本記事は、ひろゆき氏の著書『99%はバイアス』(ダイヤモンド社)の中から一部を抜粋・編集しています
頭が「真っ白」になった後の1秒
優秀かどうかは、「ミスをした後」の対応に現れる。
大前提として、誰もがミスをする。どんなに学歴が高かろうが、華麗な経歴だろうがミスをする。その点は、全員が平等だ。
ただ、その後の反応は人それぞれだ。
残念な人は、1秒で「第三者のせいにする」「言い訳を用意する」ということを考える。
早く言い逃れをして、責任をとらないようにしようとする。
一方で、本当に優秀な人は、1秒でミスを認める。
たとえ、納得いかなくても、自分の中の原因を考える。そして、「同じミスを繰り返さない」ために、仕組みなどを変える。
ミスをした後に、1秒で「隠そう」と思ってしまう人は要注意だ。
「ミスは悪いこと」というバイアスがある。
その考えは早く修正したほうがいい。
とりあえず笑顔でいるようにすると、一瞬で「俯瞰して」物事が見える。
普段から鏡を見て口角をあげるだけでもいい。少しずつ気分が変わってくると思う。
「他人の不幸の話」は、面白く聞ける。
それは、当事者にとっては困った経験として「悲劇」だったとしても、第三者側からすると「喜劇」になるからだ。
それと同じ効果で、自分のことでも自分で笑ってしまうと、「この主人公はどうやって解決するのかな?」と、第三者の目線で感じるようになる。このスキルが身につくと、人生で何が起きても楽しめる。
遅刻しているときも、「相手を怒らせないためには、どんなメールを送って、どんな手段で急げばいいだろう?」と、戦略的に考えたりできる。
これができない人は、「ああ、怒られる……」と悲観的になってしまって、逃げ出してしまう。
とりあえず笑ってみて、「さあ、どうしようかな?」と前向きに考えることは、とても大事でバカにできない。
困ったときほど、一瞬だけ笑顔をつくる。
できれば1人のときがいい。
クレームしてきた相手や上司の前だと、「何、ヘラヘラしてるんだ!」と怒られるだろう。
会話中、頭の中が真っ白になる人がいる。
これは、相手の「心の中」を考えて話しているからだ。
本書で何度も書いているように、相手の心の中はわからない。
たとえば、面接で緊張しているときは、自分でも何を話しているのかわからなくなることがあるだろう。面接官の質問の内容すら、まともに考えることができない。
その一方で、相手が親友だと、テンポよく言いたいことを話せる。
どうすれば、緊張する場面でも、友達と会話しているように頭が真っ白にならずにすむのだろうか。
大事なのは、「意味のある会話をしないといけない」という思い込みを捨てることだ。
面接の場合、そもそも会話をするところではなく、相手が求めていることを話す場だ。
そもそもの設定が異常なのだ。異常な空間なのだから、話の内容が異常になってしまうのは、仕方がない。
友達とファミレスで話しているときには、生産性もオチも意味も存在していない。そもそも雑談に意味を求めるのがおかしい。
面接であれば、相手を対等に見ることからはじめよう。
自分が面接官に見られているように、自分だって面接官を見てやればいい。
面接官だって、うまく面接官を演じるために緊張している。
相手と対等な立場ということを自覚しよう。
すると、質問の意図がわからないときには、「それはどういうことですか?」と、逆質問する余裕が出てくる。
そして、自分が本当に理解できたタイミングで、ゆっくり話せばいい。それを隠そうとして、スマートに見せようとするから焦るのだ。
よく理解できないことを質問してきた面接官にだって、責任はある。
それを1秒で思えば、緊張も回避できる。
「すみません、もう一度、質問を教えてもらえますか?」と聞くだけだ。
それだけで、落ち着いて理解しようとするように見える。
面接以外でも同じだ。プレゼンでも商談でも打ち合わせでも会議でも、同じスタンスで臨んでみよう。
知ったかぶったり、カッコつけないところから、自然な会話はスタートする。
僕が若い頃、有名人と会う前は、「たぶん緊張するんだろうな」と思っていた。
実際に会うと萎縮して自分の思ったことが言えないと思っていた。
しかし、そんなことはなかった。
まわりの取り巻きや事前の情報によって、その人が「特別な人」に見えていただけで、目の前にいる人は、普通のおじさんやおばさんだった。
どんなすごい人も、家族と買い物をしたり、家で子どもと遊んだりしている。
直接会って会話をしてみると、そのことに気づく。
ビビっているものは、自分や第三者が作り出した「虚像」だ。
総理大臣も、社長も、大学教授も、小学生も、人間としては同じだ。
偉い人を取り巻いているオーラは、「裸の王様」の透明の服である。
「この人も、このあと普通に家に帰って、風呂に入って寝るんだな」と、1秒だけ考えてみよう。
1976年、神奈川県生まれ。東京都に移り、中央大学へと進学。在学中に、アメリカ・アーカンソー州に留学。1999年、インターネットの匿名掲示板「2ちゃんねる」を開設し、管理人になる。2005年、株式会社ニワンゴの取締役管理人に就任し、「ニコニコ動画」を開始。2009年に「2ちゃんねる」の譲渡を発表。2015年から、英語圏最大の匿名掲示板「4chan」の管理人になる。2021年、自身のYouTubeの切り抜き動画の再生回数は、月間3億回を突破。主な著書に、45万部を突破した『1%の努力』(ダイヤモンド社)がある。※画像をクリックするとAmazonに飛びます