な企業が地域に増加するに伴って、DHBWのパートナー企業も充実し、教育訓練内容も向上し、より高度な教育を受けた人材が地域の産業界に送り出され、さらに州外からも人材を呼び寄せるというサイクルができている。

図表2 ドイツ デュアル大学の概要

図表2 ドイツ デュアル大学の概要
(画像=出所:DHBWシュトゥットガルト校HPより三菱総合研究所作成)
https://www.dhbw-stuttgart.de/en/about-us/ (閲覧日:2022年7月11日)

(3)スウェーデン:企業と社会の協働によるアウトスキリングとマッチング支援

第3の事例は、充実した福祉で知られる北欧スウェーデンである。実はスウェーデンの雇用の流動性は非常に高く、1つの職場への平均勤続年数は先進国中最短クラス。長期失業率は低いものの、短期間で見ると離職率は高いという社会構造である。また、労働生産性や経済成長率が先進国中高い水準にある。

スウェーデンは、かつて鉄鋼などを産業の主力としてきたが、その後、機械工業やハイテク産業へと成長の柱を移行させていった。社会経済環境に応じて、産業構造を迅速・柔軟に適応させていく点にスウェーデン経済の強みがあるとされる。

そして、こうした産業構造の転換を実現しているのが、就労と学習(リスキリング・リカレント)の往還を特徴とする「移行的労働市場」であり、これを可能にする「積極的労働市場政策」と呼ばれる施策群である。

こうした流動的な労働市場で、成熟産業で人員整理の対象となる従業員に対してリスキリングの機会を提供し、成長産業への転職を支援していく仕組みを「アウトスキリング」と呼ぶ。スウェーデンの積極的労働市場政策では、このアウトスキリングの仕組みを武器に、成熟産業から成長産業へと人材を移動させることで、社会全体の持続的な成長を可能としている。

ここでは、このアウトスキリングの仕組みを実際に担っている、再就労支援NPOについて紹介する。再就労支援NPOを中心としたスウェーデンのアウトスキリングの特徴は以下のとおりである。

  • 労使共同出資のNPO(失業保険金庫)を起点とした労使交渉、再就労支援プログラム、失業給付の一貫支援を実施
  • 再就労支援プログラムは、能力開発と転職マッチングがセットで提供される
  • 長い解雇予告期間を能力開発と再就労活動に用いることで、処遇上昇を伴う労働移動を実現

上記のメカニズムを用いて成熟産業から成長産業への労働移動を実施し、経済、個人の成長を果たすスウェーデンの労働市場の特徴として、高い労働組合の組織率を背景とした労使協約重視の労使関係、労働移動を促進するさまざまな仕組みが挙げられる(*5)。

図表3に示した「1層目のセーフティネット」として、労使交渉制度・雇用保護法がある(*6)。スウェーデンでは伝統的に協調的な労使関係が構築されており、労使協約が重視されてきた。賃金交渉の面でも、労使協約が尊重される。

スウェーデンでは、労働組合が整理解雇を含めた労働移動を受け入れてきた。1つの職場にしがみつくよりも、将来性のある職場に移ることが利益になるという発想が労働組合にも根付いているためだ。雇用保護法でも、解雇には正当な理由が必要であるとしているが、余剰人員の整理は解雇の正当な理由に相当する(*7)。

「2層目のセーフティネット」として、整理解雇がなされる際、解雇予定の労働者が再就職するため、解雇予告期間中(就業年数に応じて最長1年間)にNPOによる再就職支援が実施される。再就職支援を行うNPOは、職種などに応じて複数設置されており、例えば主としてブルーカラーを対象とした「TSL(Trygghetsfonden TSL)」や、ホワイトカラーを対象とした「TRR(TRR Trygghetsradet)」がある。

政府からの財政的支援はないが、TRRを例に取ると、加盟企業の賃金総額の0.3%の拠出金によって運営されている。こうしたNPOでは、再就職支援だけでなく、失業時の収入の補填も行う。TRRの再就職支援実績は高く、解雇実施日には91%が次の職場を得ており、66%が前職以上の処遇を得ている(*8)。

NPOによる転職マッチングが不調であった場合は、図表の3層目に移行し、職業訓練を行いつつ、転職先とのマッチング支援を受ける。

図表3 スウェーデンにおけるセーフティネットの階層

図表3 スウェーデンにおけるセーフティネットの階層
注:三層構造の整理にあたっては、独立行政法人労働政策研究・研修機構(2017年3月31日)「ディスカッションペーパー 17-02 スウェーデンにおける労働移動を通じた雇用維持 ?労使による再就職支援システムを中心に?」を参考とした。

(画像=出所:三菱総合研究所)

実践事例から得られる「地域版人的資本経営」への6つの示唆

「地域版人的資本経営」実現のヒントとして、イギリス、ドイツ、スウェーデンの取り組みを概観した。

諸外国における実践事例からは、日本での「地域版人的資本経営」実現に向けて、現在まで日本の雇用政策・能力開発政策には十分備わってこなかった以下の6要件が浮かび上がってくる。

[要件1]産業界の人材ニーズは可視化されているか
[要件2]獲得スキル選定プロセスに雇用主が裁量をもって関与できているか
[要件3]実践的教育の場に企業や実務人材が関与しているか
[要件4]職業訓練全体のレベルアップが可能な仕組みを備えているか
[要件5]労働移動を促す仕組みを備えているか
[要件6]地域の産官学を連携させる主体がいるか

