本記事は、齋藤孝氏の著書『呼吸がすべてを整える』(リベラル社)の中から一部を抜粋・編集しています。
IKKOさんに学ぶ 「ご機嫌な息づかい」
「場の空気」をつくり上げているのは、居合わせた人たちが身体から発している気分であり、気配であり、息づかいです。つまり、場の空気とは「そこにいる人の身体状態の集積」とも言えるのです。
たとえば、みんなで楽しげに話していても、そこにひとり不機嫌そうな人が入ってきたら、場の空気は一転してしまいます。何も言わなくても、その人が身体から発する不機嫌オーラが場の空気をギクシャクさせて、会話も弾まなくなるでしょう。
逆に、その人がいるだけでその場が明るくなり、空気が楽しげに弾み出すというケースもあります。たとえば、テレビ番組でたまにご一緒するIKKOさんも、周囲の空気を明るく「ご機嫌」にできる方です。IKKOさんがいる現場は常に明るく和やかで、安心感が漂っているのです。
そして、おなじみの「どんだけ~」という無敵フレーズ。この言葉が持つリズムと
いつだったか、大学の授業で学生たちに、IKKOさんのフレーズで合いの手を入れる会話をやってもらったことがあります。「どんだけ~」の口調で、「おもしろ~」とか「知らない~」「楽しみ~」などと相づちを打つ。すると、もうそれだけで会話がみるみる楽し気に盛り上がります。
あのフレーズを真似する=呼吸を真似することで、学生たちにIKKOさんのご機嫌な息づかいと身体性が乗り移ったような感じになるのです。
私たち共演者が現場で感じるのと同じように、テレビを見ている視聴者もIKKOさんの存在やキャラクターに、ある種の安心感を覚えているはずです。
「どんだけ~」のパワーワードはもちろん、イジられキャラになることを
そうした姿勢からは常に上機嫌な呼吸が感じられ、それが共演者や視聴者に安心感を与えているのでしょう。
怒りが沸いた瞬間、「どんだけ〜」と長く息を吐くと、怒りが
「どんだけ〜アンガーマネジメント法」です
何かとストレスフルな社会に身を置く現代人は、IKKOさんの持つ「ご機嫌な身体性」「ご機嫌な息づかい」に学ぶべきではないか。それこそが現代社会のに不可欠なエッセンスなのではないか――。
IKKOさんをお見掛けするたびに、私はそう思っているのです。