これらの要件ごとに、各国の取り組みを整理する。

[要件1]産業界の人材ニーズは可視化されているか

(1)産業戦略の構築、(2)産業戦略に沿った人材ニーズの可視化、(3)可視化された人材ニーズを基にした能力開発プログラムの開発・実装の3段階の戦略構築や「人材ニーズ」の可視化プロセスが地域での能力開発には有効と考えられる。

ドイツではDHBWの前身機関の設立に際して、ダイムラーベンツ社による産業人材育成に関する提言が州政府に対して実施され、これに他の有力企業などが合流した。地域産業の戦略上の要請として地域における人的資本投資の必要性が明確化されたことを契機に能力開発プログラムが策定され、のちの教育機関(DHBW)の設立につながった。

また、イギリスの事例で典型的に見られるように、能力開発プログラムの開発を雇用主のグループが担うなど、産業戦略に基づく人的資本投資を実現していくため、産業界の人材ニーズを具体的な人材の能力要件として可視化し、能力開発プログラムに接続させていく仕組みがある。

このように、次の成長領域の特定といった「産業戦略の構築」と、これに連動した人材要件の明確化、明確化された人材要件を満たす能力開発プログラムの構築へと一気通貫した「可視化」が必要となる。

[要件2]獲得スキル選定プロセスに雇用主が裁量をもって関与できているか

イギリスのアプレンティスシップ・スタンダードでは、雇用主が、自社に真に必要なスキル獲得のための能力開発プログラムを雇用主が選定し、雇用主の裁量で教育プロバイダーを選択できる。

また、公的支援受給には時効がある。これらは雇用主にとって、従業員のアプレンティスシップ・スタンダード活用を支援するインセンティブとなっており、就業者のリスキリングの促進につながっている。

[要件3]実践的教育の場に企業や実務人材が関与しているか

ドイツのDHBWでは、パートナー企業が実習の場を提供するほか、実務人材を教員として大学に派遣している。DHBWの学生は、この実習と学習のデュアルシステムによって、より実践的な能力開発が可能となるほか、パートナー企業は人材の早期の獲得が可能となる。地域の産業と教育の非常に強い連携が構築されている。

[要件4]職業訓練全体のレベルアップが可能な仕組みを備えているか

イギリスのアプレンティスシップ・スタンダードでは、能力開発プログラムのレベル分けを実施。アプレンティスシップ・フレームワーク時代よりも全体のプログラム数を絞り込む一方、徐々に高レベルプログラムの比率を高めている(*9)。こうした誘導により、アプレンティスシップ・スタンダードの対象とする職業訓練全体のレベルアップを実現している。

[要件5]労働移動を促す仕組みを備えているか

スウェーデンの失業保険金庫を用いた再就労支援の仕組みは、成熟産業から成長産業への人材の移動を通じ、成熟産業の企業にとってはリストラによる経営体質改善を、成長産業にとっては新たな人材の確保を実現している。同様に個人にとっては、より処遇の充実した企業等への転職可能性を得ることで、労働移動を成長機会としてとらえることが可能となる。

[要件6]地域の産官学を連携させる主体がいるか

ドイツBW州のDHBWを中心とした取り組みは、地域に集積した産業に必要な人材の育成を産業界自身が支援することで達成し、教育の質を高め、さらに優秀な人材の地域への流入につなげていくといったサイクルを完成させている。いわば、産業界と雇用政策、教育機関が連携して地域の成長戦略を実現しているとも考えられる。

図表4 地域版人的資本経営実現の要件と諸外国の実践事例の整理

図表4 地域版人的資本経営実現の要件と諸外国の実践事例の整理
(画像=出所:三菱総合研究所)

*1:science, technology, engineering and mathematicsの頭文字から構成された造語。科学・技術・工学・数学の教育分野を総称する語として用いられる。

*2:独立行政法人労働政策研究・研修機構(2017年)「諸外国における教育訓練制度」 https://www.jil.go.jp/institute/siryo/2017/documents/194.pdf (閲覧日:2022年11月4日)

*3:独立行政法人労働政策研究・研修機構(2017年)

*4:Department for Education(DfE)(28 November 2019)“Further Education and Skills, England: 2018/19 academic year”
https://assets.publishing.service.gov.uk/government/uploads/system/uploads/attachment_data/file/848534/FE_and_Skills_commentary_November_2019.pdf (2022年11月4日閲覧)
Department for Education(DfE)“Apprenticeship and levy statistics: October 2019(reported to date)OFFICIAL STATISTICS”(10 October 2019)
https://www.gov.uk/government/statistics/apprenticeship-and-levy-statistics-october-2019 (2022年11月4日閲覧)

*5:山田久(2016年)『失業なき雇用流動化』(慶應義塾大学出版会)

*6:独立行政法人労働政策研究・研修機構(2017年3月31日)「ディスカッションペーパー 17-02 スウェーデンにおける労働移動を通じた雇用維持 —労使による再就職支援システムを中心に—」 https://www.jil.go.jp/institute/discussion/2017/17-02.html (閲覧日:2022年11月4日)

*7:スウェーデンの流動的な労働市場の背景には、高水準の最低賃金設定による企業の賃下げへの抵抗性、経営不振企業への公的救済の否定など、企業の新陳代謝や労働者の輩出が起こりやすい構造がある。

*8:実績値はすべて2017年実績。TRRへのヒアリングによる。

*9:プログラム認証に際して、より高度な職業能力かつ学修時間の多い充実したカリキュラムを優先することによって実現している。こうした試みは、政府によって実績をモニタリングされ、毎年レポート(DfE “Further Education and Skills, England”、DfE “Apprenticeship and levy statistics” 各年版等)が公開されている。

宮下友海
三菱総合研究所 政策・経済センター